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令和6年9月3日(火曜日) 14時00分~
令和6年度9月補正予算案がまとまりましたのでその概要を説明いたします。
スライド1ページをご覧ください。今回の9月補正予算におきましても、当初予算および6月補正予算に引き続いて、令和6年能登半島地震への対応を最優先としております。6月補正予算で創設いたしました、能登半島地震復興基金を活用した、被災者の生活支援、住まいや地域コミュニティの再建支援など、地震対応に係る予算を計上するほか、最低賃金の引き上げを踏まえた事業者支援など、6月補正予算編成以降の情勢の変化や、事業の進捗などにより、現時点で新たな対応が必要となったものについても予算を計上しております。以下、主な施策について説明をいたします。
1点目は能登半島地震からの復旧・復興についてであります。スライド2ページをご覧ください。まず、基金の活用方針の全体像を説明いたします。復興基金については、被災地のニーズをくみ取るべく、県下全市町の首長から、丁寧に意見を聞き取りまして、活用方針を決定いたしました。総額540億円のうち、(1)「基本メニュー」として400億円程度、このうち、県事業は100億円程度で、市町事業は300億円程度に割り振りました。基本メニューは、液状化被害を受けた宅地の復旧や、地域コミュニティの核となる施設の再建など、被災市町共通の課題に対応するものでありまして、令和14年度までの所要額として400億円程度を見込んでおります。このうち、市町事業として、熊本地震の基金の支援メニューを基本としまして、27事業をメニュー化し、300億円程度の所要額を見込んでいます。中でも、市町からの要望も踏まえまして、コミュニティ再建に資する取り組みについては、補助率引き上げや、物価水準を踏まえた補助上限の引き上げなど、熊本地震より拡充を行うこととしています。また、広域的な課題への対応を行うため、県事業として、既に一般財源で一旦措置している事業の基金事業への振替も含めて、宅内配管修繕や住宅応急修理に地元以外の業者を利用する際のかかり増し経費の支援など、11事業をメニュー化し、100億円程度の所要額を見込んでおります。
(2)「市町枠配分」です。これは、各市町が復旧・復興に向けて、各地域特有の課題に対応できるように、市町自身の裁量で活用いただくものとして、100億円を確保いたしました。市町が機動的に活用できるように、このうち50億円を一次配分として、今回の9月補正予算で配分いたします。残る50億円については、枠配分の算定指標の一つである、被災規模がおおむね判明後、令和7年度当初予算以降に追加配分いたします。まだ被災の調査が十分終わりきっておりませんので、50億円分は、来年度当初予算以降に回したということであります。
次に、(3)「後年度課題対応分」として、40億円程度でありまして、これは今後、観光需要喚起など、復興の進捗に合わせて新たに顕在化する財政需要などに対応するものであります。40億円程度を一旦留保しておきまして、今後、順次メニュー化をしてまいります。以上が現時点での基金活用方針の全体像です。今後、執行状況を勘案して、各区分の配分額を調整する必要もあろうかと思いますので、柔軟に対応いたします。こうした方針で復興基金を効果的に活用したいと思います。
それでは、以下、復興基金を活用した事業も含めまして、復旧・復興に係る施策を創造的復興プランの4つの柱に沿って説明いたします。1つ目の柱は、暮らしとコミュニティの再建についてであります。まず、被災者の生活支援について申し上げます。
スライド3ページをご覧ください。県と市町では、地域支え合いセンターを設置して、仮設住宅入居者等を対象に、相談員による個別訪問を行い、見守り・安否確認を行っております。この見守り体制を補完し、急病等の緊急時に迅速かつ適切な対応を図るため、仮設住宅に入居する独り暮らし高齢者等の要支援世帯を対象にして、24時間体制での緊急対応や、定期的な安否確認を行うことのできる緊急通報装置の設置などを支援いたします。こうした支援は熊本地震の際にも行われましたが、今回、支援対象を高齢者夫婦世帯にも拡大をし、被災者の見守り体制を強化してまいります。
