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更新日:2010年4月7日

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対談・寄稿文 - 「座談会 三位一体改革等の今後」

本会は、去る四月二十六日(月曜日)、「三位一体改革等の今後」をテーマに座談会を開催しました。
三位一体改革は平成十五年六月二十七日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」(骨太方針二〇〇三)により提起され、本年度はその改革の初年度として位置づけられております。そこで、今回は、平成十六年度予算編成を終えた三県の知事と有識者の皆さんにお集まりいただき、平成十六年度の総括と今後の取組み等について、議論していただきました。
出席者は次の各氏です。

NHK解説委員(司会)水城武彦
宮城県知事  浅野史郎
石川県知事  谷本正憲
岡山県知事  石井正弘
関西学院大学教授  小西砂千夫 

水城解説委員

本日は、「三位一体改革」が十六年度にスタートした時点でここで立ちどまって、これまでのところをどう評価し、これからどう取り組むかということを中心にお話し合いをいただきたいと思います。

はじめにお断りしておきますが、この座談会の当日は六月上旬に政府が決める「骨太の方針二〇〇四」に向けて、総務大臣の「麻生プラン」も示されるというような時点です。今日のお話し合いが今後の動きの中でどのように反映されるかというところも大きなポイントになると思いますので、ご活発なお話し合いを期待します。 

改革初年度~平成十六年度をどのように評価するか?

水城解説委員

はじめに、この改革初年度をどのように評価されていらっしゃるか、全体的な印象も含めましてお伺いしたいと思います。

浅野知事

十六年度予算でいわゆる「三位一体改革」の方向が出た時、説明する側は、「一応曲がりなりにも改革の一歩だ」というふうに言われたので、「それは一字だけ違う、これは曲がりなりの一歩で、一歩の踏み出し方の方向を間違えた」ということを私は言いました。

今振り返ってみると、決定的な間違いだったというふうに思っています。どこがと言われると、その時は若干私も混乱して言ったんですが、今水城さんが麻生プランでおっしゃったようなことではっきりしてきたんですが、それは結局のところ、三位一体改革の打順を間違えたと。つまり、税源移譲が一番バッターで、二番バッターが補助金の廃止で、三番バッターが交付税ということであったのが、あろうことか三番バッターが一番バッターになったことに見られるように、その順番を間違えたということです。順番を間違えたというのは非常に決定的な間違いであって、本質的なものです。つまり、我々が三位一体改革というのをやってくださいと言った趣旨が、その順番を取り違えたことによって、全くその意味をなさないものになってしまったのです。

実は、後にも言おうと思ったのですが、私は三位一体改革という用語に最近ちょっと異議を唱えています。三位一体改革というのは単なる方法論を言っているだけの話であって、趣旨、目的を言っていない。だから、「地方財政自立改革」だというふうに言うべきだと言っているのですが、地方財政自立改革という観点から言うと決定的にその順番を間違えたと思います。

それで「麻生プラン」が一年遅れで遅まきながら出てきたんですが、それは当然、予定でもいいから税源移譲を幾らするというのを確定して、例えば三兆円と出たら、その三兆円を霞が関に振りまいて、あとは各省で三兆円集まるまでけんけんごうごうやりなさいというふうにすべきだということのようです。

これも後の方で言おうと思ったことを全部言ってしまえば、打順だけではなくて、それが三位一体改革の枠組みだとすれば、どれだけ税源移譲するかというのは理屈ではなくて、多分権力闘争で決まるような部分もあるわけですから、それが極端な場合、話がまとまらなくてゼロになったとしたら、補助金の話は当然ながらゼロなんですよ。我々は補助金の廃止をとにかく少しでもやるのを成果と、どこかの時点で、少なくとも私はとってしまった部分があって、そうではなくて、移譲というのが主眼であるということを十六年度予算においても明確に我々は出すべきであったのに、一兆何百億円という補助金、負担金を廃止して移譲された額は四千五百億円ですか、予定ということをもって廃止というのは全くもって、順番というよりも論理性で破綻をしていたということです。

それから、実際に補助金、負担金で廃止になった中身を見ても、地方財政自立改革という観点から言うと、何か非常に遠いものばかり集められた感じがします。つまり、これは担いでいた霞が関なり政治の部分も含めて、趣旨を正しく理解していなかったということが露呈した結果であったというふうに思っております。だから、私はこの十六年度改革は非常にマイナス評価をしています。交付税の縮減のことは言うに及ばずですね。

水城解説委員

谷本さんは地方分権改革推進会議のメンバーで、ずっとこの問題に初めから直接当事者としてかかわってこられたわけで、その辺も踏まえてどんなふうにお考えでしょうか。

谷本知事

今、浅野さんからもお話がありましたが、やはり順序を間違えたということは指摘せざるを得ません。今回の十六年度の交付税の縮減等を見ていて、昨年の今ごろの地方分権改革推進会議の議論を思い出しました。あの時もいろいろ議論はありましたが、国の補助金は削減をする、交付税も法定税率だけにとどめる、地財対策に係る交付税は縮減をしていく、交付税の財源保障機能は撤廃をして財源調整機能だけに限定をする、そして税源移譲は将来の増税時まで先送りをする、こういう答申案が出されて、我々はそれに反対という姿勢を示さざるを得ず、審議会としては賛成六対反対五という大変異例な形で答申がなされました。あの答申がもし実行されていたなら大変なことになったわけですが、その後、経済財政諮問会議で基幹税目の税源移譲という方向が打ち出され、委員としては大変おかしな言い方ですけれども、あの答申が尊重されず、基幹税目の移譲が打ち出されたことは非常によかったなと思っております。しかし、十六年度の国家予算の最終段階に来て、大きな過ちを犯したと思います。

知事会として、去年、九兆円の補助金削減八兆円の税源移譲を提案しました。そして、知事会としては初めて個々の具体的な補助金名のリストを示しました。義務的な経費は一〇〇%、それ以外の経費は八〇%の税源移譲を行うよう提案をしました。しかし、今回の内容を見ていると、義務的経費については税源移譲予定という形で措置がされたけれども、残りの部分については単に事業量を減らすとか、補助率をカットするとかといった形でお茶を濁されたという思いを持っています。補助金は一兆円削減されたけれども、地方へ移譲予定のものは四千五百億円で、残りの五千五百億円はどうなっているのかわかりません。

結局、あの地方分権改革推進会議の答申が尊重されたのではないかと思いたくなるような、実質交付税が三兆円も削減されるという事態が生じたわけです。これにより、どこの県も同じですけれども、多額の基金を取り崩さないと予算が組めなくなってしまったというのは、尋常ならざる事態です。

我々も最初は、梶原会長が言っている「税源なくして削減なし」というスローガンでスタートをしたんですが、予算編成の過程の中で各論に入っていくうちに、そのスローガンがうやむやになり、補助金の削減をして、見合い分を税源移譲するという順番が完全に変えられてしまった。もっと極端な言い方をすれば、浅野知事の言うように三番バッターである交付税がトップパッターになってしまったということです。地方分権を推進するための手段としての「三位一体改革」とほど遠いものであったと言わざるを得ないと思います。極端な言い方をすると、去年の地方分権改革推進会議の答申がよみがえってきたんじゃないかという思いがいたしました。

石井知事

私は全体としては今回打ち出された一年目の内容は、地方分権改革という名に全く値しない理念なき改革だと、これはまず総論的に言えると思います。

それから、今順序についての話があるんですが、それもまさにおっしゃるとおりです。  ただ順序の話の前に、地方交付税の年末における唐突かつ大幅な見直しというものが我々に、予算編成大詰めの作業の中でものすごい大きな影響を与えたわけで、これはもう暴挙としか言いようがなく、これは実は「三位一体改革」ではないんだと私は思います。

いわゆる規模是正と俗に言っている話でありまして、地方単独事業の実施と地方財政計画との乖離があり、それを適切な規模に是正していくという話は以前からあって、それを三位一体改革の名に乗じて、財務省が主導でこれにいわば悪のりをしてきたということで、結果を見た時にこのことが非常に強く出たものですから、我々都道府県のみならずとりわけ市町村のうち小規模な町村においては、三位一体改革をこれから進めると、我々地方にとってはいいことが何もないじゃないかというような印象さえ抱かせたということにおいて、大変これは冒頭申し上げた理念と全く異なる改革というよりも、いわばその部分については改悪としか言いようがないと、このように評価できると思います。

それからもう一点、全部悪い、悪いという話が出ているんですが、ただ政府の方で所得譲与税という新しい税をつくっていただいて、基幹税による税源移譲について道筋をつけていただいたということ、これ自体はやっぱり評価しなくてはいけないとは思いますけれども、全体としては先程から両知事が言われたことと私は基本的には同じような感じを持っております。

なお、谷本さんがおっしゃった八割というのはあくまで試算ということで出たので、それでいいと言ったわけではないので、ちょっとその点だけ補足させていただきます。

水城解説委員

三知事いずれも厳しい評価ですが、小西さん、どうですか。

小西教授

同じことを言いますと対談にならないものですから、ちょっと違うことを申し上げようと思います。

地方分権推進委員会は税源移譲について、比較的初期の段階では、先に国庫補助負担金の一般財源化をして、そしてそれに伴う税源移譲をするというような答申を出しています。ところが、最終報告になりますと、税源移譲が先にあって、その後、国庫支出金の削減をするという、まさに三知事おっしゃったように税源移譲を先に持ってくるべきだという方向で、最終的に変わります。

