緊急情報

閉じる

現在、情報はありません。

印刷

更新日:2010年6月10日

ここから本文です。

新しい行財政改革に関する提言

<行財政システム改革推進室>

新しい行財政改革に関する提言
平成14年11月  石川県行財政改革推進委員会

目次

本文 

 ~  はじめに  ~

   21世紀の到来を迎え、わが国は、グローバル化、情報化など全地球的規模の巨大な変革の潮流のただ中にある。
このかつて経験したことのない激流の中、社会経済制度の全般にわたり、古いシステムから、新たな「再生」へ向けた胎動が始まりつつある。
とりわけ、地方自治の分野では、平成12年4月の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(地方分権一括法)」の施行により、地方分権が理念から、まさに実践の段階へと突入し、地方の自律性が発揮できる領域が拡大されてきた中で、自治体間の「地域間競争」が具体的な問題として突きつけられる時代となった。
   本県においては、これまで平成11年度から平成15年度を計画期間とした行財政改革大綱(平成10年12月大綱改定版策定)に取り組んできたところであるが、地方分権の本格化、少子高齢化社会の到来、さらにはIT化の進展など、県政を取り巻く環境はこれまで以上に急激に変化してきており、県政の諸課題に的確に対応していくためには、県の行財政システムの全般にわたる、さらなる改革と再構築を図っていくことが必要であると考える。
   この改革と再構築に向けては、現在までの取組みを大いに評価しているところであるが、県政の基礎的組織・運営について、今後なお一層の見直しを行っていく必要があると考える。
   この提言は、平成15年度から平成19年度までの5年間に取り組むべき改革の方向性についての提言を取りまとめたものである。
   県の新しい行財政改革大綱の策定にあたり、本提言の趣旨を最大限反映されるよう要望するものである。

                                                                     平成14年11月
                                                                                石川県行財政改革推進委員会    会長    慶伊  富長

1   提言にあたって

(1)  行財政運営にあたっては、少ない費用で最大の効果を生み出すため、常に県民サービスの向上を目的に、簡素な組織と効率的な行政手法により、時代の変化に応じたきめ細かな政策の実現を図っていかなければならない。
   このため、組織や体制のあり方についての点検、見直しは、不断に行うべきものであ り、これまでも逐次、行財政全般にわたる見直しがなされてきたところである。
   昭和50年には逼迫した県財政の改善と行政の効率化を目的に行財政改革が行われ、定員削減や徹底した財政の見直しがなされた。
   その後10年を経た昭和60年には、経済の国際化や社会の成熟化に対応した行財政のあり方が検討され、組織機構の見直し、定員削減などの改革が実施されたところである。
   さらに平成7年には、バブルの崩壊による厳しい経済情勢、情報化や少子高齢化などの時代の変化に応じた県民ニーズの多様化・複雑化などに対応するため、従来のスリム化、コスト削減などに止まらず、県民に信頼される政策マンづくり、県民にわかりやすく開かれた組織づくりのための諸改革を実施したところである。
   その後、行財政改革の進捗状況を踏まえ、県においては、本委員会による平成10年12月の提言を受け、同年12月に、平成11年度を初年度とし、5年間を計画期間とする現行の行財政改革大綱(改定版)を策定し、これに基づいて、これまで諸改革を断行してきたところである。

(2)  21世紀を迎え、従来の先進国へ追いつくことを目標に経済成長優先で来た中央集権型の経済・社会の仕組みは、国際・国内環境の変貌に伴う新たな時代の要請に対して的確な対応が困難となった。このため、地方分権を推進し、地方分権型行政システムへの移行が求められている。
   こうした本格的な分権型社会の到来や、社会経済情勢のさらなるグローバル化や情報化、少子高齢化の進展などの変化を踏まえ、現行大綱の推進期間の終了年度である平成15年度を待たずに、新世紀の行く末を観望した新たな視点から、さらなる諸改革を断行されんことを願い、以下提言を取りまとめたものである。
   本委員会は、県が行財政改革大綱を策定した平成7年当時において、「県民サービスの向上のために」と題して、また、大綱を改定した平成10年には、「地方分権時代にふさわしい県政の実現に向けて」と題して、それぞれ行財政改革に関する提言をとりまとめているが、その後も大綱に基づく諸改革の進捗状況について県から報告を受け、提案、助言を行ってきたところである。
   この間、地方自治体の行革の姿も、組織・人・予算を削減することに力点を置いた縮減型から「評価」をキーワードとした自己点検型へ変貌を遂げ、そして今、「削減」と「評価」に加え、県民を顧客と捉え、顧客重視の「経営」型の行政運営を目指す方向への胎動が始まっている。
    本委員会としては、こうした潮流を踏まえつつ、今回の行革が、これからの石川県の未来を切り拓く「未来創発型の行革」となるよう、県民の視点に立って提言のとりまとめを行ったものであることを、ここに明記しておくこととする。

