ホーム > 観光・文化・スポーツ > 文化・芸術 > 文化財 > 石川の文化財 > 書跡・典籍(県指定) > 紙本墨書大般若波羅蜜多経・版本 妙法蓮華経
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貞治2年(1363)~永和4年(1378)、
応永21年(1414)~応永30年(1423)
個人
(珠洲市立珠洲焼資料館保管 珠洲市蛸島町1-2-463)
紙高 26.3センチ~26.9センチ
1巻16紙~18紙 継ぎ1行17字あて書写
県指定文化財 昭和58年1月25日指定
「大般若波羅蜜多経」(大般若経)全600巻のうち494巻が現存する。巻子装で、軸木は檜材の合わせ軸で両端は黒塗である。第11巻などの奥書によって、能登国珠洲郡馬繋浦の名主秦玄本とその一族の玄遠・定西・定阿・玄海が願主となり、南北朝後期の貞治2年(1363)に発願し、永和4年(1378)に書写を完了して、馬繋浦の四坪薬師堂に奉納したことが知られる。ただし、第600巻の奥書によれば、その後まもなく第201巻以降の400巻が火災によって焼失したため、室町初期の応永21年(1414)に玄本の子玄文がその補充を発願し、応永30年(1423)に完成している。しかし、その後の災禍によって、うち106巻を失い、現存本も焼損したものの多いことが惜しまれるが、現存するもののうち310巻に記されている奥書によって、中世の奥能登の名主秦一族の発願による書写活動を支えた多くの結縁衆の名や、書写場所となった寺社の所在を伝え、当時の社会情勢や信仰形態の具体相を知るための、極めて貴重な史料である。
昭和60年「石川の文化財」より
応永22年(1415)
安誓寺 羽咋郡志賀町高浜町レ-143
紙高26.5センチ 1紙の高さ49センチ~50センチ
紙25行 1行17字 折幅10センチ 1折5行あて摺印
県指定文化財 昭和58年1月25日指定
この「妙法蓮華経」(蓮華経)は、折本装、全8帖(巻)揃である。第8帖末尾に、応永廿二年三月日 願人得田沙弥章光
と刊記があり、室町初期の応永22年(1415)に、能登国羽咋郡得田保・土田庄上村などの地頭であった得田勘解由左衛門入道章光(章光)が願主となって開版されたことが知られる。この法華経の版木(「妙法蓮華経版木」別掲)は、「妙成寺版」または「得田版」と称して知られているが、全65枚のうち、第5巻の3枚目にあたる1枚を欠いている。安誓寺本は8巻が完存しており、版木の欠失部分を補う意味でも、唯一の妙成寺版(得田版)の遺品としても、すこぶる高い価値を有するといえよう。
昭和60年「石川の文化財」より
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