障害の特性と必要なサポートについて
障害は多種多様で、同じ障害でも人によって状態が違い、必要な支援も違います。
ひとりひとりの状況に合わせた配慮をしましょう。
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障害の特性
- 目が見えない、見えにくい、色の判別がしにくいなどの状態にあります。
- 白い杖をもっていたり、盲導犬と一緒にいたりすることがありますが、外見ではわからない人もいます。
配慮の例
- 周りの状況がわからなくて困っていそうなときは、声をかけてください。横断歩道や公共交通の場では、危険が伴うので特に配慮が必要です。
- 話しかけるときは、突然体に触れずに、できるだけ前方から「何かお手伝いすることはありませんか?」などの声掛けをして、どのような手助けが必要か確認してください。
- 資料は、読み上げたり、点字や拡大文字、テキストデータなどで内容を伝えてください。
- パンフレットや印刷物は、デザインやカラーなど視認性に配慮したものにしてください。
- 「こちら、あちら」などの指示語は使わず、「5メートル先を右」など具体的に説明してください。
- レストランでは、メニューを読み上げて内容を伝えたり、提供した食事の量や内容、食器の位置を具体的に伝えてください。
- スーパーや百貨店では、価格や機能などの表示情報を読み上げて伝えたり、実際に触れてもらって形状や手触りを確認してもらってください。
- 点字ブロックの上や通路などには通行の妨げになる物を置かないようにしてください。
聴覚・言語障害
障害の特性
- 聴覚障害は、耳が聞こえない、聞こえにくい状態にあります。
先天性失聴…生まれつき耳が聞こえない
中途失聴…事故や病気で途中から聞こえなくなる
- 言語障害
言語機能の障害…言葉の理解や表現が困難
音声機能の障害…発音や発声だけがうまくできない
- 聴覚障害と言語障害は重複することもあります。
配慮の例
- 声をかけるときは、しっかりと顔を見て、ゆっくりと声をかけてください。
- 中途失聴の方は、手話が使えない方もいますので、手話のほか、筆談やタブレット端末など、お互いが可能なコミュニケーション方法を確認してください。
- 災害時や緊急時の警報や情報がわからないことがあるので、文字や画像など見える形で必要な情報を伝えてください。
- チラシ等の問い合わせ先に、電話番号のほか、ファクシミリの番号やメールアドレスを記載してください。
- レストランや百貨店などでは、細かい注文にも対応できるよう、メモ用紙や筆談ボード、タブレットを用意してください。
- 講習会や会議などでは、要望に応じて、手話通訳や要約筆記を配置してください。
盲ろう(視覚と聴覚の重複障害)
障害の特性
- 視覚と聴覚の両方に障害があり、触覚や残された視力、聴力を活用してコミュニケーションを取りますが、情報を取得する方法が極端に限られている状態にあります。
配慮の例
- ひとりで困っている様子を見かけたら、手のひらに指先でゆっくり文字を書いたり、相手の指をとって机などに文字を書くなどをして、状況を確認してください。
- 見え方や聞こえ方は様々なので、その人に合わせた会話の工夫が大切です。
肢体不自由
障害の特性
- 腕や手・足・体幹の機能の一部または全身に麻痺や損傷があり、立つ・座る・歩く・物を持つなどの日常の動作が困難な状態にあります。
配慮の例
- 車いすや杖などを利用している方には、手すりや(簡易)スロープの設置、扉の開閉、通路の幅、テーブルの高さなどに配慮が必要です。
- 障害者専用の駐車場や多機能型トイレの使用は、必要な方を優先してください。
- 車いすを利用している方と話すときは、腰をかがめて相手の目線で話すように心がけてください。
- 手や指を使うことに不便を抱えている方がいます。文字を書く、お金を取り出すといったことが難しい場合には、本人に確認して、手助けをしてください。
- 電車の乗り降りや、建物の出入り、歩行などに時間がかかる方がいることを理解して、無理に急がせることはしないようにしましょう。
- 廊下などの歩行空間には、通行を妨げる物を置かないようにしてください。
- バスや電車、タクシーなど交通機関の乗降時には、必要な補助をしてください。
- スーパーや百貨店では、高い場所や低い場所にあって取りにくい商品は、代わりに取って渡してください。
知的障害
障害の特性
- 知的能力の発達の遅れのため、日常の生活や学習する時などに困難が伴います。
- 複雑な会話や抽象的な概念を理解すること、自分の考えや気持ちを表現するのが苦手なことがあります。
配慮の例
- 話しかけるときは、具体的にゆっくりと、ていねいに、わかりやすく説明するよう心掛けてください。
- 質問する場合は、答えやすい聞き方をするようにしてください。また、相手がゆっくり考えて答えることができるように慌てず待ちましょう。