神野直彦東京大学教授が強調されていることもまさにそれで、もともと地方分権推進委員会は地方税の税源移譲が次の分権改革の課題だ、というところで終わっているわけで、その文脈を地方分権改革推進会議がきちっと引き継がなかったと言っておられます。そこで谷本知事もよくご存じのような結果になったということだと思います。

ところが、六月に出た地方分権改革推進会議の意見書はその直後の骨太の方針には反映されなかったけれども、十二月までの予算審議をやっていく中では、結局もとの形に議論のされ方が戻っているわけです。つまり、一般財源化すべき国庫支出金を探して、それに地方税を充てようというように元へ戻ってしまったのです。

こういう流れを総括しますと、地方自治法なり地方財政法なりに規定されているような財源保障という考え方からいけば、まず最初に仕事、権限、権能があって、地財計画の歳出が決まるという理屈になりますので、その世界から入っていきますと、税が先という話にはならないんです。

税源移譲という議論を先にやるべきだというのは、地方分権の議論としては正しいと思うんですけれども、いわゆる財源保障の考え方とはどうしても感覚的に違うところがあります。つまり権限、権能があって、総額として財源保障するというのが今の地方財政制度の運用のされ方であるのに対して、先に税があるという発想は大きな発想の転換であると思います。

地方分権ゆえに、税源移譲から入るという発想の転換をするということについては、自治体関係者とごく一部の方にしか、残念ながら今のところ共有されていないのが現状だと思います。ですから首相がリーダーシップを取るにしても、そこのところの議論がすれ違うので、不満が残るということになるのだと思います。

税源移譲から入るというのは、財政運営の理屈から言うと、非常に健全な発想だと思うんです。ところが、例えば都道府県の地方交付税は留保財源率がこの間まで二〇%だったものが二五%に上がっているわけです。留保財源率が上がり、税を中心とした財政運営に移行しようという動きについては、現実の制度の中に、少しですが反映されている部分があるわけです。留保財源率が二〇%から二五%になりましたが、これについては、反対も賛成も含めて、ほとんどコメントされていないんです。非常に地味だけれども、いいことなんだという反応が返ってくるようならば、税から入るという言い方についてももっともっと理解が得られると思います。私は都道府県は留保財源率が上がったということについて、もっとプラスイメージでつかまえていくべきじゃないかという気はします。

水城解説委員 そうすると、小西さんは税が一番バッターでなくて、一番バッターは何だと……。
小西教授

税が一番バッターであるというのが分権の議論であることは間違いないんですけれども、なぜ分権の議論なのかのコンセンサスは政府内にはなく、ですから改革が進まないのであって、総務省も含めて税が一番バッターだというのは、現状では言葉としては理解していても、いざ省庁間で調整するという段になると、進まないのではないでしょうか。分権会議の意見書が政府の方針とならなかった後も、十二月になったらまた地方分権改革推進会議が補助金改革から入ったのと同じトーンで改革論議を繰り返すのではないかと申し上げているのです。

水城解説委員

どなたでも反論がありましたらどうぞ。

浅野知事

税源移譲の議論が先にあるということは、我々地方側には共有されているけれどもトップとか霞が関にはなかなか理解されていないという話なんですが、言葉の微妙な点かもしれませんが、この問題は議論ではなくて手段、手続、手順というふうに考えるべきだという感じがします。

それはなぜかというと、去年の反省の時に、なぜ厚生労働省は生活保護費の負担率を四分の三から三分の二にするなんていうとぼけたことをやるんだと、私の出身省なものですから、ものすごく私が悪いとみんなから言われて、それはちょっと後輩にも意見しなくちゃいかんというのと、真意を聞きたいと、また、ひょっとしてお互いにコミュニケーション不足かも、これは非常に不幸なことだから早い時期にしておこうと思って、実はこの前そういう場を持ったんです。その際、三分以上の理が私はあると思って彼らに同情したのですが、厚生労働省として補助金廃止のリストを出せと言われ、その時に何が頭をよぎるかというと、各省全部そうですが、自分たちは厚生労働行政というもののために地方と一体となって体を張っているというつもりでいるわけです。これは悪く言えば権益ですが、よく言えばやりがい、生きがいみたいなもので、正しいんです。

彼らがリストを出すときに、躊躇するのは何か。税源移譲なんです、実は。つまり、彼らも我々と同じ部分を共有しているなと思ったのは、補助金廃止リストだけ出させられて、それを廃止されて、全体としてももちろん一対一には対応していないんですが、それに見合う税源移譲がされなければ、これは結局その補助金をもって実現しようと思ったものが駄目になってしまう、縮減してしまう。これはやっぱり耐えられないことなんですよ、権益とは別に、霞が関の住人としては。その分は、実は地方でも同じ仕事があるわけですから、共有していると。その視点に何となくなったのは、共通の敵は財務省だなというか、総務省もちょっとそれに乗っかったなという変な話になったんです。

今言いたかったことは、実は地方だけで地方分権の美しい言葉とすれば、税源移譲が先行すると、理論的にも正しいとおっしゃった。もっと言えば、それは決して地方だけじゃなくて、霞が関も含めて、この作業を十七年度もう一回やる際、補助金廃止リストを出すという時に、アット・オールとしてそれに見合った税源移譲があるよということを霞が関も保証されてやるのでなければ、一歩たりとも動けないという気がします。

あと、先程、谷本さんがおっしゃった八割の問題も、これは一応試算だと言っていましたが、もう一つ、時間差があるんですね。そこは補助金にムラがある、だから一億円を自己財源でやれば八千万円でやれる。そうとはいえ、それは二カ年度、三カ年度かかってそれが可能となるので、初年度からそれをやられたのでは、絶対そこは穴があくのです。それは余計なことですが、税源移譲と補助金廃止という話を美しい、理屈の話としてとらえるというよりは、私は今、手続、手順の問題として、まずこの額の中でやってみようよというふうに手順の話に戻してやらないと、霞が関は各省とも作業ができない。そんなふうな論理性で考えています。

石井知事

それに関して、小西先生がおっしゃったことに関連するんですけれども、私も第二十八次地方制度調査会の委員を拝命しまして、官邸で総理に対し、直接今回の三位一体改革の評価について、我々非常に不満が残るということでお話をしたんですが、その時総理は非常にけげんそうな表情で聞いておられました。

と申しますのも、四兆円の中で一兆円、指示を自分がされてちゃんと数字が出たではないかと、この思いが非常にあって、なぜ不満なんだということでじっと聞いておられましたので、ことほどさように我々の問題意識が官邸トップまで十分に伝わっていないということは同感に思いました。

それから、今回示された「麻生プラン」の中で、「三兆円規模の税源移譲と住民税の一〇%比例税率化の先行決定」ということを打ち出して、この中で各省は補助金、負担金の見直しをやれという方法論を具体的にプランに乗せているということは、大変私は評価できるというふうに思います。

是非ともこの麻生プランが実行されますようにしませんと、昨年の各省の数字が、まさに数字だけをつじつま合わせに出してきたようなことが今後また出てくるということであっては、これは真の分権改革にならないということです。麻生プランはそういう面では今までの発想を転換しようということで、我々の望んでいる方向へ一歩踏み出していらっしゃると、私は思います。

谷本知事

昨年末の予算編成では、一兆円の国庫補助負担金の削減に対して、税源移譲への道筋として手当てされたのが四千五百億円でしたが、あとの五千五百億円はどうなったのかが未だによくわからないというのが現実です。それに加えて、この国庫補助負担金の削減や税源移譲と連動して交付税が積算されて、削減されたのならまだわかるんですが、どう積算してもこれらとは全然かかわり合いのないところで、実質交付税が三兆円も削減されたという、このダメージが各都道府県、市町村にとって、実質的にも精神的にもものすごく大きかったということです。ここに地方に不信感を抱かせた本質的な問題があるように思います。

三位一体改革の理念と全体像等

水城解説委員

そこでちょっと私の方から、また小西さんとは別の、どちらかといえば納税者の立場から知事の皆さんに素朴な疑問を投げかけたいと思います。国も地方も大変な財政危機ですから、これはやっぱり健全化、スリム化して、小さな政府に、国もそうですが、地方も努力してもらわなきゃいけない。そういう意味では、交付税改革というのは納税者の立場からいけば受け入れられるものです。今日、拍手喝采までいくかどうかは別にして何かすごいことをやりましたからちょっとやり過ぎの感もありますけれども、基本的にはそんなに違和感はございません。

一方、税源移譲ですけれども、これはある程度対象額がたまってからやるべきです。所得税とか住民税とか税率を変えたりいろいろな作業をしますから、数千億円くらいなことで本格税源移譲なんかしたら税制がぐじゃぐじゃになります。例えば、三兆円なら三兆円とか、ためてどうするか、そういう話だと思います。そういう意味で、初年度としては所得譲与税、それから予定交付金とか、一応、地味ではありますが、布石は打たれているという意味では、そんなに激怒するようなものではないじゃないかと、私は納税者の立場から思います。ただ、私も知事さん方の立場だったら予算編成は大変だったと思いますから怒ったと思いますけれども、納税者の立場からは温度差があります。

税源移譲だけ言っているのかと誤解されちゃいますと国と地方のお金の取り合いになってしまい議論が変な方へいくんじゃないか、そういうことを私は心配しています。

浅野知事

私は違うと思います。これは、財務省のやったことは、非常に罪深いと思っています。

なぜかというと、国も地方も財政危機なんだよと、だから少しスリムになりましょうと、これはそのとおりです。しかし、それを三位一体改革の中に入れ込んできたということが非常に罪深い。これはこれ、それはそれなんですよ。

