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多太神社 小松市上本折町72
兜の高さ 15.2センチ 鉢回り 71.2センチ
総体回り 139.4センチ 重さ 4.4キログラム
重要文化財 昭和25年8月29日指定
寿永2年(1183)に加賀国篠原で討たれた斎藤実盛着用の甲冑を、木曽義仲が多太神社に奉納したものと伝えられており、元禄2年(1689)、松尾芭蕉が『奥の細道』の行脚の途中に立ち寄り、この兜によせて「むざんやな甲の下のきりぎりす」と詠んでいる。
『集古十種』甲冑巻4に所載されている兜。鉢は筋兜で、腰に檜垣をめぐらし、篠垂は前三条・後二条。頂辺の座は、玉縁、裏菊座、枝菊彫の丸座を重ねる。眉庇中央下部に、枝菊高彫の角ばった鍬形台が置かれ、真中に三盛菊高彫をして中鍬形を挿入する。鍬形台上部には、「八幡大菩薩」と高彫した祓立台があるが、前立は欠けている。しころは四段威。吹返は三段で、二枚を画革で包み、小縁を伏せ縫し、10ヵ所を笠鋲で留める。上方外端に近く三盛菊高彫り据文金物が打ってあり、兜総体は、作品も精緻で気品が高く古雅である。袖は大袖七段威、臑当は大佩上で梅花沢潟紋がある。
昭和60年「石川県の文化財」より
桃山時代
石川県立美術館 金沢市出羽町2-1
身丈 146.0センチ 絎 73.0センチ
重要文化財 昭和49年6月8日指定
桐に鳳凰という、古来から用いられている図柄を織り出した、華麗で格調の高い唐織である。藍味をおびた緑地の三枚綾に、桐・鳳凰文様を、白・浅葱・萌黄・納戸・紺・黄・紅などの絵緯で織り出している。文様は、4株の桐と、同じ向きの2羽の鳳凰を、1パターンの図柄とし、これを反転し連続させて正逆2段2列を1単位とする文様構成で、上下に連続した意匠である。
多彩な絵緯で織り表し、縫い取りのように浮いているので、あたかも刺繍をしたような柔らかさである。大きく広がった桐と、翼をいっぱい広げ大地をしっかり踏みしめた鳳凰は雄大で、桃山時代の特色をよく伝えた唐織である。
江戸時代には盛行する能装束の先駆を示すものとして注目される作品である。
昭和60年「石川県の文化財」より
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