高校生・大学生が心がけたい食生活
目次
>>大学生・短期大学生による食育動画/大学生からのメッセージ(別ウィンドウで開きます)
毎日、朝食を食べていますか?
石川県の調査では、朝食欠食(朝食を食べない)は、若い世代において多い傾向がみられ、高校生のころから、朝食欠食をする人が増え始めています。
どうして朝食が必要?(朝食の役割)
エネルギー源の補給
- わたしたちの体は、寝ている間にもエネルギーを使っていて、朝にはエネルギーや必要な栄養素が少なくなっているため、朝食で午前中に使うエネルギーや栄養素を補充しなければなりません。
- 脳は、ブドウ糖をエネルギー源として使っています。ご飯などの主食にはブドウ糖が多く含まれているので、脳が活発に動き出し、集中力が高まります。
- 朝食を食べることによる刺激は、体全体に目覚めを伝える信号として重要です。
体温を上げる
- 朝食は、筋肉でできている食道や胃・腸などの運動を活性化し、そこで得られた熱が、睡眠中に下がった体温や心拍数を上げるのを助け、体が活動する準備を整えます。
朝食を食べるメリット
太りにくいからだ作りにつながる
朝食を食べないと…
- 朝、ブドウ糖が足りないので、わたしたちの体は脳のエネルギー源を確保するため、筋肉を取り崩して、エネルギーを作り出します。その結果、筋肉量が減り、基礎代謝の低下につながり、太りやすい体質につながります。
- 空腹の時間が長くなり、次の食事でまとめ食い・食べ過ぎることで、血糖値が急激に高くなります。わたしたちの体は、高くなった血糖値を正常に戻すため、糖を体の中に取り入れますが、1回に取り入れられる量に限界があるので、余った糖は脂肪に変えて、体脂肪として体に貯められてしまい、肥満や生活習慣病にもつながります。
便秘予防につながる
- 朝食の摂取は体内リズムを整え、胃や腸を刺激し、排便を促します。朝食後にトイレに座る習慣をつけると排便習慣が整えられやすくなります。
生活スタイル別のアドバイス
朝、時間がない方へ
- まずは、主食のみ(ごはんやパン等)やヨーグルト、果物などの食べやすいものを1つ食べることをから始めましょう。また、少しずつ寝る時間や起きる時間を早めて、朝食を準備する時間や食べる時間を増やし、主食・主菜・副菜を1つずつ追加していき、栄養バランスのよい食事に近づけていきましょう。
テストや受験を控えている方へ
- 午前中からの勉強や試験に集中するためには、脳へのエネルギー補給と体温を上げるため、朝食を食べることが欠かせません。
- 食事をすると、体が食べたものを消化しようと、胃に血液を集中させ、脳にめぐる血液が少なくなるため、食後2時間程度はあまり集中できない状態になります。勉強や試験の時間に合わせて、朝起きる時間や朝食を食べる時間を調整するとよいでしょう。
- ブドウ糖だけでなくさまざまな栄養素を一緒に摂ることで消化や吸収がスムーズに進みます。
栄養バランスのよい食事とは?
主食、主菜、副菜を組み合わせた食事は、バランスよく栄養素や食品が摂れることが報告されています。
食事を作ったり、コンビニや飲食店で食事を選んだりするときには、主食、主菜、副菜を組み合わせることを意識すると、バランスよく栄養素や食品を摂ることができます。
主食
- ごはん、パンなどを主な材料とする料理を指します。
- 炭水化物が多く含まれ、主に体を動かすエネルギー源となります。
主菜
- 肉や魚、卵、大豆製品などを主な材料とする料理を指します。
- たんぱく質が多く含まれ、主に筋肉や血液、骨などの体をつくる材料になります。
副菜
- 野菜や海藻、きのこなどを主な材料とする料理を指します。
- ビタミンやミネラルが多く含まれ、主に体の調子を整えます。
みなさんは主食・主菜・副菜を組み合わせた食事をとっていますか?
石川県の調査では、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が一番多い食事形態と回答した人は、高校生と20代で少なくなっています。栄養バランスが崩れ始めているのは高校生・大学生の今です。自分の食生活を見直してみましょう。
栄養バランスのよい食事にはどんないいことがあるの?
栄養バランスのよい食事は、健康を保つことや生活習慣病などの病気の予防にもつながります。また、長寿とも関係しています。
栄養バランスのよい食事の選び方を知ろう!