次に、仮設住宅自治組織の立ち上げ支援です。仮設住宅への入居が進んでおりますが、入居者同士のルールづくりや、孤立防止等のため、自治組織の立ち上げが必要となってまいります。一方で、先月、私自身、仮設住宅を訪問した際にもですね、「知らない者同士の新たな環境ということもあり、自治組織の立ち上げに苦慮している」との声を直接お聞きしました。結構、やっぱり深刻でしたよね。言葉は選ばずに言いますけども、どうせ大変なことがたくさん出てくるんだから、そんなまとめ役するのは大変だから、もう誰もやりたくないという本音もありつつも、大変なことはたくさんあるから、自治組織があって、誰かがやっぱりまとめ役をして、こんなお話をいただきました。そこでですね、熊本地震の際にはなかった復興基金の支援メニューとして、仮設住宅の自治組織の立ち上げや運営にかかる経費の一定額を支援することとし、新たなコミュニティの形成を後押しいたします。やはり仮設住宅といえども同じ地域に生活をし、また様々な課題を抱えた者同士仲良くしてほしいですし、課題があれば、代表者を通じて、市町や県にご意見をお届けいただきたいと思っています。
スライド4ページをお願いします。ここも大変重要な案件です。広域避難高齢者等の帰還支援、介護施設の再開支援です。今回の地震では、多くの高齢者施設が建物の損傷や職員不足などによって、事業継続が困難となりまして、県としては、入所されている方の広域避難を進めてまいりました。発災から8ヶ月が経過し、各施設のご尽力もありまして、被災地では、サービス再開が進んでおります。避難された方々も順次、元の施設に帰還されています。現状では、28施設のうち16施設が再開しております。一方ですね、元の施設が休止や規模縮小して運営している場合もありまして、依然として帰還のめどが立たない方もおられます。そこで、引き続き、休止施設の再開を支援するとともに、希望する方が円滑に地元へ帰ることができるように支援いたします。具体的に申し上げます。広域避難をされている高齢者本人やご家族の希望、また、心身の状況等に合わせて、ケアマネージャーなどの専門職と連携して、受け入れ施設などの調整、マッチングを支援いたします。また、被災地の高齢者施設の受け入れ体制を維持していくためには、業務量が過大となっている介護職員の負担を軽減し、新たな職員確保や、更なる離職防止を図ることが重要です。そこで、介護職員をサポートする、介護助手の導入を促進するための事業者向けセミナーや、専門家による個別相談を実施いたします。このほか、広域避難の際に定員を超えた受け入れを行った認知症高齢者グループホームにおいては、いまだ定員超過のままのところがございます。そこでその解消に向けて、既存の休止施設の改修などによって新たな受け皿を確保する事業者に対し支援することといたしました。
次に、住まいの再建支援についてです。スライド5ページをご覧ください。応急仮設住宅の建設が8月いっぱいで一部を除いておおむね完了しました。今後は応急的な住まい、つまり仮住まいから恒久的な住まいへの移行が大きな課題となります。被災された方の希望に応じて、自宅再建や民間賃貸住宅、あるいは災害公営住宅などの住まいを確保できるように、再建方法に応じた支援メニューをパッケージとしてお示しすることとしました。まず、自宅再建については、半壊以上の被災をした世帯や、長期避難世帯などを対象に、被災者生活再建支援金や自宅再建利子助成で、最大合計600万円が支給されます。今回、これに加えて民間賃貸住宅や公営住宅への入居を希望する世帯を対象とした入居費用助成や、自宅再建を希望する世帯を対象とした二重ローンの負担軽減のための利子助成、それからどの再建方法にも共通いたします仮設住宅等からの転居費用助成を行います。
スライド6ページをご覧ください。また、住まいの再建の具体的なイメージをお示しする、いしかわ型復興住宅のモデルプラン集を作成することといたしました。ご夫婦や単身世帯やファミリー世帯といったライフスタイルに合わせて無理なく再建することができる住まいのモデルをお示ししたいと考えています。また、能登の風土に馴染むように、「地域とつながる新たな能登暮らし」をテーマとして、子育て世帯から高齢者世帯まで顔の見えるコミュニティづくりや、能登らしい景観の形成、気候への配慮や、県産材の活用といった、地域特性への対応など、5つの要件を設けて、住宅メーカーや工務店などから設計プランを募ることとしました。県や建築団体で構成する、21世紀住まいづくり協議会で、年度内を目途に取りまとめることとしております。12月には中間報告として、代表事例のイメージをお示ししたいと思います。
