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南北朝~戦国時代
石川県立図書館 金沢市本多町3-2-15
県指定文化財 昭和57年1月12日指定
本文書は、江戸時代に加賀藩の十村役(大庄屋)をつとめた能登国鳳至郡大沢村(現輪島大沢町)の筒井家(弥郡氏の同族)に旧蔵されていたため、かつては「筒井文書」と称されたが、正しくは、中世後期の大沢村を領有した弥郡氏に伝えられてきた文書である。弥郡氏は、武蔵丹党の後裔で、南北朝時代に能登国鳳至郡志津良庄大沢村の地頭としてあらわれ、足利尊氏方の能登守護吉見氏の配下として行動し、そののち室町時代には、畠山氏のもとで上大沢・下大沢・黒杉を含む大沢村を伝領した。譲状(財産の譲渡状)・安堵状(所有権の承認書)などの伝領関係文書がほとんどであり、最も古いものは、永和5年(1379)1月11日の大沢村地頭弥郡時具譲状。中世後期の200年余にわたる弥郡氏一族の足跡が確認される。
室町時代~明治時代
本誓寺 輪島市門前町字南
県指定文化財 昭和57年1月12日指定
当文書は、真宗大谷派に属する奥能登の名刹阿岸本誓寺に伝来する寺院文書である。当寺には、いくつかの創建伝承があるが、本願寺派8代法主蓮如の時代に、真宗寺院としての機能をはたしはじめ、在地に根をおろすようになったと考えられる。当寺文書は、武家関係と宗門関係の2つの文書群系統に分けることが出来る。武家関係文書は、さらに土地寄進状などの土地関係や、物成算用帳など年貢関係や、その他の願書などの内容に大別できる文書群であり、宗門関係文書は、一向一揆・門徒出入・異端・帰参など豊富な内容を有し、中世から近世への寺院・宗教制度の各分野を解明する史料群として貴重である。文書群の中で最古の史料は、文明5年(1473)3月25日の阿岸三釜彦四郎・左衛三良の寄進状(写真)である。当寺は、近世期に触頭寺院として明治までその機能をはたすが、文書群においては、中世から近世初期にかけて、寺院制度確立の努力の姿勢を示すものに特色あるものが多い。
昭和60年「石川の文化財」より
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