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第三は、「安全でうるおい豊かな環境づくり」についてであります。
東日本大震災において地震や津波により甚大な被害が発生した教訓を踏まえ、昨年、地震・津波にかかる地域防災計画の見直しを行ったところであり、引き続き、ハード・ソフトの両面から災害被害の最小化に向けて取り組んでまいります。
まず、ハード面では、県有施設の耐震化を促進することとし、平成二十七年度末までに全ての防災拠点施設の耐震化を完了させるべく鋭意整備を進めており、県立学校では従来の計画を前倒しして取り組んでいるところであります。また、災害発生時に初動期から適切な応急対策活動に取り組むことができるよう、平成二十五年度中に、土木総合事務所など災害対応拠点施設全てに自家発電設備を整備いたします。
ソフト面については、自助・共助からなる地域防災力を高めることが重要であり、引き続き、地域防災のリーダーとなる防災士の育成に取り組むとともに、より多くの方々が地震発生時に自分の身を守る初動の安全行動を身に付けることができるよう、新たに、学校や会社などにいながら参加できる一斉防災訓練を実施することといたしました。
原子力防災対策につきましては、先般、原子力規制委員会から避難に際しての放射線量の基準などについて原子力災害対策指針案が示されたところであり、県としては、可能なところから原子力防災計画の見直しを進めることとし、来月末を目途に、防災対策の重点区域を三十キロメートルとすることや放射線量の基準、町会単位での具体的な避難先等を盛り込んで原子力防災計画を見直すことといたしました。併せて、今回の見直しを反映した関係市町の原子力防災計画の策定についてもしっかりと支援してまいります。
なお、安定ヨウ素剤の服用基準などについては、国が、引き続き、検討を行うこととしており、今後とも、国の検討結果を踏まえ、適時適切に、原子力防災計画に反映してまいりたいと考えております。
原子力災害発生時に、国や県、関係市町、原子力事業者等が一体となって対応するための現地拠点となる志賀オフサイトセンターについては、現在の施設が原子力発電所から概ね五キロメートルの位置にあり、国から移転を求められております。このため、事態への即応性や参集の容易さなどの観点から、今回、志賀町の西山台に移転新築することといたしました。さらに、災害の状況によりこの施設が使用できなくなった場合の代替オフサイトセンターについては、南北に長い本県の地形的特徴を踏まえ、県庁及び奥能登総合事務所の二カ所に設置することとしたところであり、整備に向けた調査に着手いたします。
また、緊急時に即時避難が困難な要援護者等の一時的な屋内退避施設を確保するため、志賀原子力発電所から五キロメートル圏内にある社会福祉施設等に放射線防護設備を整備するほか、きめ細かな放射線モニタリングを行うため、三十キロメートル圏内の八市町の学校や集会所等の公共施設に簡易サーベイメータを配備することといたしました。
今後とも、国の動向を見極めながら、県民の安全・安心の確保のため、原子力防災対策のさらなる強化に、しっかりと取り組んでまいる所存であります。
世界農業遺産の認定を受けた能登の里山里海につきましては、一昨年六月の認定以来、その活用と価値の向上に向けた保全の仕組みづくりを中心に事業の展開を図ってきたところであり、北陸新幹線金沢開業も見据え、首都圏に向けた魅力の発信を強化するとともに、先進国にふさわしい環境保全型農業により世界農業遺産としての価値の向上を図るなど、取り組みをさらに進めてまいります。
まず、世界農業遺産国際会議につきましては、本年五月二十九日から四日間にわたって和倉温泉を中心に開催され、里山里海の活用・保全に向けた本県の取り組みや、能登の里山里海の魅力を発信していく絶好の機会となるものであります。会議では、国連機関の代表者や各国政府の高官が討議するハイレベルセッションが行われるほか、県民の皆様方に、あらためて世界農業遺産に対する理解を深めていただくため、記念シンポジウムを開催するとともに、会議参加者を対象にエクスカーションも実施し、能登の里山里海の魅力を直接感じていただきたいと考えております。既に、農林水産省や国連大学、能登地域の市町、関係団体とともに開催委員会を立ち上げたところであり、国連食糧農業機関とも連携しながら、開催準備に万全を期してまいります。
環境保全型農業による世界農業遺産の価値の向上につきましては、奥能登の四つのJAでは、奥能登地域の棚田で生産される「能登棚田米」のブランド化を図っており、さらなる減農薬による栽培技術の確立等を支援いたします。また、能登の七つのJAでは、能登全域で減農薬農業により栽培したコシヒカリを「能登米」として付加価値を向上させることを目指しており、栽培指針の作成等を支援していくことといたしました。
トキの公開展示につきましては、国は、去る十二日、トキの野生復帰に向けた三年間の方向性を示す「トキ野生復帰ロードマップ」を策定し、分散飼育地におけるトキ公開展示について平成二十五年度中を目途に結論を出すとされ、また、野生復帰については、三年後の次期ロードマップで検討するとされました。これを受け、本州最後のトキ生息地であり、早くから分散飼育に貢献してまいりました本県としては、まずは、いしかわ動物園における公開展示に向け、施設の規模や場所の検討など具体の整備に向けた準備を進めることといたしました。また、国からの要請に応え、追加の繁殖ペアを受け入れることとし、将来のトキの公開展示にあたって必要となる予備的なケージとしての活用も念頭に、繁殖用ケージの増設も行うこととしたところであります。
次に、再生可能エネルギー導入の推進や省エネ・節電対策の推進についてであります。再生可能エネルギーについては、昨年七月に固定価格買取制度がスタートし、本県においても民間事業者による太陽光発電事業への参入に向けた動きが相次いでおります。再生可能エネルギーの導入は、エネルギー源の多様化や地球温暖化対策等の観点からも重要であり、県としても、国の動向を注視しながら着実に推進していきたいと考えており、今回、本県の地域特性を活かした「再生可能エネルギー推進計画」の策定に着手するとともに、できることから具体の取り組みを進めることといたしました。