次に、地域コミュニティの再建支援についてです。スライド7ページをご覧ください。能登官民連携復興センターです。発災から8ヶ月が経過し、能登の各地域では、まちづくり団体のほか、新たに地域の復興支援を行う団体が生まれるなど、復興に向けた様々な活動が始まっています。一方、活動を行うにあたり、ノウハウやマンパワー不足、資金確保などに大きな課題があることから、地域団体に伴走し、全国の産官学金の様々な支援を効果的に結びつけるコーディネート的役割を担う中間支援組織の立ち上げに向けた検討費を6月補正で計上し、これまで準備を進めてまいりました。来月にも県及び能登6市町で一般社団法人能登官民連携復興センターを設立いたします。センターでは、行政を補完する形で地域の復興を支援する地域団体などの活動に伴走支援することとしています。
スライド8ページをご覧ください。このセンター長には、能登半島地震復旧・復興アドバイザリーボード会議の委員や、復興庁復興推進委員を務めて、東日本大震災の復興支援においても活躍をされた、藤沢烈氏に就任をいただく予定です。センター長は藤沢烈さんです。組織体制については、外部からの支援を獲得するなどの業務を担う管理部門と、地域に入って各団体や支援者とのネットワークを築いて、伴走支援していく事業部門の体制とし、民間企業などから様々な分野の人材の登用に向けて、今人選を進めております。
次、スライド9ページお願いします。地域コミュニティ施設等の再建支援です。今回の地震によりまして、能登地域を中心に集会所や神社などの地域に根付いたコミュニティ施設が多く被災いたしました。これらの施設は、地域社会における交流の場であります。そして、能登の祭り文化の活動の中心となる施設であり、能登の復興に欠かすことはできません。今後、これらの施設の再建が地域コミュニティを維持再建する上で極めて重要であります。政教分離の原則を踏まえつつも、復興基金を活用した支援策を講じることといたしました。支援にあたってはですね、被災者自身の生活再建に加えて、地域としての負担がさらに加重となることや、特に能登においては人の繋がりと祭りを通じた団結が地域コミュニティの維持、ひいては復興に必要不可欠であるということを勘案いたしました。そこで、熊本地震から支援を大幅に拡充し、再建にかかる費用の4分の3、最大1200万円まで助成し、地域住民の負担軽減を図ることといたしました。このほかですね、集落や自治会などが所有する自治公民館、地域で管理する水道施設や生活道路についても、地域コミュニティの維持に欠かせないということで熊本地震の支援を拡充し、復旧にかかる費用の3分の2を助成することといたしました。
次、スライド10ページをお願いします。文化財の復旧支援です。今回の地震では、多くの文化財が被災しております。文化財としての価値が損なわれないように適切な修復を行う必要がありますが、被災者でもある所有者にとりましては、生活再建に加えて、大きな経済的負担となります。そこで、民間所有の被災文化財の修復にあたりまして、国や県、市町の既存の補助制度に加えて、復興基金を活用し、補助残額の所有者負担の3分の2を支援することといたしました。さらに、既存の補助制度の対象外である、文化財への指定登録はないものの市町が一定の歴史的価値を認める建造物・動産についても、所有者負担の2分の1を支援することといたしました。
