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更新日:2010年4月7日

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対談・寄稿文 - 白山の自然の恵み、そして楽しみ

私は、昨年8月、知事としては初めて、10年ぶりに、白山に登った。登山を開始して間もなく、土砂降りの雨に見舞われ、遠雷の音が聞こえるという最悪の天候の中、6時間をかけて、室堂にようやくたどり着いた。山頂付近は、翌朝も濃いガスが立ちこめ、残念ながら、期待していたご来光も拝むことはできなかった。

しかし、登山の目的であったビジターセンター(県が山頂に近い室堂で整備)のリニューアルオープンの記念式典には、突然、雲が晴れて青空が顔を出した。白山も粋な計らいをするものである。天候にこそ恵まれなかったものの、雷雨、霧、青空と白山のいろんな表情を体験少ない私達に見せてくれたのだろう。

さて、白山は、富士山、立山と並んで日本三名山の一つである。古くから、古今集をはじめとして、雪深く清冽な山として、歌にも詠まれている。そして、古くから山岳信仰の対象として、人々の信仰を集め、現在、「白山」の名を冠した神社が全国で3千社近くもあるという。

また、原生的な自然が残されている山として全国的に評価が高く、広大なブナの原生林が広がり、イヌワシやツキノワグマなど貴重な野生生物の宝庫としても知られている。特に、白山の特色の一つでもある高山植物は、この白山を分布の西限とするものが多く、ハクサンコザクラ、ハクサンシャクナゲなど、「ハクサン」の名がつく高山植物がいくつもある。

このほか、白山の魅力は、自分の足でしか登れない山であることであろう。頂上を極めたときの達成感があるし、頂上の展望が素晴らしい。

孤高の山と言われている白山にも、こうしたことから、年間5万人を越える登山者が訪れている。昨年の登山のときに感じたことであるが、多くの方々に、白山に登り、白山の魅力を見て、肌で感じて、手付かずの本当の自然のファンになってもらいたいと思う。

白き神々の山、白山を源とする手取川は加賀の広大な平野を潤し、美しい自然を育み、人々に清浄な水を施し、生命の源になっている。自分たちのためにも、かけがえのない財産である白山を雪深く清冽なまま、次世代に継承していかなければならないと確信している。

 

(時事評論  2004年1月号)

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