そうすると、そんなことも交付税の縮減でやっているというのを、地方の知事が「何考えてんだ、財政危機、納税者の身にもなってみろ」と言っているのは、それはおっしゃるとおり。それは三位一体改革という文脈で語られるべきものではないんです。

だから私は今回、財務省が罪深いと言っているのは、地方も反対できない三位一体改革という中にこれを入れてきたということなんです。だから石井さんがおっしゃった、弱小とかと言われている市町村が、こんな三位一体改革ならやめた方がいいわというのは当然の話です。その意味でも罪深いんです。これは当然分けてやるべきもので、それをわけもわからず入れてしまったということの罪深さは、結局三位一体改革ということを非常に薄汚れたものにしてしまった。

だから財務省が非常に根性悪のシナリオでやれば、「これはいいことを聞いた。三位一体の改革で交付税の改革ができる。それから補助金、負担金も九兆円廃止してくれというふうに、我々が言おうと思ったことを地方から言ってくれたじゃないか」と言ってやった。それは罪深いです。

だからそういう我々の思い、怒りというものがあって、財政が大変になったということは当然なんだと言われても、しつこいけれども、この流れでやったということの罪深さは、これは私は一回謝ってもらわなくちゃ困ると思うのです。

水城解説委員

それは私も全くそう思いますが、ただ内閣の骨太方針で三位一体になってしまったわけですよ、交付税も入れてね。そもそもそういう区分けというか枠のつくり方自体がおかしいことになってしまう。地方の自立と財政再建が同床異夢で同居しちゃったんです。

浅野知事

だからさっき冒頭に言った、なおのこと思ったけれども、三位一体改革という言葉がやっぱりよくないんです。これは単なる方法論を言っているだけで、これもこれもこれも一体にやりますよと言っているに過ぎない。財務省のシナリオでは地方財政自立改革はちょこっと備考欄にあるだけで、国、地方を通じての財政再建を三位一体改革という方法でやろうと思い、我々は地方財政自立改革というのを三位一体でやろうと思った。これは全然かみ合っていなかったのです。

石井知事

私はそれには冒頭申し上げた、交付税の方の大幅削減は三位一体の中でも同床異夢だったと思います。つまり、私たちは国庫補助負担金と税源移譲をセットでやると、当然交付税に関して税源移譲されますと不交付団体がどんどん出てきて、地域の偏在がより大きくなってきますから、その限りにおいて交付税の見直しというのは必要になります。そういう意味においては交付税の見直しは当然入ると思って、項目的にはそういう意味でスタート台に立ったわけですが、ところが財務省の方はこれを機に、いわゆるさっきも申し上げた規模是正を一気に行おうと、実際の地方財政計画の改革を一気にどんとやってしまおうということで目標を立てて攻めてきたということで、本来我々はそれを受け入れるということで議論をスタートしたわけじゃないのに、結果的に年末でああいうふうになってしまった。

それを証拠に私たちが暴挙として怒っているのは、特に交付税の大幅削減が一年目にこれだけ出たから三位一体改革、実はそれでは三位ではないと思いますが、それが出たために我々は怒りをあらわしているわけです。その証拠に年末の段階での知事会会長の談話には、要するにある程度評価するという感じで談話が出たと思うんです。ところが、年が明けて平均一二%の交付税等の削減が各県に割り当てをされて、私ども岡山県は一四・四%で、平均より大きかったんです。それを見てびっくりして暴挙と、唐突で大幅でけしからんと、こういうふうになったわけですから、そういう意味では水城委員がおっしゃったように、税源移譲についてちゃんと道筋つけたじゃないか、国庫補助負担金もある程度やったじゃないかと、こういう点についてのある程度の評価は、その点限りにおいてはあったかと思うのですが、いずれにせよ交付税の問題は完全に三位一体改革の中に入ってきたものですから混乱して、我々としては非常に問題が残るというふうに総括せざるを得ないと思います。

谷本知事

地方分権改革推進会議においても同床異夢というところがありました。言葉としてはどの委員も三位一体という言葉はみんなわかっていましたが、実際には意見書案を取りまとめるという段階になって、委員の思いが完全に分かれてしまったのです。ある委員は、国の財政再建というのを最優先に考えなければいけない。そのためには、交付税も大幅に削らなければいけない、法定税率だけにとどめなければいけない、交付税を大幅にカットしてしまえば、国が補助金を配っても地方は受け入れができないから、補助金も要らなくなる。そして、税源移譲については増税時まで先に送るという意見でした。

私は、国の財政再建のための三位一体の改革ならそれでいいのかもしれませんが、地方分権改革推進会議で議論しているのは、地方分権を推進するための三位一体の改革を議論しているのであって、それでは三位一体の名に値しない。こんな意見書案には我々は同意をするわけにはいかない。ここは財政再建促進会議でなくて、あくまでも地方分権改革推進会議なんだから、地方分権を実現するため、推進するためにはどういう手法でやらなければいけないのか、それをきちっと議論しないといけない、との意見を述べました。

地方分権改革推進会議でいろいろな参考人に意見を聞きましたが、一番はっきり言っておられた方は、交付税を大幅に切るということが財政再建のために一番有効なんだと。これを切ってしまえば、自治体は財源がなくなるから国から補助金を使えと言われても、補助金の受け入れようがない。ということは、各省の補助金が余ってしまう。余った分は、不要で落とせばいい。そうすると全体として歳出が圧縮になる、そういう意見を言っておられた方がおられました。これはすさまじい意見でした。

つまり、交付税がぶくぶく水膨れしたことが一番の元凶であるので、自治体の交付税をぎゅっと圧縮してしまえば補助金も使わなくて済む、全体の財政再建につながるという意見です。極論かもしれませんが、ある参考人の方がそういうことを言っておられました。

それから、景気対策で我々地方も国に協力し、地方債を大量に発行しながらどんどん公共事業をやりました。我々には税源がないので地方負担分の財源として地方債の発行を認め、将来、償還は国が責任持つからどんどん地方も公共事業をやってくれというので国に協力をしました。しかし、国に協力をする際にも、地方債の発行ということは借金だから、将来それは償還しなくてはならないもので将来大きな財政負担につながる。そういうことがわかっているならば、国から要請があっても断る勇気を自治体は持つべきだと。それを断らずに安易に受け入れた自治体にこそ責任があるという、参考人の意見もありました。

水城解説委員

今我々は何のためにやっているんだという理念を改めてはっきりし、地方の自立に向けてわかるように国民各方面に訴えていく必要を感じます。

そこで、それを踏まえて改革の全体像です。知事会でも補助金の整理は約九兆円、税源移譲は七・九兆円と出しているわけで、骨太の方針の三年間で四兆円というのは道半ばだと思うんですが、この改革の全体像、これでよいかということについてご意見を伺いたいと思います。

浅野知事

まず、このような混乱を踏まえ、先程水城さんが納税者の立場で言わせてもらいますとおっしゃったですが、これは正しいんです。今回、このような混乱になった一つの原因は、何のためにやるのかということについての意識の共有がされていなくて、技術論に走ったり、石井さんがおっしゃるような同床異夢だったりしたというのは、自分たちもプレーヤーであったので反省しなくてはならないのですが、そこから間違えている。格好よく言えば、私はこの国の形をどうしていくかということで、キーワードは国際化だと思っているわけです。

国際化というのは、国際競争ですよ。そういう中で、日本というのがちゃんとした役割、国力に合った役割を果たしていくためには、しっかりとした行財政運営をしていかなくてはならないということがまず一つあって、三十年前や二十年前にはなかった今の現代的な一つの課題なんですね。歴史的な必然みたいなもので、それはやっぱり国際化への対応ということだと思うんです。だから、「霞が関はそこに集中せよ」という補完性の原理を言っているのも、それは余計なことをするなではなくて、霞が関はもうちょっと国際化ということについて、BSEの問題とか上げれば切りがないけれども、例えばそういうことのために農水省はあるんでしょうとかということにちゃんと特化をしてやっていかないと、この国は危ういよ、ということがまず今回のこういうリストラクチャリングの目的の大変大きなものだと思います。

もう一つは民主主義だと思っています。納税者の立場で言った時に、当たり前のことなんですが、宮城県民は県税を宮城県に納めている。使い手は、浅野史郎なんです。だとすれば、この人に払ってどういうふうに返ってくるのかということが見える形の直接性というものがなければ、納税者としての行政ウォッチも、意見の言いようもないでしょう。それは補助金とかを通じてそこのところがうやむやになっている中で、民主主義がそもそも育つんですか、機能するんですかという、なかなかこれは言葉で言いにくい問題なんですが、そういう二つの現代的な課題というのを持っています。

そこに財政再建というこれまた別な政策目標、このままいったら国の財政破綻するよ、どうするんだというものがあります。これはこれでもちろん解決しなくてはならないというのは、これで一つの今の日本の政策目標としてあります。今申し上げた私のこの国の形をどうするのか、民主主義をどう育てるのか、それもまた命題としてあります。この命題のためにこれはやるんだよということを、明確に納税者というのを意識して我々もアナウンスしていかないと、何だかあっちこっちでコップの中の嵐をやっているねというふうに思われます。

それにつけても、もう一回皆さんのお話を聞いて、三位一体改革という言葉は、完全に私は薄汚れてしまったと思うんです。これ、言い出した人に悪いですが、そもそも宗教用語ですから、こんなもの余り勝手に使っては、ローマ教皇に申しわけないのではないかという気もしますが。