二つ目の柱は、能登の特色あるなりわいの再建についてです。スライド11ページをご覧ください。能登事業者支援センター、そしてILAC能登の機能強化です。今後、被災地では生活再建が進み、なりわい再建が本格化していく一方、まだ先行きが見通せない事業者も多く、様々な経営課題への個別対応が必要となってきます。こうした状況変化や課題を踏まえまして、なりわい再建支援補助金をはじめ、各種補助金の相談対応や、申請サポートを行っている能登事業者支援センター、2月19日に設置しましたが、ここの機能強化を図ることとしました。具体的には、新たに県職員2名を常駐で配置し、金融機関、商工会議所やISICOなどの関係機関とも連携しながら、個々の事業者の様々な経営課題を受け止めるよろず相談に対応するとともに、センターから離れている珠洲市や能登町をはじめ、能登各地での出張相談や事業者への戸別訪問など、プッシュ型の支援に取り組んでいくこととしました。また、7月1日に設置したILAC能登につきましても、広域避難者が故郷へ帰ってくる、その流れが本格化することになりますので、当然求職の増加が見込まれます。そこで、コーディネーター2名を追加配置し、4名体制とします。企業訪問によるプッシュ型の相談や、求人開拓を強化するとともに、求職者と事業者とのマッチングが直接できるように、職業紹介機能を追加することとしました。
次、スライド12ページ。次は現役世代の就労対策であります。被災地においては今後、広域避難者の能登への帰還が本格化することなどによる現役世代の求職者の増加が見込まれます。このため、金沢や加賀に避難している現役世代の求職者を対象に、能登の仕事に関する相談会を金沢・加賀地域を中心に開催し、また、被災地でも合同就職面接会を開催して、求人・求職のマッチングを強化いたします。能登の仕事に関する相談会を金沢や加賀地域を中心に50回程度開催します。また、合同就職説明会を能登6市町で計12回程度開催いたします。それから、これまでと異なる仕事に就職するケースが増えると見込まれますので、新たな職場で必要なスキルを習得する無料の職業訓練を行うことで、求職者が安心して就職できる環境を整備し、また、事業者の雇用確保を後押しいたします。
次にスライド13ページをご覧ください。高齢者・障害者等の就業対策です。被災地ではですね、働く意欲はあるものの、具体の仕事がない高齢者、障害者の方などが多くおられます。また、生きがいが見出せる機会を求める声も多くお聞きしております。私も何か手伝いしたい、何かして復旧・復興に貢献したいと。復興を進める上で必要な、身近な業務はたくさんありますけど、そもそも担い手が不足しているという現状です。そこで、被災地の高齢者や障害者を能登復興推進隊として、ILAC能登に登録いたしまして、仮設住宅周辺の環境整備など公共的な業務を切り出して担っていただくことで、仕事を通じた生きがいの創出、復興推進に繋げたいと思います。これはですね、草むしりなど仮設住宅周辺の環境整備、害虫の駆除など仮設住宅入居者の生活サポート、農産物の出荷に向けた袋詰め作業など、800人程度を想定をいたしております。
次、農林漁業者への支援について申し上げます。14ページをご覧ください。これまでの営農再開に向けた支援などによって、奥能登地域の水稲作付けは、水稲以外の作付けも含めて、前年度2800ヘクタールございましたが、その8割にあたる2100ヘクタールで営農が再開されているほか、400ヘクタールが来年以降再開見込みとなっています。つまり、来年以降は2500ヘクタールが再開見込みです。一方でですね、故障した機械の再取得費用の負担や、子ども世帯の避難による人手不足などによって、今後の営農再開の見通しが立たない小規模農家が一定数おられまして、残る300ヘクタールが再開未定となっています。こうした状況を踏まえまして、田植えや稲刈りなど、小規模農家の農作業の一部について、JAを通じて、営農に余力のある農家への委託を進めて、震災を契機とした離農や、耕作放棄地の発生を防いでいきたいと考えています。
次、漁獲物の運送支援、水産業について申し上げます。発災以来、漁港の製氷施設や給油施設の被害などによって、氷や燃油を遠方から調達することに伴う運送費などのかかり増し経費を支援して、操業再開を後押ししてまいりました。一方、荷捌き所の被災によって、能登で水揚げされた漁獲物の計量や選別、箱詰め、セリといった市場の機能が一部失われておりまして、金沢市の市場まで運送せざるを得ない状況となっています。この運送費のかかり増し経費も、漁業者の大きな負担となっておりますので、市場機能が復旧するまでの間、運送費の一部を、発災時から遡って支援することとします。