まず、農業水利施設における小水力発電については、本年度実施した可能性調査の結果を踏まえ、土地改良区が行う基本設計等に対して支援し、導入の促進を図ってまいります。また、奥能登地域の「春蘭の里」において、本年度実施した基礎調査を踏まえ、小水力発電によるエネルギーの地産地消のモデルとして、マイクロ水力発電を導入することとし、来年度は発電設備等の設計に着手いたします。
さらに、県の下水道処理施設において、下水汚泥から発生するメタンガスを活用した発電機を増設することとし、二酸化炭素の約二十一倍の温室効果を持つメタンガスの有効活用により、温室効果ガスの排出抑制と電力の売却による下水道経営の一層の安定化を図ってまいります。
一方、東日本大震災以降の電力需給のひっ迫や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の実施等に伴って、エネルギー関連市場が拡大していることから、本年度、いしかわ次世代産業創造ファンドの重点支援分野としてエネルギー分野を追加指定し、革新性の高い技術開発を支援しているところであります。来年度は、これまで培ってきた優れた技術を活かして、エネルギー関連市場を開拓しようとする意欲あるモノづくり企業に対して、機器の開発から販路開拓に至るまで、様々な段階の取り組みを積極的に支援してまいります。
また、県内企業にとって、省エネによるコスト削減は競争力の強化につながることから、専門家が個別に省エネ改善策を提案する省エネ版企業ドックを拡充するほか、県内企業の省エネ設備改修のモデル事例やビル・エネルギー・マネジメント・システムの導入効果をセミナー等を通じて普及し、省エネの取り組みを支援してまいります。
家庭における省エネ・節電の取り組みについては、いしかわ版環境ISOにおける温室効果ガスの排出抑制に向けた取り組みをさらに深化させ、省エネ・節電アクションプランを実践していただく取り組みを進めてきたところでありますが、本年度は、新たに約五千五百家庭に参加いただいたところであり、引き続き、さらなる取り組みの拡大を図ってまいります。
東日本大震災による災害廃棄物の広域処理につきましては、金沢市は、昨年十二月、岩手県宮古地区の漁具・漁網の本格的な受け入れを開始し、本年十二月末までに約五千トンを受け入れることとしているところであります。また、輪島市では、宮古地区の可燃物の本格受け入れに向けて取り組んでいるところであり、県としても、引き続き、できる限りの協力を行ってまいります。
医療提供体制の確保・充実につきましては、これまで医師の確保対策や救急医療拠点の整備をはじめとする医療連携体制の強化等に重点的に取り組んできたところであり、来年度も、こうした取り組みをさらに拡充してまいります。
まず、医師の確保については、金沢大学及び金沢医科大学において寄附講座等を通じて能登北部地域を中心に診療支援を実施しており、来年度も二十七名の医師を確保できる見込みであります。また、平成二十九年度以降は、金沢大学の特別枠で学んでいる医学生が医師として地域医療の現場で診療に従事することとなっておりますが、寄附講座終了後の平成二十六年度から二十八年度までの三年間については、こうした診療支援が空白となり、医師が不足する恐れがあります。このため、地元市町の要望を踏まえ、金沢大学及び金沢医科大学と調整を続けてきたところでありますが、今般、両大学の協力により、この空白の三年間についても医師が確保できる見込みとなったところであります。
医療連携体制の強化については、医療機関が診療情報を共有することにより、専門病院での入院治療から身近なかかりつけ医まで一貫性のある医療を受けることができるようにするとともに、能登北部地域などの病院では診療が難しい症例について大学病院等の専門医の指導のもとで適切な医療を受けることができるよう、今回、新たに、診療情報共有システムを構築することといたしました。このシステムは、県内医療機関の約半数が参加し、全国でも最大級の規模となる見込みであり、医療機関の連携が格段に進むものと期待しております。
また、救急医療体制の充実強化につきましては、能登北部地域等からの重症患者の救急搬送にあたって少しでも搬送時間を短縮するため、消防防災ヘリコプターを積極的に活用することといたしました。県立中央病院の医師や看護師が同乗し、医療機材を搭載して運用したいと考えており、ヘリコプターを要請する基準など具体的な仕組みを構築したうえで、平成二十五年度のできるだけ早い時期に運用を開始したいと考えております。
県立中央病院の建て替えにつきましては、現在、基本設計を実施しているところでありますが、新病院においても、県民から求められる高度専門医療を提供するとともに、患者とその家族の方々に快適な療養環境を提供することができるよう、本県独自の工夫を盛り込み、全国に誇りうる機能的で快適な病院にしたいと考えております。
具体的には、全国で初めての取り組みとして、総合周産期母子医療センターを手術室や小児科病棟と同一フロアに配置し、産科医師と小児科医師との連携を強化することにより、質の高い医療を提供するとともに、外来部門に検査室と診察室を一体的に配置した女性専用外来エリアを設置し、プライバシーに配慮した環境で一連の検査・診察を安心して効率よく受診できるようにいたします。また、全てのベッドサイドに十分に採光できる窓を設け、入院患者に快適な療養環境を提供したいと考えております。こうした内容を実施設計に反映し、県民の皆様方から信頼される高度専門病院を目指し、着実に取り組んでまいる所存であります。
治安対策の強化につきましては、新たに羽咋警察署の建て替えに着手するとともに、野々市北交番(仮称)を新設するほか、警察ヘリコプターのテレビカメラシステムをデジタル化することとしたところであります。
以上
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