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縄文時代中期
白山市立博物館 白山市西新町168-1
高さ15.4センチ 口径6.4センチ
胴径11.3センチ 底径10.5センチ
県指定文化財 昭和61年3月22日指定
昭和35年(1960)鶴来町教育委員会が組織した石川考古学研究会と県立鶴来高校地歴部による調査団がこの遺跡で発見した第3号住居址から発掘した。第3号住居址は径3メートル前後、やや西寄りに一辺約65センチの方形の石組炉を設けた円形の縦穴住居である。本壷はこの住居跡の北東端に設けられた長さ約40センチの枕状河原石3個を「コ」の字形に配置した石組のほぼ中央で、口を上にして直立の状態で発見された。石組と基底の土は火熱を受けた痕跡が全くみとめられなかったから、石組は炉ではなく、この壷を納置するために設けた特殊な施設であることは明らかである。壷は器高15.4センチ頸部でしまり、口は銚子状に開く。肩部には刻目ないし爪形文を加えた4条の隆帯をめぐらし、胴部は櫛歯刺突文を押引きした縦位の28条の隆線で飾られている。底径10.5センチ。櫛歯刺突文は北陸の縄文中期中葉後半の古府式土器の指標となる文様であるが、この壷はこの時期の北陸では類品のみられない精製品であり、実用に供された痕跡のないこと、特異な出土状況から総合的に判断して、ある種の祭祀的行為に供したものと推考され、住居に伴う宗教的儀礼を考える上で貴重な資料である。
縄文時代晩期
金沢市埋蔵文化財収蔵庫 金沢市新保本5-48
金沢市埋蔵文化財センター 金沢市上安原南60
円柱形 11点 半截柱形 41点 板状材 5点
県指定文化財 昭和61年3月22日指定
昭和55年(1980)金沢市新保本町チカモリ遺跡で区画整理事業に伴う発掘調査で発見された。チカモリ遺跡は縄文後期後葉から晩期前葉、中葉、後葉にわたる歴代遺跡である。発見柱根はクリ材で総数350点に近く内訳は縦半截のもの250点余り、円柱形のもの45点、芯材部を大きく刳り削き展開外湾させた板状材50点余であるがそのうち保存状態が比較的良好なものは円柱11点、半截柱41点、板状材5点、計57点である。柱根は史跡公園として整備された金沢市所有地の北西隅と指定地の西辺をめぐる大溝の近くで発見され、半截柱は径9メートル前後を最大径として数個重複する円形遺構、円柱は円形遺構に隣接する2個以上の方形遺構板状材は両者の周辺で発見された。方形遺構は径50~60センチの巨大円柱を方形に配置したもので、方形住居説や倉庫説などが唱えられ、円形遺構は径50センチ以上、70センチを中心に最大径83センチをはかる巨大木柱を円形に配置したもので、共同作業場説やトリーサークルと考える説、ある種の儀礼、祭儀に伴う特殊構築物とみる説などがあって、いまだ定説を得るに至っていないがこれら柱根から当時の木工技術や、柱根に施された目途穴、基部をめぐる紐かけ溝などは搬送、構築技術が考えられ、さらにこの巨大木柱列は縄文後晩期集落の構造、社会構造、精神生活を知る重要な資料である。
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