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戦国時代~現代
個人 輪島市
県指定文化財 平成19年12月25日指定
時国家は、壇ノ浦の合戦後に能登(珠洲)に配流された平家の武将平時忠の子平時国を家祖とするとされている。江戸時代に入り、前田氏、土方氏による統治のため、前田領時国家(下時国家)と土方領時国家(上時国家)に分立した。上時国家は、はじめ土方領に属し、肝煎・十村を務め、土方氏改易後は、幕府直轄領の庄屋等を務めている。本文書は上時国家に伝来した8572点の文書からなっており、天文から近現代までの文書が存在している。天正~慶長期の初期検地の関係文書、寛永~寛文期の皆済状の他、租税関係、製塩・漁業・菜種等産業関係に加えて、海運関係、百姓救恤関係の史料も含まれている。本文書には、村の運営に関する村方文書とともに時国家の性格や経営の内容を示す文書が大量に残されている。大規模農業経営主としての側面が注目されていた時国家であったが、北前船を所有し、廻船業を行い、他にも農業、製塩、漁業、林業、酒造を営み、さらには鉱山経営にも手を伸ばしており、多角的な活動を展開していたことが明らかになるなど、時国家の活動を知る上でも重要な史料である。また、時国家分立に際しては、「あぜち(庵室)」の慣習を示す文書も残されており、両家の成立背景を知る上でも重要な史料である。上時国家文書は、その量が膨大であり、時代的にも中世から近現代に及ぶ長期のものが含まれており、内容についても、上時国家が地域の有力層であったことを裏付ける貴重な史料である。
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