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更新日:2023年3月15日

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郷土の花 クロユリ

石川県の郷土の花 クロユリ

石川県の郷土の花  クロユリ

クロユリはどんな植物?

クロユリは、ユリ科バイモ属の植物で、亜高山帯~高山帯の草地に生える高さ10~30cmの多年草です。6~8月に、茎の先に1~2個の暗紫褐色で長さ約3cmの花を斜め下向きにつけます。花には黄色の細かい斑点があり、特に花全体が黄色のものをキバナクロユリと呼んで区別する場合もあります。
昭和29年、石川県の「郷土の花」に選ばれています。

白山のシンボルマーク

白山のシンボルマーク

また、平成4年に白山国立公園指定30周年を記念して制定された白山のシンボルマークのデザインには、クロユリが用いられています。

クロユリはどこに分布しているの?

クロユリは日本では北海道、本州の月山、飯豊山地、中部地方の亜高山帯~高山帯に分布しています。北海道のほか、千島、サハリン、カムチャッカ、ウスリー、北アメリカ北西部の低地に生えるものをエゾクロユリ、本州のものはミヤマクロユリとよんで区別することもあります。エゾクロユリは3倍体、ミヤマクロユリは2倍体で、エゾクロユリはミヤマクロユリに比べ、全体に大きく高さ50cmほどになります。また、つける花の数も多くなっています。
分布図を見るとわかるように、白山は、クロユリの日本における分布の西限となっています。これは、白山より西に高山帯を持つような高い山がないためで、クロユリ以外にも白山を代表する高山植物であるハイマツやハクサンコザクラなど100種類を越える種が白山を日本における分布の西限としています。

 クロユリの国内分布

白山ではどこで見られるの?

クロユリは、白山では標高約2,000m以上の亜高山帯~高山帯の草地で見られます。
南竜ヶ馬場や弥陀ヶ原などでも見ることができますが、大きな群落が見られるのは、室堂周辺のほか、お池めぐりコースの水屋尻雪渓付近、平瀬道と展望歩道の分岐付近などです。
また、室堂からは距離がありますが、中宮道のお花松原付近でも大きな群落が見られます。お花松原は、室堂などに比べ、雪どけが遅いため、比較的遅く花が咲きます。

クロユリには2種類の花がある?

クロユリの花には2種類、両性花と雄花があります。また、2つ花をつける個体では、雄花と雄花、雄花と両性花、両性花と両性花の多様な組み合わせになっています。

 

クロユリの両性花

両性花

クロユリの雄花

雄花

 

どのような花をつけるかは、地下部の鱗茎の大きさによって決まることがわかっています。この鱗茎がある程度の大きさまでは葉1枚のみしかつけることができません。次の段階で、茎は伸ばすものの花をつけない段階になり、さらに大きくなってはじめて雄花をつけることができるようになります。そして最後に両性花をつける段階となります。そして、さらに大きくなると花を2つ以上つけることができるようになります。
このようにクロユリは花をつける段階になるまで、何年も何年もかけ、少しずつ大きくなっていくのです。
これは、個体があまり小さいうちに、養分を多く使わなければならない種子生産をしてしまうと、自分が弱って死んでしまうためと考えられ、ある程度の大きさまでは種子をつけないしくみになっているのです。

クロユリの地下部の鱗茎

クロユリの地下部の鱗茎

クロユリの花粉を運ぶのはだれ?

クロユリの花には、そのユリという名に似合わず、独特の悪臭があります。クロユリの花粉を運ぶのは、大部分が「ケブカクロバエ」と呼ばれるハエなのですが、この悪臭がこのハエを呼び寄せるといわれています。クロユリの花を訪れたケブカクロバエの背中には、クロユリの黄色い花粉がたくさん付いて、まっ黄色になっている様子を見ることができます。

クロユリはどうやって増えるの?

クロユリは花が終わると、長さ2~2.5cmほどの実をつけます。花は、横、やや下向きにつけていますが、徐々に上を向くように形が変化するとともに、実がふくらんでいきます。実の中には、羽を持った種子がたくさん入っています。
しかし、これらの種子の発芽率は、あまりよくありません。クロユリの繁殖のほとんどは、栄養繁殖とよばれる繁殖方法で、地下部の鱗茎の一部がはがれることにより、その鱗茎から新しい芽を出して増えていきます。花をつけたクロユリの周りに1枚の葉のみの個体がたくさんあるのが見られますが、そのほとんどがこのようにして増えたクローンであると考えられます。

クロユリの実

クロユリの実

クロユリにまつわる伝説って?

アイヌの恋の花物語

好きな人への想いをこめたクロユリを、ほかの人に知られないように好きな人の近くにそっと置いておく。送り主がわからないまま相手がそれを手にとれば必ず結ばれるといいます。

呪いの花の伝説

佐々成政(1536-1588)という大名が愛した早百合が浮気をしているのではと疑って殺し

ました。早百合は「立山に黒百合咲かば、佐々の家は滅しよう。」というような呪いの言葉を叫びながら死んでいきました。
その後、佐々成政は秀吉に取り入ろうと秀吉の正室ねねにクロユリを贈りました。これはめずらしいと、淀の君に自慢するのですが、淀の君はひそかにこのことを知り、ねねよりも立派なクロユリを取り寄せていて、ねねは恥をかかされてしまいました。恥をかかされたねねのうらみをかったためか、その後、佐々成政は、お家断絶となってしまいました。
以来、クロユリは人を不仲にして家をほろぼす呪いの花となったといいます。

白山の高山植物を守るために…

今後も白山の高山植物を守るためには、写真を撮るためや休息するために登山道をはずれ、お花畑の中に入り込まないなど、一人一人が注意することが重要です。このかけがえのない、すばらしい自然を次の世代に残していきたいものです。

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お問い合わせ

所属課:生活環境部白山自然保護センター 

石川県白山市木滑ヌ4

電話番号:076-255-5321

ファクス番号:076-255-5323

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