水城解説委員

「三位一体」は去年の流行語大賞にはなりませんでしたが、結構人々の関心を集めた功績はあったと思うんです。

ところが、今回の麻生プランは「地方分権のための地方税財政改革」、これがメインタイトルで、(三位一体)は括弧書きのサブタイトルです。

浅野知事

だんだん死んでいきますよ、これ。死んでもらわないといけない、これは。

水城解説委員

「地方税財政改革」だったら、何か財政再建やるような印象を与えてしまい ますから、浅野さんがいつも言っているように「自立」というキーワード入れて欲しいですね。

石井知事

だから、自立するための理念ですよね。地方が自立するための地方分権改革の大きな柱として、今回のいわゆる三位一体改革論というのが位置づけられなきゃいけないと思うし、そういう面では私はいわゆる地方分権一括法の施行によって、権限の関係は既に国と地方の関係が対等、協力の関係、上下主従から変わったと。残る最大の税財源の問題を今、そういう見地からとらえて改革をすべきだと思います。

という意味では、真の地方分権をこれから進めていくための諸改革はいわゆる明治維新の改革、戦後の改革に次ぐ第三の改革というように位置づけて、浅野知事が言われたような、もうこれだけの国際化社会の中にあって、そしてわが国が今までは確かに高度成長等々中央集権国家によって今日の日本が発展をしてきましたけれども、失われた十年ではないですが、こういう事態の中に立って国際化の波がある中で、成熟した社会の中における地方はどうあるべきか、こうなった時にやはりこれから地方行政は住民に最も身近な地方自治体が責任持って政策決定を行い、そして税金の使い道を自らお示しをして、納税者がそれではというので、税金を納めることにも当然協力的になってくるような、そういうふうに社会全体のありようというものを変えていかなきゃいけない、このように私は考えています。

そういう大きな改革を、第三の改革をやっているんだぐらいの大きい改革の中に我々は今いるんだということをまず整理をしていかなければいけないと思うし、それから国の財政再建にも実は協力をしている改革だということです。

私たちは、十一兆円ある国庫補助負担金のうち約九兆円の見直しをし、先程谷本知事がおっしゃったように義務的なものは十割、それ以外は一応仮に八割として試算をすると、つまり九兆円から八兆円ということですから、一兆円は国の財政再建にも協力すると、こういう提案をしているわけでありまして、そういう面で国の財政再建とは別の三位一体改革ということで議論は本質を忘れない、そういうふうな論議をして、理念というものを絶対忘れてはいけない、こういうふうに思います。

水城解説委員

そのうえで、全体、グランドデザインといいますか、そこら辺は数字的にどんなふうに考えていくのでしょうか。

谷本知事

去年、知事会で苦労して、全員一致ということではなかったですが、大多数の県がこれでいこうということで、具体的な補助金名をリストアップしました。これは財務省に悪用されたと浅野さんの話があったけれども、補助金名を全部リストアップして積算をすれば九兆円の国庫補助金を廃止する。そして、それを全部よこせとは言わないが、八兆円を税源移譲するということになれば、本当の意味での地方の自立につながっていくんではないかという具体的な提案をしたわけです。これは実際、言うべくして今まではなかなかできなかった話であり、これまで補助金名まで挙げるというのはできなかったわけですが、それが年末の予算編成ではうまく活用されなかったというより悪用されたというか、いいとこ取りされてしまったという形です。

小西教授

先程申し上げたところをもう一度申し上げますが、権限、権能がまずあって、そこを積算して地方財政計画の歳出が決まるというところから地方財政制度というのはスタートしています。そこからスタートするわけではないという議論をしないと、この税源移譲から入る分権改革ということにはならないんです。

だから、例えて言えば、この税に対してこの権能を対応させるから地方はこの税を差し上げますので、この権能についてどのように住民サービスを展開するかについては各県なりできちっと政策をデザインしてくださいねというふうに変えるのが分権改革だということになるわけで、地方税と権能という対応関係で地財計画の歳出の中を抜いてくるような感覚でことを進めるわけです。それをやらなければこれは税源移譲からスタートしたことにならないわけで、それをやろうと思ったら、まず税源移譲の金額を決めたうえで、この権限とこの権限とこの権限については、総理大臣が最終的に、各省が自分たちで政策を企画立案するということについて、あきらめなさいと引導を渡さないといけないわけです。

ところが、引導を結局渡せないで、技術論に戻りますが、昨年の十二月、結局のところ内閣官房副長官のところで各省に放棄できる国庫支出金は何ですかと調整しているわけです。そうすると、金額の出来高をクリアすればいいのかという感覚で、浅野知事がおっしゃった生活保護率の引下げみたいな案が出てきてしまったわけです。つまり、ちゃんとした指示が総理大臣から降りてこないというところが問題なわけです。

これがどこかで風穴があけば霞が関の構造というのは変わるわけで、ここが分権改革だと思うんです。金額云々よりも、十六年度はその世界が実現できなかったです。十七年度は、その世界が実現できるかどうかのせめぎ合いだと思うんです。四兆円が八兆円になればという世界ではなく、もっと発想の転換がなければならない。

ところが、石井知事おっしゃったように、総理は何が不満なのかおわかりにならない様子ですが、私は総理に不満です。

浅野知事

わかりやすい。おっしゃるとおり。

各論

国庫補助負担金の廃止・縮減、税源移譲、地方交付税の見直し

水城解説委員

各論に進みたいと思いますが、国庫補助負担金、税源移譲、地方交付税に関し、お話しいただきたいと思います。まず国庫補助負担金については義務教育国庫負担金の問題とか生活保護とかいろいろな問題が積み残しになっていますが、これらも含めて今後、どう取り組んでいったらいいかご意見を。

浅野知事

今小西さんから本質論があったので、ちょっと逆に言いにくい部分があるんですが、別な観点からもうちょっと下世話的に言った時に、まず少なくとも補助率カットは絶対駄目と。やること自体がもう、ばかと。もう、ちょっとでも出たら「ばかっ」と怒らなくてはならない。補助率カットの問題ではないんですと、これはものすごく大きな声でやらなくてはならないというのが一つ。

それから補助金、負担金とあって、それはある程度優先順位ということを考えなければならないと思うんです。一遍にとはいかないので、ある程度段階を踏んでいった時に、補助金、負担金をやったら廃止は補助金が先ということはあると思います。私も補助金の優先順位をという時に、罪深き補助金というか、罪深さ度合いによってみたいなことを言っても、なかなか罪深さというメルクマールもわかりにくいので、私は今小西さんがいいサジェスチョンをおっしゃったので、これは金額がどうのこうのとかいうよりも、まさに、今の言い方は霞が関の住人の立場からいったら身を切られるというか、その次に「えーっ」と震える怒りが来たりするかもしれませんが、だけどそこまでいかなくてはならないのです。小手先で幾ら出せよと、これはどうだというバナナのたたき売りする世界ではなくて、これはもうあきらめなさい、もうこれは宮城県が、石川県、岡山県がやった方がよっぽどいいし、それだけ成熟してきたんだから、もうこれはいいと、あなた方が今までやった功績は認めるよという表彰状渡してぽんとやると。

ちょっと今の水城さんの答えにならないんですが、考え方のポイントは、彼らが霞が関の住人として生きがいであった、それをこっちにもらうという重みのあるものだということ、そういう手順でやらなくては駄目だろうと思っています。具体的、抽象的に言えないけれど。

それから義務教育費国庫負担金について一言。このことについて、私が知事会の社会文教調査委員長ということでこの前、委員会を開催しました。なぜ開催したかというと、早い段階でこの問題をある程度決着つけないと進めないからです。義務教育費国庫負担金全体について、二兆六千億円残っているわけですから、今回の三年間で四兆円という中に入れるか入れないかで全然ピクチャーが違ってくるので、大体の雰囲気ということで言うと、二兆六千億円ということを見つめた時には、少なくとも三年間四兆円からはちょっと後ろだと。その中で、今残っているのは、単独加配と事務職員とで三千億円でしたか、これはどうだという話も出てきましたが、これはちょっと私も悩むところで、ただ何となく誰か義務教育費国庫負担金も手をつけなくちゃいけないねという思いに呪縛されているという感じもしないでもないんで、ここは慎重に議論をして、それが本当に優先順位が高いかどうかということに照らして考えていかなくてはならないのではないかと思います。

谷本知事

義務教育費国庫負担金を完全に廃止するということで四兆円実現したらそれでことが終わりということになってしまうと、これは何のための税源移譲、何のための国庫補助負担金の削減なのかわからないという点が一番問題だと思います。四兆円は達成したので、税源移譲、国庫補助負担金の削減はこれで終わりということになるとこれは最悪です。

浅野知事

それは最悪のシナリオ。

谷本知事

だから我々も去年協議して義務教育費国庫負担金もリストアップしたわけですから、この旗はやっぱり降ろしてはいけない思います。

文部科学省が総額裁量制とか自治体が使いやすいようにといろいろ工夫はしているようですが、それでも国庫負担金という性格は変わらないわけだから、国庫負担金の削減の旗を降ろしてはいけない。しかし、逆にそれが悪用されて、文部科学省がこの負担金をカットしたから、これでもう四兆円は実現しました。これでもう三位一体の改革は一件落着ということになってしまうと何のための改革かわからない。

浅野知事

そこはしっかり押さえながら、ちょっと今くせ球がなくなっていて、そのうちの一部を取り出して、だから義務教育費国庫負担金にもちょっと手をつけたよって言いたいからだとすると、ちょっと待てよと言いたいんですが、これは個別に少し慎重に、今谷本さんおっしゃった二兆六千億円の本体を三兆四千億円でお茶を濁してしまうというのは、これはもう全然論外ですが、あと個別のものについてはもうちょっとオープンに議論して考えていくといいなと思います。

