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奈良・平安時代
金沢市
金沢市埋蔵文化財センター 金沢市上安原南60番地
県指定文化財 平成23年2月1日指定
東大寺領横江荘遺跡上荒屋遺跡は、金沢市西部、安原川流域の沖積平野の微高地上に立地する、縄文時代から中世までの遺跡である。 昭和62年(1987)から平成3年(1991)までの5次にわたる金沢市の調査によって、奈良時代から平安時代前期には、荘園であったことが明らかとなり、出土した墨書土器等から、小規模な墾田開発による初期段階から、王臣家及び東大寺が経営する大規模荘園に至る変遷を、考古学的に確認できる全国でも貴重な荘園遺跡であることから、平成18年(2006)に東大寺領横江荘遺跡上荒屋遺跡として、国の史跡に追加指定されている。
今回、指定する考古資料は、運河と考えられる河川跡を中心に出土したものであり、墨書土器725点を含む土器・陶器・土製品809点、石製品・金属製品24点、木簡57点を含む木製品298点の合計1,131点である。 特に「田宮」「綾庄」「東庄」をはじめとする墨書土器群は、極めて多彩な内容をもち、木簡とともに荘園経営の実態を知るうえで重要である。また、斎串・人形・馬形などの木製祭祀具や瓦塔・鉄鉢などの土製仏具類、素文鏡・鈴などの金属製品、さらに様々な生活具は、当時の信仰の在り方や生活実態を示すものである。 このように、東大寺領横江荘遺跡上荒屋遺跡出土品は、県内では唯一の質・量とも豊富な内容をもち、奈良時代から平安時代に営まれた荘園の経営や生活・信仰を示す貴重な学術的資料であり、その文化財的価値は高く、有形文化財に指定し、その保存を図ることが必要である。
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