次、スライド15ページご覧ください。漁港の復旧です。外浦を中心に地盤の著しい隆起等によりまして、甚大な被害を受けた能登地域の漁港などの復興については、先月30日に国や県、市町、漁業関係者等から組織している復興協議会において、復興方針が策定されました。この方針を踏まえて、県管理の漁港等については、被災状況に応じ、応急復旧、そして本復旧と段階的な復旧を進めることとしました。具体的に申し上げますと、地盤隆起の被害の大きい狼煙、輪島、鹿磯の三港は、応急復旧を実施した上で、段階的に操業再開しながら、本復旧の工法の検討を進めていきます。残る11港については、既に応急復旧の上、一部操業を再開しているところでありまして、引き続き操業を続けながら、本復旧を進めてまいります。
スライド16ページをご覧ください。今行ける能登であります。7月に阪急交通社が販売を始めました、のと里山空港を利用した首都圏発着の復興応援ツアーは、なんと目標の800名を超える申し込みをいただいており、大変好調です。ありがとうございます。このツアーに対しましては地元からの期待も高く、今行ける能登への更なる誘客を求める声があります。そこで、他の旅行会社も含めて、更なる応援ツアーの造成を働きかけていくこととしました。さらに、のと里山空港からの誘客だけでなく、三大都市圏の旅行会社に対しましては、応援ツアーの造成を支援することによって、金沢などを起点に、レンタカーや自家用車で今行ける能登の様々な観光施設や、飲食店等のスポットを観光客に巡っていただくこととします。大手旅行会社と連携したこれらの取り組みによりまして、今行ける能登への更なる誘客に繋げるとともに、応援ツアーの結果をモニタリングして、来年度以降の本格的な観光再開に向けて取り組みたいと思います。
スライド17ページをご覧ください。修学旅行です。震災後、県内の学校や旅行会社からは、能登で震災学習を実施したいという声がありました。また地元市町も、復興後の速やかな修学旅行の受け入れを期待しているという声をいただいております。修学旅行は、そもそも2年前に行き先を決めるものでありまして、復興後を見据えた修学旅行の誘致活動に活用するために、地元市町と連携して、震災学習プログラムの検討に着手することとしました。これまで修学旅行の内容として高く評価されてきた、能登の里山里海での農林漁業体験をはじめとした自然体験学習をベースに、新たに自然の脅威や震災からの復興を学ぶ要素も加えて、復興後の令和9年度の速やかな修学旅行の受け入れを目指してまいります。詳しく申し上げるとですね、市町や地元の関係者と修学旅行のプログラム候補となる場所や、内容について検討会を開催して、商品作りに取り組みます。この商品作りの取り組みを踏まえて、プログラムの候補地をリスト化してPRツールを作成し、営業に入ります。
次に、スライド18ページに入ります。住宅の耐震改修促進です。住宅耐震化の補助事業については、都道府県としては全国トップレベルの支援制度を設けておりますが、先般の6月補正予算でも、今回の地震による液状化被害を踏まえて、住宅耐震化と併せて行う傾斜修復を補助対象に追加するなど、拡充を行ってまいりました。今般、住宅の耐震化を加速させ、県民の安全安心を確保するため、更なる制度拡充を図ることとし、補助上限額について、県・市町でそれぞれ15万円ずつ、計30万円を上乗せし、最大180万円まで支援することとしました。
次です。県立看護大学の新規講座開設準備です。今般の地震では、発災後、県内外からのDMATや災害支援ナースといった支援チームが被災地に入るまでの間、看護師の皆さんには、医療機関や避難所において、感染症対策や被災者の健康管理など多くの役割が求められ、その役目を果たしていただきました。このように災害時において医師などの指示がない中で、医療機関や避難所など様々な場で、適時適切に行動できる知識や技術を持つ看護師の育成の重要性を認識しました。そこで、本県の看護教育の拠点であります県立看護大学において、災害時にリーダーシップを発揮できる看護人材を育成するための寄附講座を来年度より開設します。その組織作りや教育内容の検討など、具体の準備を始めたいと思います。
次、スライド19ページお願いします。地震被害想定調査の調査断層の追加です。現在進めている地震被害想定調査については、先月2日に国が公表した海域活動層の長期評価を踏まえ、能登内浦地域への影響が考えられる七尾湾東方断層帯を被害想定調査対象断層に追加することとしました。今年度末までに調査結果を取りまとめることとしておりまして、震災対策の充実強化に繋げてまいります。