石井知事

それすなわち地方の自主性、それから自立的な政策決定ができるそういうものを優先的に裁量の余地が広がるようなものを優先的に我々対象にしてほしいという根本を間違えないでほしいということだと思うんです。義務教育費国庫負担金にちょっと手をつけただけで終わりというのではもう問題だというのは私も全く同感でございますが、基本を大切にするという意味においては、一つは公共事業のようなものにつきましても、やはり我々がやるかやらないかということは一番裁量が働く分野だと思いますので、それは確かにこれを建設国債発行対象経費だからという消極的な意見はありますが、しかしその償還財源はやはり税費金でやっているわけですから、そういう面ではむしろそういうようなものを義務教育みたいな義務的なものより優先的に対象にすべきだと思うし、今度新設されたまちづくり交付金といったような制度は、やはり同じように国のさまざまな関与なんかがまだ残っているということなので、こういったもので終わりというのではない。それを一番大事なポイントにしなきゃいけないと思います。
それから、事業そのものをやめたと、公共事業ですからシーリングで例えば何%カットだとか、あるいは制度そのものを、公共事業のあるものをやめたといったようなことで、そうすると税源移譲が裏打ちされませんので、こういったものは論外だと、こういうふうに言わざるを得ないと思います。

水城解説委員

国庫補助負担金でまた納税者というか地域住民というか、そういう立場から素朴な疑問をちょっと出します。要するに地方の自立につながる独自の税源が来るのは大変結構なことなんですが、それによって例えば義務教育はどうなってしまうのか、保育は大丈夫かと、特に地域格差の問題やっぱりあると思うんです。これについてはどんなふうに考えていったらいいんでしょう。

浅野知事

まさに私はそこは民主主義が試されていると思います。この議論をやった時に、文部科学省も、厚生労働省もそうなんですが、まず大前提として、廃止したらそれに見合う税源移譲があるよという前提でいかないと、廃止した時に税源移譲がなくなったらどうするのという議論でうやむやになってしまう。それは当然廃止してそれに見合う税源移譲はされるという前提での話です。
確かにおっしゃるんですよ。よく浅野さんみたいな立派な知事のところだったら義務教育国庫負担やめても決してそれはけちるということはないでしょうがとか、私の顔見ながら言う人もいるんだけれども、だけどこれは幾つか反論したいんですが、高校教育は、全部県立高校は自前でやっているわけです。では金がないからけちるかという時に何を考えるかというと、当然横並び考えるんです。石川県のあれに負けたくないとか。

石井知事

隣でしょう、まず最初は。

浅野知事

隣ね。

谷本知事

高等学校の運営は国庫補助負担金を受けずにやっているでしょう。だから高等学校の統廃合は、知事の責任でやっているわけです。石川県も既に五校廃校しました。

浅野知事

それと、これはきれいごとじゃなくて、やっぱり民主主義も試されるわけです。本当に言えば、例えば宮城県で義務教育で少し手を抜くと、三十五人化にというのはしゃらくせぇ、五十人化だ、というのはやったっていいんですが、選挙に落ちるとか、提案すらできないでしょう。それでいいと言うならいいじゃないですかと言うぐらいに。

谷本知事

今、小西先生が言われた話と関連しますが、現在、地方分権改革推進会議で必置規制の議論を行っています。
例えば、保健所の所長は医師でなければいけないという規定が約六十年前の昭和二十二年にできているんです。いまだにその規定がずっと続いています。
厚生労働省は、医師でない者を所長にすると、公衆衛生行政がうまくいかなくなるので はないかとものすごく心配で、地方に任せられないということです。しかし、地方はそれなりの力がついてきたし、福祉と連携しなければいけないから、保健所長はもう医師でなければいけないという必然性はないのではないかと思います。そして、公衆衛生に精通する医師を国は育ててきていません。現場では、臨床医はたくさんいるが、公衆衛生に精通した医師、そして組織管理能力を十分に備えた医者は少ないわけです。そういう公衆衛生に係る医師を養成しないで、公衆衛生に精通した医師でなければ所長は駄目だというのは、現実と全然マッチしていない。だから全国の知事がみんなこれについては不満を持っていると意見を述べましたが、厚生労働省としては、やはり保健所長は医師でなければいけないという考えです。
今度、政令が改正され、要件が緩和されるようですが、このハードルが、公衆衛生に精 通した、医師と同等の能力を持った技術吏員となっているわけです。事務吏員では駄目で、技術吏員だというのです。しかも、公衆衛生に精通した医師を確保することが前提で、例外を認めるのは二年間だということです。二年の間に、県は公衆衛生に係る医師を探しなさいということです。医師でない者を所長にして何かことが起きれば、自治事務ですから、任命した知事が責任を問われます。厚生労働大臣が問われるわけではないということを言っているのですが、ガードが堅い。

浅野知事

土木部長は一級建築士でなくちゃいけないとか、みんなほかのも全部そうで、知事も知能指数百以上でないと認めないとかっていうふうになったら、なれない人もいっぱい、私も含めいるわけで……(笑)。
だから、それはみんなそのポジションにふさわしいだろうという人はいるけれども、そうでない人もいっぱいなっているわけだから、実際。

石井知事

要するに、地方に任せていただければいいんじゃないかということだと思うんで すね。最近、自己責任論ということがマスコミをにぎわせていますけれども、自己決定、自己責任の原則はもう今の話です。

谷本知事

そのことについては我々は逃げません。

石井知事

逃げません。自信持ってやります。

谷本知事

国のせいにしたりしません。逃げられない。

石井知事

地方自治を信頼してください。

水城解説委員

公立保育についても設置基準みたいなものは残っているようですが、そういうものはどうなんですか。

石井知事

定員六十人以上でなきゃいかんというようなことでね、保育所がやっていても。しかし、駅前にビルがあいてますよと、それを利用して十人程度で保育所を開設したいという地域の要望があるわけでしょう。それをああだこうだといって国がコントロール、補助金等を使ってやるというの、それがおかしいじゃないかと。その財源を我々移譲してもらって、自由にそれは我々に任せてもらってちゃんと適切に運営しますよと、任せてくださいと、こういうことだろうと思うんです。我々まだ信頼されていないんだと思いますが、もうここまで成熟社会になったら、もう長い間、福祉行政をみんな自治体はやっているわけでしょう。専門家も指導・監督する人も育ってますから、もうどうぞその辺のところはお任せくださいというふうに申し上げたいと思います。さっきの保健所の所長もしかり。

水城解説委員

小西さん、何か補助金でコメントされることは。

小西教授

私は中央省庁に勤めたことも何もないんですが、時々伺いますと、多分課長の椅子に座っていると、自分が担当するところにおいては、この国を担っているという実感を強く持つだろうと想像します。いろいろな要請、要望が各界から猛烈にあがってきますし、あるいは国会審議で厳しく責任追及されたり、きちっとやれと命じられたりもしますし、少し何か問題が起きれば、国はどうなっているんだと問われ、大臣、副大臣が答弁するんでしょうけれども、それぞれの省庁は、国会で厳しく責任が問われる。
一方、そういう世界がありながら、知事さんがやれるとおっしゃっておられるので、分権ですから地方にやっていただきますと考えを変えろと言われても、自分が中央省庁のスタッフだったら、自らは絶対言わないでしょう。言う必要がないという実感もあるんだろうと思います。
繰り返し言いますけれども、これはやっぱり総理の判断というか、極めてトップダウン でいかないとこの話は無理だと思います。

浅野知事

それはそうだ。

水城解説委員

元経験者がいらっしゃいますから、皆さんどうですか。

浅野知事

小西さんがおっしゃっていたことは、私はそのとおりだと思う。自分でそれをやるということは、自己否定ですよ、というのが一つ。
それからもう一つ、こういうことがあるんです。それは、非常にはっきり言うと対財務省との関係で、例えば自分が課長なり何なりとして与えられている権限の中に補助金がありますと、それは国家財政の中の〇・何%だけれども、この〇・何%の確保を、私が先兵として、また後ろにつく地方のためにも、またこの業界というんですか、このフィールド全部の人のために、おれが体を張ってとってくるんだということです。これをやめると言ったら、この仕事を誰がやるのかと思っている。それは、実はそれをみんな隣の課長も全部同じようにやっているわけです。パイの取り合いをやっているんです、結局は。無から有を生んでいるのではなくて。だとすると、みんな一斉に撃ち方やめと、こうすればいいんです。
だから今小西さんがおっしゃったことは本質を突いている。自分ではやめられません。自分だけではまたやめられません。やめるとなれば、本当にそのポジションは、この仕事は一体日本の中でどうなるんだと、もう心から死んでも死に切れないと思うんで、そこの心理というか役割認識を理解したうえで、上からトントンと、「そんなに頑張らなくていいんだよ」と言ってやるのを、ただ口だけではなくて、やっぱりそれは税源移譲という形になるんでしょうけれども、この部分はちゃんと各県に渡したからと言ってあげる。
しかし、彼らの顔を見てみると、常識に任せようじゃないかといって納得するかどうか、それですよね。

小西教授

保育所の関係の業界の新聞を読んでいて、三位一体改革は保育行政にとっては危   機的な状況ですが、しかしここで公立保育所のレゾンデートルをはっきり見せなきゃいけないから、今後は頑張ろうというトーンで、締めくくった論説を見つけました。これはいい話だと思いました。
だからここを突破口にして、地方は国の助けがなくてもちゃんとやれるというところを 示さなきゃいけないと思います。

