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江戸時代前期
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
口径 22.5~23センチ 底径 20.8センチ 高さ 14.2センチ
重要文化財 昭和25年8月29日指定
やや分厚い筒形の平水指で、底の部分を除いた全面にわたって、仁清独特の貫入のあるやや黄色味をおびた白釉が厚くかけられており、側面一杯に、黒・赤・金・銀・緑などで梅の老樹を描いている。花は紅梅で、ところどころに金彩や銀彩の梅花をそえて変化をつけ、全体として華やかななかにも気品のある作品に仕上げている。
野々村仁清は、京焼色絵の大成者として知られ、日本陶磁史上における不世出の名工として高く評価されている。仁清の作品の特徴を最も示している点は、蒔絵の加飾法を応用したと思われる上絵付にあるということができよう。
金銀を豊富に、しかも巧みに使用して、日本趣味豊かなしかも京風の洗練された意匠構成で、華麗で優美なやきものをつくっている。この平水指は、こうした技法と意匠を用いた仁清陶の秀作の一つであるが、とくに茶壺にそうした作風を示した代表作がある。
昭和60年「石川県の文化財」より
桃山時代
学校法人北陸大学 金沢市太陽が丘1-1
口径 21.7センチ 高さ 19.8センチ
重要文化財 昭和60年6月6日指定
備前焼は、岡山県和気郡備前大字伊部を中心に、その周辺で焼かれたもので、須恵器の流れをくんでおり、桃山期から江戸中期にかけて隆盛を極めた。はじめは日用雑器を焼いていたが、茶道の流行とともに、備前焼の持つ素朴さが茶人にとりあげられてから、茶器が多く焼かれるようになった。
この水指は、肩から口縁にかけて、斜めに落ち込み、断面が矢筈形に窪んだ形をしている、桃山期の備前茶陶を代表する作品である。落ちつきのある筒形の肩に耳をつけ、胴体の縦横に篦で荒い彫りの線をつけて姿を引き締め、口縁部にはゆるやかな歪曲をつけている。
土肌は焼きあがりが柔らかく、窯火によって鮮やかな赭色となり、赤い焦げを呈して景色となっている。とくに口縁部の一部を掻落して、水指の用としての水捨て口とし、さらに佗びに様相を加えた作者の意図が心にくい。人為の技巧と自然の変化が一体となって調和した桃山茶陶を代表する重量感あふれた風格のある名品である。
昭和60年「石川県の文化財」より
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