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平安時代
個人蔵 能美市
(石川県立美術館保管 金沢市出羽町2-1)
縦 30.9センチ 横 821.2センチ
重要文化財 昭和28年3月31日指定
保安2年(1121)9月12日、時の関白内大臣藤原忠通が、自第で催した歌合の記録。歌合は、歌人が左右に分かれて歌の出来を競う王朝の遊戯。「兼日被下題」とあるように、予め下された題は、山月・野風・庭露・恋2題で、各7番の計35番。作者は、忠通・藤原親隆・源俊頼・藤原基俊ら13名、他に隠名の女房がいる。忠通周辺の歌人達に、基俊・俊頼を迎えての大規模な歌合である。
「左持」とある「持」は引分けの意。歌の後に判者基俊による判詞が見える。基俊・俊頼の対立時代、『金葉集』撰進直前の歌壇の様相を伝える歌合中、屈指の資料価値を有する。
この1巻は、20巻本の「類聚歌合」の清書本で、益田家旧蔵。奥書によれば、藤原基俊(?~1142)の自筆本である。この歌合には、他に内閣文庫本・類聚本などの伝本が多いが、いずれも20巻本からの何らかの転写本。従って該本の20巻本が証本である。筆致流麗、王朝の高雅な遊びを今に伝える逸品である。
昭和60年「石川県の文化財」より
鎌倉時代
個人蔵 能美市
(石川県立美術館保管 金沢市出羽町2-1)
各帖 縦 24.7センチ 横 15.2センチ
重要文化財 昭和28年11月14日指定
『古今集』は、延喜5年(905)ごろ、醍醐天皇の下命により、紀貫之・紀友則・凡河内躬恒・壬生忠岑によって撰集された最初の勅撰和歌集である。歌数1000首余。成立には諸説多いが、延喜13年(913)~同14年(914)ごろに完成奏上されたものとみられる。
『古今集』は、多くの伝本を有するが、該本は、建仁元年(1201)3月源家長筆写の、いわゆる清輔本系統の一本で、その奥書によれば、永治2年(1142)藤原清輔筆写の本がもとになっている。また見返しの識語などによって、これが通宗本、小野宮皇太后御本の系統に属することが知られ、清輔本が貫之自筆本の直系ににあたるという点で価値が高い。清輔は、歌人であり、また六条流歌学の祖。その考証的な学究肌で『袋草子』などの歌学書を多く著す。伝清輔筆前田家本『古今集』とともに、定家本以前の伝本の内容を伝える点でも意義深い。真名序は奥書の後にあるが、清輔自身の書き添え故のこと。該本も前田家旧蔵。
昭和60年「石川県の文化財」より
鎌倉時代 伝西行筆
個人蔵 能美市
(石川県立美術館保管 金沢市出羽町2-1)
縦 16.5センチ 横 15.5センチ
重要文化財 昭和30年6月22日指定
『山家心中集』は、『西行法師家集』の祖本のようなものからの、自撰秀歌選ともいうべきもので、360首(他に他人歌14首)を秀撰する。該本は、「伝西行自筆本」といわれるもので、歌数291首で流布本より少ない。『山家心中集』の原初形態を伝える古鈔残欠本といってよい。鎌倉初期の筆写、奥書はない。
西行(1118~1190)は、平安末期から鎌倉初期にかけての歌人。『新古今集』に94首入集し集中第1の歌人。『山家集』『西行上人集』などがあるが、本書は自撰秀歌選である点が注目される。もと北面の武士で、23歳で出家、全国を行脚して「漂泊の詩人」の名をほしいままにする。
本書内題下には、はじめ2つの部立てを採って「花月集ともいふべし」とある。写真は「やまぶきのさかりになりぬれば」「ますげおふるあらたにみずをまかすれば」などの歌が並ぶ192首めからの部分。
昭和60年「石川県の文化財」より
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