次にスライド20ページをお願いします。輪島漆芸技術研修所の寄宿舎整備です。被災により休講しておりました輪島漆芸技術研修所については、10月1日、授業再開に向けて、仮設寄宿舎の整備を進めています。これは6月補正予算で組んだ分です。敷地内にトレーラーハウス10台20名分、9月に在校生の4名分が完成予定でありますが、一方、今後も研修生の住まいの確保が困難な状況が続くことが想定されています。そこで、今般、被災した研修所の復興に対する寄附金を原資として石川県立輪島漆芸技術研修所復興基金を創設し、この基金を今後順次取り崩して、研修所敷地内に常設の寄宿舎を整備することとしました。今般の補正予算では、基本設計費を計上するほか、研修生の教材・用具の購入や研修旅行など研修環境の充実も図ってまいります。
次、令和6年能登半島地震犠牲者追悼式典について申し上げます。震災によって大切なご家族、ご友人などがお亡くなりになられました、深い悲しみを負った方々に寄り添いながら、被災地の復旧・復興に取り組んでいく必要があります。発災から1年を迎える来年1月1日、お亡くなりになられた方々の追悼と、ふるさと能登の復旧・復興を改めて決意する犠牲者追悼式典を能登で開催することといたしました。ただ、出席者の内訳、また開催場所をどこにするかなどは、今後、関係機関と調整を進めていくこととしておりまして、具体的に詰めていきたいと思います。以上、能登半島地震への対応です。
次に参ります。これからは6月補正予算以降の情勢変化や事業進捗等を踏まえた対応について申し上げます。スライド21ページをご覧ください。賃上げ支援です。石川県の最低賃金については、先般、現行の制度下では、過去最大となる51円の引き上げが決定され、10月5日から適用される予定です。最低賃金の引き上げは、賃金水準の底上げ、人材確保の観点から重要でありますが、特に被災地の事業者にとりましては、大きな負担を伴います。石川労働局長や石川地方最低賃金審議会の会長からの要請もございました。そこで、企業の賃上げの取り組みへの支援を強化いたします。具体的にはですね、年々活用が増えております国の業務改善助成金について、県独自に上乗せ支援を行うとともに、地震の影響に苦しむ能登の事業者を初め、県内の小規模事業者がこの助成金をさらに活用できるように、新たに個別相談会や専門家派遣による伴走支援を実施することとしました。なお、この国の業務改善助成金につきましては、昨年度の実績を申し上げますが、前年度比2倍以上の活用件数、184件ご活用いただいております。今年度も更なる増加が見込まれると見ております。また、きめ細かな伴走支援によりまして、事業者の活用を促すこととしておりますので、県独自の上乗せ支援の予算額を大幅に拡充したところであります。これずいぶん上乗せしましたね。昨年度の県の予算額は500万円、今回は5000万円、活用をぜひしていただきたいと思っております。
次、小松空港国内線の利用促進です。能登半島地震の発災以降、北陸新幹線敦賀延伸の影響もありまして、観光利用を中心に、小松・羽田便の利用者数が落ち込んでおります。特に初便や最終便といった特定の便の落ち込みが大きくなっています。こうした特定便の需要喚起に向けて、小松空港サポーターズクラブ会員向けの搭乗キャンペーンや、旅行商品の造成を支援するなど、観光利用の底上げを図り、小松・羽田便の安定的な運航維持に取り組んでまいります。
次、国際線の利用促進です。小松・上海便が、本年11月に就航20周年を迎えます。そこで私が10月13日から16日にかけて中国を訪問し、上海の中国東方航空では、これまでの運航に対する感謝、御礼とともに、今後の利用促進に向けた協力を要請してまいります。併せて、石川県との友好交流地域である江蘇省を、私が知事就任後初めて訪問し、江蘇省政府関係者と今後の更なる交流促進を確認したいと思います。
