ワークライフバランス実践事例の紹介
これまで、石川県が行ってきた企業コンサルティングの内容や企業の取組成果などを踏まえ、多くの企業に取り組んでいただけるような実践事例を紹介します。
特定の社員に業務が集中してしまい、その社員の残業がなくならない。
仕事の「属人化」を解消する!
- 特に残業が多いエース社員の業務を洗い出す。
- 洗い出した業務を、個人で全てを行っている「個人完結型」とチームで取り組んでいる「協働型」に分類する。
- 個人完結型業務は別の人に振り分けることができるよう、エース社員がノウハウを明文化し、マニュアルとする。その業務が苦手な社員の生産性向上にも寄与する、。
- 協働型業務は、業務フローや担当者別の役割分担を改めて見直す。代替可能な作業は他のメンバーに振り分ける。定期的に各メンバーの進捗状況や懸念事項を共有し、業務のミスや後戻りを防止する。プロジェクトが終了したら、メンバー全員で業務を振り返り、流れを図式化する。
繁忙期はどうしても時間外労働や休日出勤が発生してしまう。
繁忙期の解消には業務の「前倒し」か「先送り」!
- 業務の時期を前や後にずらすことができれば、繁忙期の山を少しでも低くすることができる。
- 繁忙期の後、閑散期の業務量に慣れず、自分で仕事を作ってしまうことがあるが、閑散期にこそやるべきことがある。
- 繁忙期の業務を見直して職場の業務フローに落とし込み、必ずしも繁忙期にしなければならない仕事かどうかを分析する。
- 閑散期は、他の業務を経験する時間に充てる。
日中は現場作業、夕方から事務作業となり、時間外労働がなくならない。
時間と場所の制限を取り払う!
- タブレット端末を活用して、出先でも移動中や待機中など、時間の合間を見つけて事務処理ができるようにする。
- 機器の購入や外出先でも処理できるようにするシステムの準備などの先行投資が必要であるし、タブレット端末で全ての業務を終わらせることは難しいが、会社に戻ってから処理しなければいけない作業を軽減できる。
部署や個人によって有給休暇取得率の差が大きい。
上司が率先して取得しよう!
- 管理職が率先して取得し、「休みたくても休めない」から「休まなければいけない」という雰囲気をつくる。
- 部下が適切に休めるようマネジメントすることを上司としての評価ポイントとなるような管理職向けのセミナーを実施する。
男性社員の育休取得が進まない。
まずは一人目の取得者を!
- 配偶者の出産報告時に声をかける。
- 日数は短くてもOK。
- 一人目の取得者が出たら、経験を伝えてもらう機会を設ける。
- 業務内容の整理、引き継ぎ、顧客への説明などは前もって分かること。この体制を緊急時のリハーサルと思って取り組もう。
若い社員が定着しない。
周囲を巻き込んだサポート体制をつくる!
- インターンシップを積極的に受け入れるなど、社員が入社前に持っていたイメージと入社後の仕事内容に関するギャップをなくす。
- 社長や上司から、入社時と入社から一定期間を経過したときに、社員の働きぶりについて親御さんに手紙を書くなど、親御さんを巻き込んだサポート体制を整える。
社員の新規採用に苦慮している。
企業の魅力をアピールするには「ワークライフバランス」はかっこうの武器!
- 県の「ワークライフバランス企業知事表彰」や厚生労働省の「くるみん」の認定を目指し、働きやすい職場であることをアピールする。
- 会社の雰囲気を伝えるためホームページを刷新する。
即戦力となる社員の中途採用に苦慮している。
社員の家庭の事情に合わせた働き方を整備
- 中途採用となる社員が前職を辞めた(辞めようとしている)理由は職場環境の問題の他、家庭の事情によるところも多い。家庭の事情に対応できるということをアピールすることが大切。
- 今後、介護Uターンが増えることが予想される。仕事と家庭を両立しやすい職場を整えておくことが、人材確保のチャンスとなる。
社員が1人で仕事している時間が多いため、社員間のコミュニケーションがほとんどなく、職場の雰囲気が良くない。
社員の声を聞き、できることから始めてみる!
- 「ありがとうカード」を活用する。声に出して言いにくい感謝の気持ちをカードに書き、本人に渡したり、掲示したりすることで、社内雰囲気の改善に役立つ。
- 休憩室をより過ごしやすい環境へ見直す。大きな設備投資だけでなく、社員の希望を聞き、掲示板活用や喫煙場所の工夫など、できることから着手してみる。
短時間勤務制度の利用社員とフルタイム社員の間で不公平感が生まれている。
周囲の社員も納得できる仕組みを作る!
- 短時間勤務とフルタイム勤務の社員の給与などで明確な差を設け、周囲が納得して働きやすい環境を作る。
- フルタイム勤務の社員の負担が大きくなっているようであれば、特定の人だけに負担させていないか、複数人で分担できないかなど、仕事の分担を見なおしてみる。
- 短時間勤務の社員に「支援されて当たり前」という意識が見られるなら、「貢献なくして、支援なし」、「支援されたら周囲に感謝する」ことの重要性を理解してもらう。
- 感謝の気持ちを広げるために「ありがとうカード」も有効。