谷本知事

昔、保健所には国の補助金がありました。人件費や活動費が補助対象でしたが、今は、ほとんどありません。補助金はなくなりましたが、別に保健所は弱体化しているわけでも何でもない。地域のニーズに合った形で運営しているわけです。
恐らく補助金をなくす時は、補助金をなくしたら保健所はリストラでどんどん人が減ってしまうとかいろいろなことが言われましたが、結局は補助金がなくなった後も、保健所の運営はきちっとやっています。

石井知事

一番忙しい出先の一つでしょうね、今。ニーズは高まっています。

水城解説委員

次に、税源移譲ですけれども、基幹税、要するに所得課税、消費課税、この辺は大体コンセンサスと思うんですが、ちょっと私から問題提起させていただきたい。所得課税はわかりますが、消費税についてはもてもてで、年金の有力財源でもあります。それから五%のうち地方消費税は一%ですが、あと交付税で入っていますから、税率に換算すると二%強は地方に配分されている形になると思います。その辺も含めて、どう税源移譲を考えていったらいいかご議論いただきたいと思います。

浅野知事

税源の中で交付税の原資において、三二%の対象にする税源をどうするかという議論と、それから税源移譲する税源をどうするかという議論と両方セットで考えなくてはいけないと思うんです。交付税の原資とするような大きな税金は、多分フラクチュエート(変動)するようなものでいいんだと思います。だから、法人事業税みたいなものというのは、地方交付税の原資に入れておいても、我々に移譲される地方税はフラクチュエートしては困るんです。また、もちろん地域によって余り違うというのも困ります。
偏在もいけないけれども、地域的な偏在は交付税でまさに調整すればいいんですが、それよりもむしろ大きく言えば、景気の動向とかによってフラクチュエートするという税源を、地方税の主たるものとされたのでは、交付税の調整では間に合いません。そこは時代状況によっても安定的な税源、その意味では本当は固定資産税が一番いいんですよね、フラクチュエートしませんから。だけど県税には個人住民税みたいなもののほかほとんどないので、だから逆に法人事業税みたいなそういうものは返してしまった方がいいのかなと思っています。

谷本知事

税源移譲というのが進んでいくと、交付税とのかかわり合いで水平調整をやらないとすれば、相当のロスが出てくるということがあります。そうすると、偏在性のない税源で税源移譲が行われるということが効率がいいと思います。
そういう意味では、浅野さんが言ったように偏在性のない、しかも景気の変動も受けにくいということになると、住民税や消費税ということになると思います。極端な言い方すれば、法人事業税は、四十七都道府県の中でも、東京と大阪、愛知、神奈川ぐらいで全体の半分近くを占めているというわけで、これほど偏在性の激しい税源はないわけです。しかも、景気に左右される。できるだけ偏在性のない税源ということになれば、住民税や消費税は自治体の税とし、極端な言い方をすれば、法人事業税は浅野さんが言うように国へお返しをするという考え方もあるのではないかと思います。

石井知事

地方の財政が厳しくなったから、税収が減ったから借金をどんどん発行してもいいかと、そういうふうになっていないんですよ。一定の制約があるわけです。一方、国の方は国債をどれだけ発行しようかというのはもう自分自身のご判断で何もその枠というのはないわけですから、そういうところから考えても、もう今両知事がおっしゃったような方向で議論をしていくべきではないでしょうか。
すなわち、もうこれだけ景気の波が激しくて長期にわたるデフレ経済の中で悲鳴を上げたのは我々都道府県。その大都市を抱えている、大きな法人を持っていないところが一番悲鳴を上げたわけです。それが交付税ということで今まで措置をされておったものが今回抑制されて、また悲鳴が一段と大きくなってきているわけなんですが、その一方で市町村は比較的そういう声が出なかったのは、やはり今おっしゃった固定資産税等の、あるいは個人住民税といったそういうものを、余り変動しないもの、偏在性が少ないものを主財源にしているというところの差があるわけです。都道府県の将来の安定的な財源という見地からは、先程おっしゃられたような議論でこれからやっていったらどうかというふうに思います。

水城解説委員

小西さん、税源移譲について。

小西教授

消費税が地方の税として望ましいという議論は、税の性質からして間違いないと 思うんですが、分権的な財政改革では、超過課税を現実にやらないまでも、超過課税をしてでも高負担・高福祉にするかということを常に知事は県民に問いかけているという世界に必ずなるわけです。
ところが、その時に消費税の場合は全国一律の税率でないと機能しない税なので、そうするとやっぱり住民税の方を主にせざるを得ないということになります。ですから、消費税で下支えをするという限りにおいては消費税でいいんですが、全国一律の税ですので、地方税のメインの税にはできないということがあります。メインの税は、フラット化することが大前提ですが、住民税だと思います。
先程、浅野知事がおっしゃった法人関係税を交付税財源に入れる件ですが、交付税の今までの歴史的な運用を見てきますと、法人税の税収は当然変動します。景気が悪い時に法人税の税収も落ちますけれども、景気が悪い時ほど、交付税は本来たくさん要るわけです。本来たくさん要る時にちょっとしか入らない税が、交付税の五税の中に入ってきたわけです。そうすると、交付税特別会計というのは極めて不安定な運用をせざるを得ないわけです。
ところが、それが曲がりなりにも運用ができたのは、ミスター交付税の谷本知事の前では失礼ですが、不況の時に地方債を増発して、その元利償還金を交付税算入するという地方債のところで実はクッションをしてきたという運用があると思います。
ところが、ああいうやり方は今一番いけないという議論になっています。これまでは地方債で目先の財源を調達して、その元利償還金を後年度負担にすることで、実は交付税特会において不安定性を解消するという運用の知恵でしのいできたわけです。その方法が今後採りにくいなら、法人税は交付税五税の財源からも追い出さざるを得ないと思うんです。そこが、痛しかゆしだなと思います。
ですから移譲される税はフラット化された住民税、消費税、そこは間違いないんですが、交付税のベースの財源に法人税を追い出すことができるかどうかというのは、相当テクニカルには難しいんだと思います。

浅野知事

もう一つの観点で、納税者を念頭に入れた民主主義ということを考えると、今小西さんがおっしゃった税率を為政者がというか、議会も巻き込まなくてはならないわけですが、それを実際に動かすということで初めてそれは機能するわけです。そうすると確かに全国一律の消費税、アメリカのように州税にしてしまうと、ものすごくこれが機能し過ぎるぐらい機能します。
それはなかなか難しいというふうになった時に、さっきの法人の問題ですけれども、納税者の「者」というのは、自然人で、選挙権を持っている人だと民主主義の原則ではすごく機能する。だけど法人は選挙権を持ちません。ただ、もちろん影響力はあります。自社の従業員がいるので、それは還元されますが、ちょっとそこのところは間接的になります。
税の使い方による緊張感ある民主主義ということをやって、地方が規律ある税財政運営をするということから言うと、法人関係税はなるべく極小にして、住民税関係など自然人を相手にするものを地方税にします。なかなかこれは私、薄っぺらな知識しかないので、思いつきですが。

谷本知事

法人関係税は景気がいいと、ものすごく増えるでしょう。そうすると、税収が増えた時に、それをどう県民に還元するかということを議会から指摘されるわけです。基金に蓄えておきますと言うと、県民が納めた県税を基金に蓄えると知事は何事だ、それは県民に全部還元すべきではないかという意見はものすごく説得力を持つわけです。一方、景気が悪くなった時には、法人関係税はつるべ落としで税収が落ちますから、落ちた時にはサービスを低下させるという提案はなかなかできない。
だから、自治体というのは本当に安定した行政サービスを継続して行えるようにするためには、景気に変動される税収に依存するのはよくないと思います。

水城解説委員

次に、交付税改革に関連してご意見を伺いたいと思いますが、石井さんから。

石井知事

この交付税改革がこれから一番大きな、つまり大都市対その他の道県ですか、こういう図式になりはしないかということが一番懸念されますが、しかしそこは結論から言えば、利害を乗り越えてとにかくお互いに妥協点を見出せるようにまさに知事会の真価が今問われてくるのかなという感じがいたします。
それでいろいろな方法論が言われておりますが、今回の麻生プランの中でも法人事業税の分割基準の見直しであるとか、それから国庫補助負担金の不交付団体への交付制限、あるいは地方譲与税の譲与制限等を検討していこうじゃないかということで、本来の地方譲与税の制度からするとそこまでするのはどうなんだろうかということで、直ちに東京都等からの反論が予想されますが、しかし三位一体改革で全体でそういう改革を進めていく中で、どうしてもお互いの利害というのは出てくるわけですので、そこのところを乗り越えるべく、ぜひ大きいところには大きい立場での交付団体になられたところはそういうお立場でぜひ協力をしてもらうような、大人の大所高所の議論を期待したいなと、総論的にはそういうようなことになろうかと思います。
それから、地方も国を上回る行革に取り組んで行政のスリム化を図っており、今後ももちろん進めていく覚悟はありますよ。ただ、十六年度の予算編成では多くの自治体は歳出抑制だけでは追いつかないので、各種基金の取り崩しといった緊急的な財源対策をやらざるを得なかったし、こうした事態が今年も続けば予算編成が不可能になりますよ。絶対に地方の行革のスピードをはるかに上回る大幅な交付税の削減は容認できません。そういったことを考えると、地方税、地方交付税等の一般財源総額を前年度と同水準にするといった麻生プランは地方の行革の進度を考慮しており、高く評価できますよね。

谷本知事

一番大事なのは、仲間割れしないようにお互いスクラム組んでやらなければいけないということだと思います。交付税は算定方法と総枠の問題があると思いますが、総枠部分については、地方分権改革推進会議でも法定税率だけに圧縮し、これを地方共同税という形で自治体が課税して、それを拠出し合って、配分をするという提案がありました。
その時一番問題だったのは、例えば大阪府知事が大阪府民に税を課して、課した税を大阪府に還元せずに、トンビに油揚げのように取って、これは大阪府に還元しませんよと、これはよその県に還元しますよという説明をした時に大阪府民が果たして納得するのかどうかという、そんな議論を行いました。