- 主食・主菜・副菜が別皿になっている定食パターンだけでなく、それらを組み合わせた料理を上手に選べば、栄養バランスのよい食事をとることができます。
- 1つのお皿に盛り合わせた料理やいろいろな食材を使った料理を選ぶ際は、野菜等の副菜の量が少なくなる傾向がありますので、野菜の量を増やしたり、さらに副菜を1品追加したりしましょう。>>「野菜を食べましょう」のページにリンク
エネルギーについて
エネルギーは、体や心を動かすために必要ですが、摂りすぎも摂取不足もNGです!適切なエネルギー量を摂ることで、健全な発育や健康の維持、生活習慣病の予防につながります。
エネルギーを摂りすぎると
- 摂取するエネルギーが消費するエネルギー(基礎代謝や運動)より多くなり、肥満につながる可能性があります。
エネルギーの摂取不足になると
- 体内でエネルギーを使うのが節約されるため、免疫や消化器、心臓・血管の機能の低下、代謝の低下、精神的に不安定になる、女性は月経異常が起こるなど体と心に影響が出ます。
まずは、自分の食事量を知ろう!
必要なエネルギー量は、年齢、性別、身体活動レベルや身長などで変わります。
身体活動レベル
特徴
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身体活動レベル
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1日のうち座っていることがほとんど
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低い
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座っているのが中心だが、歩行・軽いスポーツ等を行う
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ふつう
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移動や立っていることが多い又は活発は運動を行っている
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高い
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出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)
1日に必要な推定エネルギー必要量(kcal)を調べてみよう!
推定エネルギー必要量(kcal/日) ※参考値
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男性
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女性
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身体活動レベル
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低い
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ふつう
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高い
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低い
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ふつう
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高い
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15~17歳
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2,500
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2,800
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3,150
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2,050
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2,300
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2,550
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18~29歳
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2,300
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2,650
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3,050
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1,700
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2,000
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2,300
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出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)
あなたの1食分の主食量(ご飯の量)はどれくらい?
いつも食べているご飯の量と比べてみましょう。
1食分の主食量(ご飯の量) ※参考値
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男性
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女性
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身体活動レベル
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低い
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ふつう
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高い
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低い
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ふつう
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高い
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15~17歳
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220g
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260g
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300g
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170g
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200g
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230g
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18~29歳
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200g
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240g
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290g
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130g
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160g
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200g
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参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)、日本食品標準成分表2020年版(八訂)
食事バランスガイドを知っていますか?
- 食事バランスガイドは、1日に、「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを、わかりやすく示したものです。
- エネルギーの必要量は、性別や運動量によって異なります。下の図は、1日あたり2200kcal±200kcalの場合に参考とする摂取量です。
関連ページ
農林水産省ホームページ『「食事バランスガイド」について』(別ウィンドウで外部サイトへリンク)
野菜はどれくらい食べる必要があるの?
- 野菜には、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。旬の野菜は、特に栄養価が高いと言われています。
- 野菜摂取の目標量は、1日350g!(生野菜でおおよそ両手に山盛り1杯分)。そのうち約3分の1(120g)を緑黄色野菜で摂ること目指しましょう。緑黄色野菜(にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、トマト、ピーマン等)には、体内でビタミンAに変わるカロテンやビタミンC等が多く含まれています。
- 1日に350g摂ることで、1日に必要なビタミンやミネラルを摂ることができます
みなさんは、1日に野菜を目標量の350g食べることができていますか?
- 石川県の調査では、1日あたりの野菜摂取量は、若い世代で少ない傾向があり、目標量の350gに達していません。15~19歳・20代では、約90g不足しています。
- 野菜をいつもより多く意識して食べるようにしていきましょう。
どうして野菜が必要?
野菜に多く含まれるビタミンやミネラル、食物繊維は、からだの調子を整えるために必要な栄養素です。
ビタミン
炭水化物などが体内でエネルギーに変わる手助けをしてくれます。摂取した栄養素が体内で利用されるためには、ビタミン類(特にB群)を不足なくとることが必要です。また、ビタミンCなどは、肌などの健康維持を手助けしてくれます。
ビタミンB群:肉類、魚介類、豆類、穀類、野菜類、種実類などさまざま食品に含まれます。
ビタミンC:野菜類や果物類などに含まれます。
ミネラル
身体機能の維持・調整に不可欠です。特に、野菜に多く含まれるカリウムは、余分なナトリウム(食塩)を体の外に出すのを手助けしてくれます。また、特に色の濃い野菜(小松葉・水菜など)には、カルシウムも多く含まれています。
食物繊維
便通を整え、便秘を予防するために欠かせないものです。また、脂質・糖・ナトリウム(食塩)などをくっつけて体の外に出す働きがあるため、これらを摂り過ぎることによって引き起こされる肥満や脂質異常症・糖尿病・高血圧などの生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。
野菜を適量食べるといいこと
食べ過ぎ防止につながる
- 野菜は、たくさん噛まないといけないので、よく噛んで食べることで、満腹感を与えてくれます。
- 野菜を最初に食べることで、血糖値の上昇を抑えることができます。
からだの調子を整える
野菜の食べ方を考えよう!
