「障害のある人もない人も共に暮らしやすい石川県づくり条例」について
石川県では、「障害のある人もない人も共に暮らしやすい石川県づくり条例」(共生社会づくり条例)を制定し、令和元年10月1日より施行いたしました。
令和3年5月に障害者差別解消法が改正され、令和6年4月1日から事業者による合理的配慮の提供が義務化されることとなりました。
この改正障害者差別解消法の施行にあわせ、条例の改正を行い、令和6年4月1日から事業者による合理的配慮の提供が義務化となります。
条例全文
<制定>令和元年10月1日施行
<改正>令和6年4月1日施行
条例の概要
目的
障害を理由とする差別の解消の推進並びに障害者の自立及び社会参加に向けた取組について基本理念を定め、県及び市町の責務並びに県民、事業者及び障害者関係団体の役割を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消の推進等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、全ての県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に寄与することを目的としています。
基本理念
- 全ての県民は、障害の有無に関わらず、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する。
- 障害を理由とする差別及び社会的障壁に係る問題は、全ての県民にとっての課題であり、障害及び障害者に対する理解並びに社会的障壁の除去の重要性に対する理解の不足から生じていることを踏まえ、全ての県民が、障害及び障害者についての知識及び理解を深める必要がある。
- 地域コミュニティにおいては、障害の有無に関わらず全ての県民が、互いにそれぞれの立場で可能な配慮や支援を行い、誰もが地域活動等に参加しやすい環境をつくることなどにより、相互理解、対話及び支え合いの取組を進める。
- 全ての障害者は、社会を構成する一員として、社会、経済、文化、スポーツその他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保される。
- 全ての障害者は、言語(手話を含む。)その他の手段による意思疎通及び情報の取得又は利用について、その手段を選択する機会の確保及び拡大が図られる。
責務・役割
- 県の責務
基本理念にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進等のための施策を策定し、これを総合的かつ計画的に推進する。
また、市町が障害を理由とする差別の解消の推進等のための施策を講じようとするときは、当該市町と連携するとともに、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずる。
- 市町の責務
基本理念にのっとり、県との役割分担を踏まえ、地域の実情に応じて、障害及び障害者に対する住民の理解を深めるとともに、障害を理由とする差別の解消の推進等のための施策を推進するよう努める。
- 県民及び事業者の役割
障害及び障害者に対する理解を深めるとともに、県又は市町が実施する障害を理由とする差別の解消の推進等のための施策について協力するよう努める。
- 障害者の役割
自らの障害の特性及び社会的障壁の除去に必要な支援について、可能な範囲で周囲に伝えることにより、障害及び障害者に対する理解が深められるよう努める。
- 障害者団体の役割
障害及び障害者に対する理解を深めるための啓発を行うとともに、県又は市町が実施する障害を理由とする差別の解消の推進等のための施策について協力するよう努める。
障害を理由とする差別の禁止
不当な差別的取扱いについて
- 何人も、障害者に対して、不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。【義務】
不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害又は障害に関連することを理由として、不利な区別、排除及び権利の制限をすること、障害者が権利を行使する際に条件を付けることその他の障害者でない者と異なる取扱いをすることをいいます。
不当な差別的取扱いの例
- 車いすや介助犬を理由に入店(参加)を拒否する。
- 「障害のある人は参加しなくていい」と言う。
- 障害者への対応を後回しにする。
- イベントに参加するために、同伴者の付き添いを条件にする。
- 障害のある人の存在を無視したり、偏見で傷つけたりする。
合理的配慮の提供について
- 行政機関等及び事業者は、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合には、合理的配慮をしなければならない。【義務】
- 県民は、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合には、合理的配慮をするよう努める。【努力義務】
社会的障壁とは、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいいます。
合理的配慮とは、障害者が障害者でない者と同等の権利を行使するため又は障害者でない者と同等の機会及び待遇を確保するための必要かつ適当な現状の変更又は調整であり、その実施に伴う負担が過重でないものをいいます。
合理的配慮の提供の例
- 聴覚障害のある方と、手話や筆談でコミュニケーションをとる。
- 段差で車いすを押す。
- 視覚障害のある方の誘導をする。
- 知的障害のある方に、簡単な言葉やイラストを使って説明する。
この他、必要なサポートについてこちらで解説しています。
障害を理由とする差別の解消の推進等に関する県の施策
- 普及啓発
県民及び事業者が障害及び障害者に対する理解並びに社会的障壁の除去についての重要性に対する理解を深めるよう、知識の普及及び啓発のための広報活動などをおこないます。
- 地域コミュニティにおける環境づくり
地域コミュニティにおいて県民がそれぞれの立場で可能な配慮や支援を行うことにより障害の有無に関わらず誰もが地域活動等に参加しやすい環境がつくられるよう施策を進めます。
- 共に学び合う交流の機会の充実
障害者と障害者でない者が共に学び合う交流の機会の充実を図るとともに、その相互理解を促進するための施策を進めます。
- 教育の推進
市町と連携し、障害者がその年齢及び特性を踏まえた十分な教育を受けられるよう、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等の施策を進めます。 また、市町と連携し、障害者と障害者でない者が共に学べるよう施策を進めるとともに、県民が障害及び障害者に対する理解並びに社会的障壁の除去についての重要性に対しる理解を深めるための教育を進めます。
- 雇用及び就労の促進
関係機関と連携し、障害者の雇用及び就労について事業者の理解を深めるとともに、障害者の雇用及び就労を促進するための施策を進めます。
- 意思疎通等のための手段の確保
手話、筆談、要約筆記、点字、音声、拡大文字、代読、代筆、わかりやすい表現その他の障害者にとって利用しやすい手段による意思疎通及び情報の取得又は利用について、手段を選択する機会の確保及び拡大のための施策を進めます。
- 文化芸術活動の推進
障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の趣旨にのっとり、障害者による文化芸術活動の推進を図り、文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進のための施策を進めます。
- 障害者スポーツの振興
障害者スポーツの振興を図り、障害者がスポーツを行う機会を確保するとともに、障害者と障害者でない者が共にスポーツを行う機会を確保するための施策を進めます。
障害の特性と必要なサポートについて