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江戸時代中期~後期
石川県立図書館 金沢市本多町3-2-15
県指定文化財 昭和57年4月6日指定
加賀藩十村役を勤めた伊藤家に伝存する近世十村文書群。文書の上限は寛文期であり比較的新しいが、当家が十村役に就任した元禄7年(1694)から急増し、仁岸組を中心とした奥郡の典型的十村文書が数多い。内容的には、租税関係451点、農林水産関係が384点と群を抜き、なかでも、御蔵・廻村御見立・綱舟貸渡に好史料がある。漁業・塩業史料も多いが、藩内に類例の乏しい針金鍛冶・漆稼史料の多いのは特筆されるべきであろう。支配関係214点のうち御預所との貸借関係が多いのは、十村役の頭痛の種であり、さらに、村境争論・他国人宿所・災害史料の遺存は、十村役を悩ませた史料である。宗教関係では、寺院祠堂銀借用が多く、大寺院と村落の関係の究明に貴重な史料である。
昭和60年「石川の文化財」より
戦国時代末期~明治時代
石川県立図書館 金沢市本多町3-2-15
県指定文化財 昭和57年4月6日指定
山口家は、白山麓の天領18ヵ村の1つ嶋村(後の桑島村、手取川ダム完成により水没)の草分け的百姓で、江戸時代中期より代々庄屋を勤めた旧家。早くから酒造業も営み、近世を通じて幅広い商業活動を行った。本文書中の日記帳や万附込帳等からは、白山麓村民との商活動が具体的にわかる。山口家は、近世中期以降地主として大量の「むつし」を買得集積し、嶋村および周辺村民に卸しており、「むつし」一作卸しが、当家の主要な経済活動となっていった。本文書においても、「むつし」買得証文が997点、「むつし」一作請証文が760点あり、合わせて全体の7割以上を占めている。「むつし」は、白山麓に特徴的にみられる林野経営の単位となる土地で、焼畑地のほか、養蚕用の桑畑、柴抄採取用の雑木林等も含む、多様な山地から成るものであった。白山麓では、石高に結ばれるような田畑が、人口に比べ極端に少なく、「むつし」における多角的林野経営は、重要な生業であって、白山麓農業の中心を成していた。本文書は、白山麓の「むつし」における焼畑農耕等の非水田的農業の歴史的推移を示してくれる貴重な資料である。
昭和60年「石川の文化財」より
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