- 難しい漢字がわからなかったり、長い文章は理解できないことがあるので、漢字に読みがなを振ったり、長い文章は短くわかりやすい文章にするなどの工夫をしてください。
- 災害時や緊急時など、状況の変化に対応できずパニック行動(ひっくりかえる、泣きわめくなど)が起きる場合があります。その場合は静かで落ち着ける場所を確保してください。
- 絵や写真を使い、本人にとってわかりやすい、伝わりやすい方法を一緒に考えましょう。
発達障害
障害の特性
- 脳機能の発達が関係する生まれつきの障害で、次のようなものがあり、複数の障害が重複して現れることや知的な遅れを伴うこともあります。
- 広汎性発達障害
自閉症やアスペルガー症候群などがあり、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動、こだわりなどがあります。
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
不注意(集中できない)、多動・多弁(じっとしていられない)、衝動的に行動する(考えるよりも先に動く)などがあります。
- 学習障害(LD)
知的な遅れはありませんが、「読む」「書く」「計算する」などの特定の能力に著しい困難があります。
配慮の例
- 新しい予定が入るときや、予定の変更への対応が難しい場合はあるので、事前に具体的に説明しましょう。
- 一度に複数の事柄を扱うことが難しい場合があるので、ひとつずつ順を追って簡潔に話をしてください。
- 整理整頓が苦手な場合には、一緒に片づけたり、身の回りをすっきりさせることで集中できることもあります。
- 同じ間違いを繰り返したり、決まりごとが守れなかったり、衝動的に行動してしまうことがあります。言葉と同時に絵や文字で視覚的に伝えると、ルールが伝わりやすくなる場合もあるので、本人に合った適切な方法を工夫してください。
- 発達障害は、脳の機能障害によって生じるもので、親の育て方や本人の努力不足によるものではないため、心無い言葉をかけることはやめましょう。
- 障害特性による困難がある反面、優れた能力を持つこともあります。本人の得意なことや強みを尊重するようにしましょう。
精神障害
障害の特性
- うつ病や統合失調症などの精神機能の障害により、幻覚や妄想、不安や不眠など、日常生活や社会参加に困難が生じ、生活のしづらさを抱えています。
配慮の例
- 無理な励ましは、本人の過剰なストレスになることがあります。本人の気持ちを大切にして、本人のペースに合わせたサポートが必要です。
- 服薬の中断や多少のストレスにより、症状が再発することがあります。具体的なストレスの内容に合わせた対応や病気への理解など、周囲へのサポートが必要です。
- 不安を感じさせない穏やかな対応が必要です。相手が伝えたいことをゆっくりと根気よく傾聴するようにしましょう。
内部障害
障害の特性
- 心臓、呼吸器、膀胱・直腸、腎臓など体の内部に疾患があるため、日常の生活に困難があります。
- 外見から障害がわかりづらいため、周囲の人に理解してもらいにくい場合があります。
配慮の例
- 腎臓機能障害のある方は人工透析治療のため、定期的な通院への理解と時間の配慮が必要です。
- 呼吸器機能障害のある方は、たばこの煙などに大きな影響を受けることに配慮してください。
- 人工肛門・人工膀胱を使用している方(オストメイト)は、専用のトイレが必要です。
- 人工肛門・人工膀胱を 使用している方(オストメイト)が公衆浴場やプールに入ることについて、衛生的に問題はありませんので、入場を拒否しないでください。
高次脳機能障害
障害の特性
- 脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管障害や、事故による脳外傷などにより、言語、認知、記憶などの機能に障害が生じます。
- 外見では障害がわかりにくく、「見えない障害」とも言われています。
配慮の例
- 約束や予定を忘れてしまったり、何度も同じことを繰り返し聞いてしまうことがあるので、紙に書いて渡すなど状況に合わせた対応をしてください。
- 集中力を持続することが苦手な場合もあるので、適度に休憩を入れるようにしてください。
難病
障害の特性
- 発病の原因が不明で治療方法が確立していない疾病です。
- 難病には様々な種類、特性があります。
- 症状が進行しやすかったり、日によって症状が変化したりするなどの特徴があります。
配慮の例
- 外見からはわからない病気の症状(痛みやしびれ、疲れやすさ、食事の制限など)がある方もいます。疾病の特性や身体の状態を正しく理解したうえで、その人に合わせた配慮が必要です。
- 長時間立って作業することは控え、体調がすぐれないときには休憩できる場所を確保してください。