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江戸時代中期(天明8年)
石川県立歴史博物館 金沢市出羽町3-1
巻子装 本紙 長さ820センチ 幅22.5センチ
県指定文化財 昭和61年3月22日指定
本資料は能美郡金平村(現小松市)の金鉱山の最盛期の様子を描いた絵巻である。金平の金山は明和7、8年頃(1770~)藩十村役石黒源次によって開坑し、天明8年2月(1788)に藩の「御手山」となった。この絵巻の奥書には「天明八戌申歳仲春 矢田廣貫七十一歳写之」とあるところから、前田土佐守家々臣の矢田廣貫四如軒が金山の記録をとったとみられる。絵巻の初めには槍を持った従者を伴う藩の役人とおぼしき人物が描かれ、惣門番所前の呉服屋・両替商・芝居小屋の町並がひきつづき鍛冶小屋、吹座、砕小屋、山師小屋等の鉱山施設、および横目・十歩一役・頭取・大工頭・掘師等の役廻りが詳細に描かれ、当時の鉱山の様子をうかがわせる貴重な資料である。末尾には能州矢田村金山図が付け加えられ、藩老前田土佐守直躬が藩の金山支配に必要な資料として用いたと考えられる。なお同種のものがかつて前田直行家にあったが現在は不明であり、さらに小松市指定の十村石黒家文書に1点含まれているが奥書はない。
江戸時代後期(天保5年)
石川県立歴史博物館 金沢市出羽町3-1
巻子装 本紙 長さ983センチ 幅55.3センチ
県指定文化財 昭和61年3月22日指定
本資料は藩政期における加賀辰巳用水の具体的な水路を描いた長巻の彩色絵巻である。巻首の端書に、「天保五年七月辰巳御絵図引直本物」とあることから、天保5年(1834)に描かれたものであることがわかるが、ついで「天保七年丙申七月」の後筆、さらに、巻尾近くの書込みにより、「辰巳御絵図」として少なくとも安政5年(1858)、まで用いられていたことが推察される。いわゆる「辰巳用水絵図」には、他に文化6年の絵巻や、安政2年の絵巻が知られているが、中でも本巻は長尺でかつ写実性に優れている点に特色がある。なお、「川口木呂留」より「竹沢御屋鋪」までの水路中、上流部で文化6年絵巻に開渠とあったところの大部分が隧道として描かれていることから、文化年間より天保5年迄に大修理がされたことも分かる。この点からも用水建設の変遷資料としても貴重である。
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