交付税だけではなく、法人事業税の分割基準など、いろいろな手法を組み合わせて団体間の財源配分の均衡化をどうやっていくのか。これは我々がお互いに感情的な対立ではなく、そこはしっかり議論して一つの方向を見つけ出していかなければいけないのでしょうね。大変難しい問題です。
それと、交付税が非常に算定方法が複雑化し過ぎたということは反省しなければいけませんね。個別の財政事情を的確に算定しようという思いが強くなり過ぎて、非常に複雑になって我々でもわからない。もう、財政課の一担当職員しかわからないような仕組みにしてしまったということについては、簡素化していかないといけないでしょう。

水城解説委員

浅野さん、どうですか、地域の格差。

浅野知事

三点ですね。
一つは、交付税というと、さきほど水城さんがおっしゃったように、交付税というのは何か地方が甘えている財源だといううわさ、デマというか、これはちゃんと我々は是正しなくてはいけません。そうでないと議論にならない。だからちょっとおっしゃったように三兆円切った、拍手喝采とか、そういったことの払拭を、まず本当にまじめにしなくてはいけません。
交付税という名前も本当にちょっと問題。財政調整基金とか、例えば、これは思いつきですが、――ということも一つあるんです。
それからもう一つ、私が最近言っているんですが、「配る」から「分ける」へと言っているんですけれども、ちょっとお話しになった交付税を配分する主体の問題なんです。今は国、総務省だと。それは、利害が対立するとか、それから技術的に非常に難しいということが理由になった。技術的に難しかったら、ここ都道府県会館に金庫と人間を持ってくればいいと言っているわけです。身分もここにして。移した直後は、今までどおりやると言って、だんだんこっちの言うとおりにさせていく。
これはやっぱり地方財政自立改革をずっと進めていっている中で、交付税の問題について配分主体のことをちゃんとやらないと、でき上がった形で、補助金は相当廃止になったので、各省に行くことはない、だけど、残った交付税は総務省にお願いに行く。国から分けてもらうんだ、少しでもいい目見ようというのが残っているシステムの中で、本当に地方財政の自立ということが全うするんだろうかということで、三位一体の中長期的な形だけではなく、本当はそれも一緒になって決着をつけないといけないのではないかというふうにちょっと思っています。
三番目は、技術的な難しさではなくて、交付税にいろいろな尾ひれがついているわけです。ちょっと話題になった、地方債を景気対策に使って、後から交付税で補てんしますよというようなこととか、あと鳥取県知事の片山さんが合併特例債のことをよくおっしゃっているが、あれはもう動いてしまったから今さらやめるわけにいかないけれども、そういったこととか。
例えば、白紙で考えれば、ああいうものも交付税の使い方として本当にいいんだろうかということです。最初の一点目で言った、交付税は何か地方がおねだりしてもらうものよということに輪をかけるということと、それから配る主体、何かいろいろお願いして、これ交付税措置してくださいというようなことでの地方財政自立と相反する位置づけになってしまうということなどが問題で、やっぱり交付税は本当の意味でピュアにすべきだと。余計な尾ひれを取る。これはやっぱり我々が言い出さないといけないのだと思います。
財務省なり総務省で「やめよう」と言われて、押しつけられるのではなく、我々で、「もういいから」というふうなことぐらいをやっていくと、「お、地方もちゃんと考えているんだな」というふうになると思うので、ここはやっぱり逃せない論点だと思います。

平成十七年度以降に向けた取組み

水城解説委員

それではひととおりお話を伺ったので、今後、政府への注文も含めて改革をどう進めたらいいか、麻生プランなんかも踏まえてどんなふうに考えていらっしゃいますか。
小西さんからどうぞ。

小西教授

都道府県で税源移譲していきますと、やっぱり東京問題と俗にいいますが、あんまりよい言い方ではないと思いますが、それが出てきてしまう。都市と都市以外との対立構造、そういうものは絶対、表面化させてはいけないものだと思うんですが。ああいうものが出てしまうと、国家としての求心力を弱めていきますので。東京問題は税源移譲が今の規模だと問題になりません。また、所得譲与税だから、人口割だから表面化しないという非常にきわどい状況に今あると思います。
麻生プランでは、そこのところはフラット化が打ち出され、それは非常に有力で期待があるんですが、それ以外に譲与税の配分基準とか、国庫支出金の不交付団体の配分基準なんていうところへ議論がいきますと、当然、反発が予想されます。それをもし総務省が音頭をとったりすると、総務省というのは偉い省なんだなという議論になると思います。譲与税は総務省の腹一つで配分基準が変えられるんだと、今みたいに人口基準とか、事業所の数で分けていくとかいうような形ならば中立的な配分方法ですが、簡単に変えられるんだみたいな話になると、恣意的に動かせる制度という評価になって、地方財政制度全体が信用を失うところがあるんです。これは非常に深刻な問題だと思います。突破する知恵が要ると思います。
これは私が言っているのではなく、ヒントになる意見が今日のご出席以外のお二人の知事から出ていますので、それをご紹介申し上げたいと思います。一つは静岡県から出ている政令県という発想です。つまり、特定の県は国の権限の移譲を受けて、つまり部分的に言うと道州制の先行のような話です。政令県になりますと、東京都の税収が多いなら、東京都が国からの権能移譲をどっと受けて、政令都になることで吸収する。一般市に対する政令市のような感覚で、政令県になるという形でクリアする。権能配分のところでクリアするというのが一つだと思います。それは非常にきれいな形だと思います。
もう一つは、九州の若い知事と言うと誰かわかってしまいますが、彼が言うのは、東京の都心部からは広域自治体を廃止したらという議論です。要するに、東京二十三区には二十三区の一層性だけでいいんじゃないかと。都ではなく、国直轄でいいんじゃないかと。何となれば、警視庁があって、東京都警がないじゃないかとかですね。これは半ば冗談のようなことですが、いわゆる都心部だけ特別な行政区にするというのは、そんなに変な議論じゃないです。そうすると、東京の都心から上がってくる都税は国税になりますので、これを交付税特会に入れてしまうと、実は共同税の発想に、お金の流れとしては非常に近くなるんです。ところが、やっぱり理屈上は全然違うので共同税にはならない、これも比較的きれいな話になるかもしれない。
だから東京問題というのは、やっぱり本気で解消しようと思ったら、このお二人の知事が言われるような方向が考えられると思います。大所高所の議論と言われましたが、まさにそうだと思います。

谷本知事

知事会の中で議論していかなければいけない。誰かにやってもらうってわけにもいかないし、諮問会議をつくってそこでやるのはいいが、国にお願いしてそこをさばいてもらうというわけにもいかない。

小西教授

いかないですね。

二十一世紀の地方自治体制等・まとめ

水城解説委員

だんだん時間も迫ってまいりましたので、麻生プランも含めて今後の三位一 体改革の進め方、それに今お話もいただきましたけれども、自治体の行政体制といいますか、二十一世紀を踏まえた地方自治体制、道州制というような問題も含めてまとめのご発言をお願いいたします。
それでは、石井さんから。

石井知事

麻生プランの先程来議論が出ている先行決定ですが、基幹税の規模を決めて、住民税の一〇%比例税化等の先行実施をして、それで国庫補助負担金の見直しを税の方が先行する形で一体的にまさに三位一体でやっていこうというそういう話とか、それから地方税と地方交付税を合わせて十六年度と同水準に保障しようじゃないかという、こういうことで非常に我々地方交付税の大幅削減、危機感を持っているんですが、そういうことを提案されている点とか、それから本県の方からは大変ありがたいんですが、行革をものすごく努力をして、自分自身でどんどんやっている地方公共団体、人件費とかいろいろな物件費とかやっておりますよね。やっているそのものを行革努力を評価しようじゃないかと、そして交付税の算定にもそれを反映させようじゃないかという、こういう我々の自己努力を評価して国の方が三位一体改革の中でも運用で配慮していこうというそういった点等々は私は大いに評価できるんではないかと思いますので、是非これをベースに政府部内において議論が展開され、そして各省庁がそれぞれ取り組んでおります行政、そのトップというよりは、全体を統括するやはり官邸が、とりわけ総理大臣の力強いリーダーシップがないとこの改革、我々が考えている理念に沿った三位一体改革というのは、是非そういうことが必要だと思いますので、その点を一点強調したいということ。
  それから、自治体の今後のあり方という意味においては、我々やはり一番住民に身近な存在である市町村がますます権限、役割というものがこれから増大していくべきだと、こう考えております。

そういう面で、市町村合併を私どもの岡山県は大いに推進をしているわけなんですが、これは今後とも必要な、望ましい行財政基準を確立する観点から私は進めていくべきだと考えますし、それが進んでいく中でやはり先程申し上げた明治維新、戦後の改革に続く第三の改革に仕上げるためには、百三十年強、明治以来続いてきております都道府県のあり方にも今回思い切った国民的論議をすべき段階に来たと思います。
幸い第二十七次地方制度調査会の方で答申がありまして、今回道州制についての議論をするそのたたき台が示され、第二十八次地方制度調査会で議論することになっておりますが、こういった方向で我々が真の地方分権型社会をつくっていくためには、都道府県自体ももっと大きい組織として一緒になって、新しい形で道州制という形にして、国が持っております例えば地方支分部局としていろいろな国の省庁の出先機関がありますが、それが担っているような事務ももう道州へほとんど移譲していく。そして国の方は外交とか防衛とか通貨とか国のあり方、基本にかかわるようなものにもう限定をしてもらうというようなことで、国と地方の考え方を抜本的に変えていくような改革をしていく。そういう方向で是非国民的な議論、論議を展開をしていくべき時期にもう今来たんではないだろうか、こう思っておりますので、その大きな流れの中でこの三位一体改革は物すごく大事なんだということを改めて認識をしたいというふうに思います。

