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令和元年度も昨年度と同様に、金沢城内の石垣保存状態について詳細調査を実施した。
玉泉院丸北泉水縁石垣は、櫓台状石垣の左側(北部)に累積的な変位が発生している。差分比較の結果、石垣面の全域が概ね同程度の速さで変位していることが確認された。石材間の接点が多い切石積石垣であるが故に、影響範囲が広がっていると考えられる。
三ノ丸北石垣は、3か所に孕み出し変形が発生しており、近年の定点観測で天端付近から変位の微増が看取されていた。差分比較の結果、 2か所で、微速ながら孕み出しに対応した変位の進行が認められ、天端付近も同様であった。残り1か所は計測誤差が大きく、変位の進行の有無は判定が困難であった。
寛文5年普請の土橋門西続石垣は、一部が撤去されて石垣内部が露出している。隅角部・築石部ともに奥行きが長く規格的な石材が使用され、河原石の介石で石尻を固定した後、築石の間を小砂利で充填する様子が観察された。翌年に普請された薪ノ丸北石垣や、寛文8年普請の二ノ丸菱櫓石垣(H11 解体調査)でも同様の所見が得られており金沢城5期を特徴づける技法的要素の一つと考えられる。
金沢城石垣に関する調査資料について、専門委員会委員と詳細検討を行うとともに、石垣保存管理技術を巡る全国動向や最新の研究状況等について検討会を開催。
・第16回石垣保存管理技術の調査方法に関する検討会 令和元年6月7日(金曜日)午後
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