- 大きなお皿は約140g、小鉢は約70gを目安とし、1日5皿(朝1皿・昼2皿・夕2皿)をとるようにすると350gを簡単にとることができます。
- 茹でたり蒸したりして加熱すると、柔らかくなりかさが減って食べやすくなります。例えば、キャベツなど葉物の野菜を食べるときは、熱を加える(電子レンジにかける、ゆでるなど)と、かさが小さくなり、量が多くても食べやすくなります。
- 野菜の調理が難しいときや生の野菜が高いときは、市販の冷凍野菜もおすすめです。収穫後すぐに急速冷凍しているので、豊富な栄養素が含まれています。
- 野菜料理のレパートリーに困ったときは、料理サイトで「野菜名 料理法」「野菜名 料理のジャンル」で調べてみましょう。
料理法の例
汁物、和え物、煮物、焼き物、蒸し物、揚げ物、酢の物、ご飯物
料理のジャンルの例
和食、中華、洋食、アジア料理(韓国料理、タイ料理など)
カルシウムとは?
- 体の中に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯を形成しています。
- 血液中のカルシウムの濃度は、一定に保たれているので、不足すると、カルシウムが骨から取り出されます。逆に、たくさん摂ると、余分なカルシウムが骨に取り込まれて骨密度が増加します。
骨の役割
骨は、カルシウムが骨に取り込まれることにより、新しい骨が作られます。反対に、古くなった骨は、壊され、カルシウムが骨から溶け出します。わたしたちの骨は、このような流れが常に繰り返され、絶えず生まれ変わっています。
- 体の支えになり、骨格が脳や内臓を守っています
- 血液の成分を作っています
- カルシウムなどの栄養素を蓄えています
骨量(骨密度)のピークを知っていますか?
若いうちは、まだ骨量のことは考えなくてもいいと思っていませんか?
通常、骨量は成長期に増加し、20歳前後で最高値(最大骨量)に達します。その後20歳代・30歳代はほぼその状態が保たれ、40歳代後半ごろから加齢に伴い減少していきます。特に、女性は閉経により、急激に骨量が下がります。
骨量の減少は骨密度の低下につながり、骨粗しょう症を引き起こす原因になります。予防するためには、成長期のうちに骨量を増やし、最大骨量を大きくしておくことが重要です。若いうちから、骨量のことを意識していきましょう。
カルシウムを上手に摂るためには?
1日3食食べる
- 欠食すると、骨の形成に必要なカルシウムなどの栄養素が不足する可能性が高くなります。主食・主菜・副菜のそろった栄養バランスのよい食事を3食とるようにしましょう。また、カルシウムを多く含む食品も意識して取り入れるようにしましょう。
- カルシウムは、牛乳・乳製品や豆腐などの大豆製品、骨ごと食べられる小魚、野菜類、海藻類に多く含まれています。牛乳・乳製品は、カルシウムを多く含むだけでなく、他の食品と比べて、吸収率においてもすぐれた食品です。
- 高校生から20歳ルシウムを積極的にとりましょう。
カルシウムと一緒に骨を形成するビタミンも摂ろう!
摂取したカルシウムを効率よく吸収し、骨の形成を促すためには、ビタミンDやビタミンKなどのビタミンも必要です。
ビタミンD
- カルシウムの吸収を促進し、骨の形成と成長を促す役割があります。鮭やさんまなどの魚類やきくらげや干ししいたけなどのきのこ類に多く含まれます。
- ビタミンDは、食事からだけでなく、日光浴により皮膚でもつくられます。夏なら木影で30分、冬なら手や顔に1時間程度、日に当たるとよいと言われています。
ビタミンK
- 骨の形成を調整し、骨からのカルシウムの排泄を抑制する役割があります。
- モロヘイヤやほうれん草、ブロッコリーなどの野菜類、納豆などに多く含まれます。