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平成30年度は、石垣の保存状態に関する詳細調査を実施するとともに、保存修理の現場における石材補修技術等について調査した。
・水ノ手門続石垣(文禄) 12地点
・東ノ丸附段石垣(元和~江戸後期) 26地点
・いもり坂脇石垣(寛文~近代) 38地点
・本丸南高石垣(慶長・寛永ほか) 49地点
・土橋門続石垣(寛文) 23地点
1. 変形が顕著な石垣では、石材の間に割れた栗石(写真1)が頻発し、栗石層に土砂が混在する地点(写真2)があった。場所によっては、石材の胴割れ、栗石の緩み、石材間の空洞(写真3)が認められた。
2.顕著な変形が認められない石垣でも栗石割れ(写真4)、土砂(写真5)、石材胴割れ、空洞部(写真6)が確認された。出現頻度は、栗石割れが変形石垣の半分程度と明らかな差があったが、胴割れや空洞は同程度だった。石材左右の隙間が広く空洞になっている状態は、割石を乱積する慶長期の石垣に多発傾向が認められ、規格化した粗加工石を布積みする寛文期石垣では稀であった。
3. 内部観察による変状確認は、石材の形状や積み方等、対象石垣の技術的な特性を踏まえて観察することが有効と考えられた。
いもり坂脇石垣(北、西面)を対象に、H19とH29の三次元計測データを差分比較し、変形部位と変動部位を比較検討した。
その結果、孕み出し量図に反応していない部位でも、実際には変位が進行していることが判明し、差分比較による動態把握の有効性を確認した。
伝統技術(石垣)専門委員会委員等による検討会を開催した。
・第14回検討会(10月22日)
【講義】「石垣の常時微動計測について」山中稔(香川大学教授)
【報告・検討】『金沢城の石垣の保存管理及び保全対策に係る計画書』について
丸の内園地石垣の既存データの検討
・第15回検討会(3 月18 日)
【報告・検討】平成30年度石垣実態調査成果の報告
丸の内園地の石垣の近況
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