次、大阪・関西万博であります。大阪・関西万博への催事の出展については、6月補正予算で計画作成費を計上し、企画提案型のプロポーザルで大手旅行会社を委託事業者に選定したところであります。この出展計画に基づいて、石川県の魅力である祭りや食文化をテーマとした多彩なイベントによって、国内外に石川県を発信するとともに、地震からの復興に取り組む姿も発信してまいります。今回の9月補正予算では、これらに必要となる出演者やスタッフの確保、会場の設営や施設使用料などの準備経費、実施経費を計上することとしました。今後、イベントの開催にとどまらず、石川の食文化を体験できる魅力ある旅行商品を造成するなど、インバウンドを含め、万博来場者の本県への誘客に繋げていきたいと思いますし、また、国内だけでなく海外からも能登半島地震へのたくさんのご支援をいただいておりますので、感謝の思いも込め発信をしてまいりたいと思います。
次、スライド22ページです。カーボンニュートラルの推進です。カーボンニュートラルの推進については、再生可能エネルギーの利用と地域の活性化を図る先導的なモデル地区作りについて、今般、調査費などが国の補助事業に採択されましたので、取り組みを進めることにしています。まず、金沢港では、カーボンニュートラルポート化を目指して、港湾区域内での太陽光発電導入に向けた適地調査を実施するほか、路線バスのEV化に向けた実証や、電動モビリティの導入可能性調査などを行って、シンボルエリアの構築を目指します。特に皆さんも想定される金石、大野周辺、あの辺がターゲットとしてモデルになるのではないかと想定しています。
次、スライド23ページお願いします。カーボンニュートラルの推進として、重伝建地区である金沢市の東山・主計町では、町並み景観に配慮した地域の脱炭素化のモデル構築を目指して、石川県、金沢市、北陸電力、北國銀行の4社で連携して取り組みを進めることとしました。具体的に申し上げます。
1、まず県において、県内の住宅への太陽光発電設備の設置を支援し、家庭部門での再エネ拡大を促進する。
2、北國銀行では、1の設置家庭に売電量に応じて、県内の店舗で活用できる地域ポイントを付与することで節電行動を促し、余剰電力を確保する。
3、余剰電力を重伝建地区に供給するにあたり、再エネは通常の電力と比べて供給単価が高く設定されているため、金沢市と北陸電力で差額を負担し、重伝建地区での再エネへの切り替えを促進する、こういうことでモデル地区として進めたいと思っています。
次、スライド24ページ。ツキノワグマによる人身被害防止に向けた緊急対策です。クマによる被害については、今年は人身被害が既に2件発生しており、5月にツキノワグマ出没注意情報を発令し、広く県民に注意喚起するとともに、市町と連携してパトロールや捕獲等の対策を強化しています。8月28日時点でのクマの目撃件数は既に225件と過去最多のペースです。これに加えて、今年の秋はクマの主要な餌であるブナが凶作と予測されておりまして、大量出没、人里に、この恐れがございます。こうした状況を踏まえまして、今年4月にクマが指定管理鳥獣に指定されたことに伴う新たな国の交付金も活用して、クマによる人身被害防止対策を一層強化することとしました。具体的には、今年新たに作成したクマ出没分析マップも活用しながら、出没リスクの高い集落などをモデル地区に選定して、地元住民向けに効果的な藪の刈り払いや誘引物の除去、ゴミなどですね、果樹とかですね、こうしたことについて専門家による現地指導を行います。さらに、市街地における捕獲は、より高度な射撃技術が求められますので、万一の場合に備えて、捕獲隊員を対象とした猟銃射撃研修を緊急的に拡充することとしました。
以上が今回の補正予算の概要です。一般会計補正予算額は、670億3200万円余であります。このうち能登半島地震への対応は637億3200万円余、うち復興基金を活用した事業は、126億9500万円余となりました。また、今回の予算編成では、財政調整基金を8億円取り崩すこととしています。財政調整基金の残高は、6月補正予算時点で66億円余ありました。その後の令和5年度の決算剰余金の半分にあたる13億円余の積み立てをし、そしてまた今回、取り崩しをしたことによって、現時点での今年度末の残高見込みは72億円です。地震前の144億円の半分の水準となる見込みです。したがいまして、引き続き国に対しては必要な財政支援を要望するとともに、持続可能な財政運営に努めてまいります。脇を締めて、財政運営に取り組みたいと思います。
私からは以上であります。
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