谷本知事

平成十六年度の三位一体の改革は我々としては非常に失望しました。
三位一体改革と言った方がいいのか、浅野さんが言っているように地方財政自立改革というふうに言った方がいいのかよくはわかりませんが、やはり「麻生プラン」が出されたということですから、税源移譲を前面に出してやっていく。小泉総理も、地方でやれることは地方にというスローガンを掲げられたわけですから、これは本当に内容のあるものにしていかなければいけませんし、そのためには今、小西先生もおっしゃいましたが、小泉総理のリーダーシップが大変大きいと思います。トップダウンでやっていただく、そして地方を信頼していただくということが大変大事なことではないかと思います。
そういった意味では、十六年度の失敗を繰り返さないで、十七年度は是非本当の意味で地方財政自立が進むという方向でこの三位一体の改革をやっていただきたいと思います。

それからあと、自治体の体制の強化という意味では、石川県でも今、市町村の合併を進めております。恐らく、このままでいけば、四十一ある市町村が半分位になると思います。
市町村の合併に際し、我々は、決して上意下達とか強制であってはいけないということで、二百数十回ぐらいシンポジウムやフォーラムを開催して、なぜこの合併が大事なのかということをずっと市町村に働きかけをしてまいりました。特に市と町村の合併の場合には、市に対しては絶対吸収合併はしないでほしい、対等合併で提案してほしい、それから市役所の位置とか新しい市の名前も今の名前にこだわらないでほしい、それから法定合併協議会の会長も、市が一番人口規模が大きいからと会長の座に座るということはやめてほしいという原則を掲げて、特に市の方にはお願いをしました。今、市と町村の合併も比較的スムーズに進んでおります。石川県の場合は、小規模市町村はほぼ解消されるという目処がつきました。新しい合併新法ができますが、我々はこれを活用する考えが毛頭ないということを申し上げています。
その次には、恐らく都道府県の体制をどうするかということになるのでしょうけれども、道州制といっても人によって議論がまださまざまですが、分権を推進するための受け皿づくりとしての道州制でなければいけないという理念をはっきりさせておかなければいけないと思います。そのためには、国の出先機関の権限も道州に移譲するという考え方を絶対崩してはいけない。そんな思いがしています。

州制は市町村合併の次の段階としては我々も当然考えていかなければいけない問題だと思います。

浅野知事

麻生プランというのはまだよくわかりませんが、幾つかは大きく評価できます。税源移譲というのがあって、その枠組みの中でやっていくという本来のことに戻ったということを明確に言ってくれたと。
若干心配なのは、余ったら返すということを何もこっちから言わなくてもいいんじゃなかったかなということは思っているんです。例の正直者ってなもんで、八〇%でいいよと言っちゃったということを考えれば、何もそれは向こうから言われることであって、こっちから言わなくてもいいんじゃないかなというふうなことをちょっと、補足的に言っておきます。
小西さんからも出ましたが、総理の指導力ということがある。ただ、我々も本当に殿ご一任ということで総理を信頼していいのか。というのは、本当に正しく理解されているんだろうか、これにちょっと疑問があって、それを前提として指導力を発揮してくれというのはいいんですが、間違って理解されて指導力を発揮されるのは最悪ですから、ここは大変申しわけないですけれども、そこはちゃんと周りにいる方が財務省からだけじゃなくて、正しく伝えてほしいと。
それでちょっと心配なのは、例えばこれはもうできるらしいけれども、額賀自民党政調会長の、あの地域再生交付金の話で私は問題提起しているんですが、「今こういう中でああいうのが出てくるの」という、これはちょっとはっきり……。

石井知事

全然わかってないよねということを言いたい。

浅野知事

うん、全然わかってないっていうか、我々にありがたがられるんじゃないかというところもまた二重に気に入らないのですが、ただ、できたら、我々の立場から言えば手を出しますし、そうせざるを得ないですよ。
だけど、今こうやってここにこれが出てくるんですかというのは、そこでちょっと総理の指導力とか、理解がどこまでなっているのということをはかる一つのよすががこの地域再生交付金とかというものが出てくる発想ですが、これはちょっと心配しています。
それからあと一つは、これは「都道府県展望」の座談会であるし、知事が集まっているから、県という立場で言っていますが、ちょこちょこ出ています市町村が基礎的自治体であるということ、さっき都市対非都市というところの図式があると言いましたけれども、ぎりぎりになっていくと県対市町村という図式もできかねないんですね、ちょっと温度差がありますから。これは何としても避けなくてはいけないので、本当はガンガン声高に言っていただくのは市町村であるべきなんですが、何となく、私はここに身を置いているからかもしれませんが、この部分については、知事の方に元気がありますね――言ったらしかられるんでしょうか。
最後に、ちょっとこれは言いっぱなしになりますが、この改革、両様あるんです。よくもここまで来たなと。私が知事になったばかりの十一年前は、キャンキャン言ったが、まあこれは百年河清を俟つというようなものなのかなぐらいに思いました。しかし、その期待よりは早くここまで来ました。ただ、やっぱり石井さんもおっしゃったように明治維新以来の改革というか革命というようなものなんですが、革命とか改革というのは、美しい言葉とか理念だけじゃ動かないので、モメンタムというのがなくちゃいかん。このモメンタムというのはどこにあるんだろうかと。これを進めるというのは、我々じゃなくてこの外に、どこか行き詰まったとか義憤に駆られてとか、利害に照らしてこの方が得だからとかという、国民全体を巻き込んだモメンタムというのがどうもない。我々がつくり出していかなくちゃいけないという、その意味では非常に難しい、あえて言えば戦いというものを我々は強いられているということがあります。
それでちょっとあるのは、納税者をどう巻き込むか。もう一つ最近思っているのは、さっき言った霞が関の課長クラスとか、そこを我々は補助金廃止の相手方として見ているけれども、あなた方にとってもこれはいい改革なんだよとこちら側に巻き込んで、また私が向こう側にいってもいいんですが、そういうふうにしていくべきもので、対立の構図でずっといったらこれは進まないんじゃないかなという、若干進め方についても我々は考える必要があるんじゃないかなというふうに思っています。

水城解説委員

では小西さん、締めくくりのご発言をお願いします。

小西教授

道州制、都道府県改革という知事が言われた件ですけれども、市町村は間違いなく自治体なんですね。もともと地縁組織みたいなのがベースで、それを近代化してきた過程で今の市町村ができた形ですが、都道府県は明治維新の時に上から設置したという感じですので、国が設置したという感覚が都道府県にあって、もともとの成り立ちが違うというところがあると思います。
今のこの議論の中で、都道府県が限りなくどんどん自治体化していくという方向にいくのか、市町村は自治体化していくべきだけれども、都道府県というのは、国からの中継機能があり、自治的な部分を加味して、市町村に対してある種クッションになる役割でいいと割り切って、むしろその方向で市町村の自治を生かそうとするかどうか。そこの決断を都道府県としてまずしなきゃいかんのじゃないかと危惧します。都道府県がどんどん自治体化していくと国がもっと出先機関を強化しようという話にどうしてもなると思うんです。国は、国としての政策手段も担保したいという議論になりますので、これはちょうど北海道が戦後改革で自治体化した時に、当時の北海道開発庁をつくったという話とよく似ているところがあるんです。そうすると、都道府県の自治体化というところは、ある程度の限界でとめておいた方がいいという議論と、いや最後まで行けという議論と、私はこの議論は走りながらでも考えなけりゃいけない問題だと思っています。まさに第二十八次地方制度調査会の課題がそれですが。

石井知事

そこがさらに言われましたよね、某市長から。道州制をつくったら、今でも県がうとましいのに、さらに大きくして遠くになってああだこうだ、何か自由なことをやると殴られると。

浅野知事

率直な市長さんですね。

水城解説委員

今回、改革初年度でいろいろ厳しい反応が地方自治体にあるのを存じていますが、私のつたない経験からいくと、浅野さん、よくぞここまで来たとおっしゃったのは、私全くそう思うんです。
というのは、私、財政制度等審議会に入っておりまして、随分早い段階から税源移譲を叫んでいたんですが、そうしますとバババッと何人かからものすごい集中砲火を浴びるわけです。ところが、三位一体改革できちっと税源移譲というのが政府の公文書にも載るようになった。夢のようです。そのこと自体は歴史的な一歩だと思います。
そういう意味では、今度の改革、初年度がこういうことだったからといって、改革なんかやめちまえなんていう雰囲気になったら、それこそ税源移譲に抵抗する勢力の思うつぼでありますから、是非全国知事会がリードして、改革を大事に育て実らせるご努力をいただきたいと思います。
それからもう一つは、やはり総理の指導力も大事ですが、結局は地域住民に関することですから、国民、地域住民の支持が一番大きいと思います。そういう意味では、国と比べると皆様方が市町村も含めて地域住民に最も近く、一番有利なところにいらっしゃるわけです。是非この改革の趣旨を地域住民に直接広報したりお話しになって、大きな輪を広げていくということが大事なことじゃないかなという感想を申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。

(於  都道府県会館五階談話室)

(都道府県展望  2004年6月号)

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