 

ページの先頭へ戻る

2   新行財政改革大綱策定にあたっての論点整理

  ~  新大綱策定の背景  ~

1  県政を取り巻く環境変化

  <社会経済情勢の急激な変化>
   21世紀を迎えた今日、県政を取り巻く社会経済情勢は、経済の長期停滞の中、少子高齢社会の到来、地域化、国際化、IT化の進展をはじめとして大きく、しかも急激 に変化してきている。
   これに伴い、県民ニーズも多様化・複雑化してきており、国においても構造改革への取り組みが進められているように、県としても、これらに的確に対応していくための方策を検討することが必要である。

  <地方分権、市町村合併の本格化>
   平成12年4月から「地方分権一括法」が施行され、機関委任事務の廃止等を中心とする地方分権改革が実施され、国と地方は、新たに対等・協力の関係に立つこととなり、これに伴い、県においても自己決定と自己責任の考え方に基づいて自律的な対応が求められている。
   国においても、「行政改革大綱」(平成12年12月)において、地方に対し自主的・主体的な行政改革を要請するとともに、内閣府の経済財政諮問会議の「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(平成13年6月)においては、「自助と自律の精神」のもとで、各地方自治体が自らの判断と財源で、行政サービスや地域づくりに取り組んでいくことを求めており、県としても県民への責任を果た しつつ、適切に県政を運営していくための行財政体制の再構築に取り組んでいく必要がある。
   一方、市町村合併については、県内でもその気運が高まってきており、既に複数の地域において具体的な合併協議が進んでいる状況にあり、今後、市町村合併が進めば、基礎的自治体である市町村の役割が相対的に高まるものと考えられる。その際、質の高いサービスを提供する視点から、合併が進み基礎的自治体が広域化しても、サービスの質が希薄化することがないよう、十分にサービスのあり方に配慮することが望まれる。

  <県民の行政ニーズの多様化・複雑化>
   景気低迷に対応する経済振興・雇用対策、少子高齢化のさらなる進展への対策、BSE(牛海綿状脳症)や違法農薬の使用などにより揺らいでいる食の安全の確保対策、情報公開と県民との新たな協働関係の構築など、新世紀を迎えてさらにますます多様化・複雑化する県民ニーズに的確に対応できる柔軟かつ機動的な行財政体制の整備が求められている。

  <新県庁への移転と県民の期待感>
   特に、本年の年末、年始にかけては、新県庁への移転があり、県政進展への期待感が高いと考えられる。
   こうした面からも、県民が納得できる行財政改革大綱を策定することが求められる。

2  新長期構想の着実な推進

   県においては、平成8年9月に「石川県新長期構想」を策定し、現在、その着実な推進に努めており、益々、行政ニーズの増大が見込まれる。
   そのために、「人、モノ、金」といった人員面と財政面のスクラップ・アンド・ビルドの一層の徹底をはじめとして行財政運営全般の見直しを行い、経営資源の選択と集中により新長期構想の実現に向けて適切に対応していくことが求められている。

3  現行の行財政改革大綱の進捗と新たな大綱策定

   平成10年12月に策定した現行の行財政改革大綱については、着実に実行に移されてきた結果、大綱に盛り込まれた項目の殆ど全てが、現行大綱の推進期間の最終年度である平成15年度よりも早く実施済み又は実施中という進捗状況になっている。
   このため、今後、前記のとおり、21世紀初頭の県政の新たな課題について検討し、取り組むべき諸改革の方向や目標を設定するとともに、これを着実に実行していくための行財政体制の整備を図るべく、その内容を行財政改革大綱に明確に位置付けておくことが必要である。
   特に県民にわかりやすく、また職員が力強く行革を推進するために、改革項目の実施時期、具体的な数値目標を設定すべきである。

 

ページの先頭へ戻る

3   新行財政改革大綱策定の基本的な考え方

~  護送船団の崩壊による地域間競争時代に求められる県政  ~

   平成12年4月から「地方分権一括法」が施行され、国と地方は、新しい対等・協力の関係に立つこととなったことは先に述べたとおりであるが、これに伴い、地方自治体は、自己決定と自己責任の原則の下、幅広い住民参加を求めながら、個性的で活力ある地域社会を創造していくという本来の役割を一層積極的に果たしていくことが期待されている。
   県としても、こうした地方分権の精神を厳しく認識し、常に県民の視点に立ち、県民にわかりやすい、開かれた県政を築くことに一層努めていくとともに、これを担う職員の意識改革、資質向上を図ることが必要である。
   一方、右肩上がりの経済社会の終えんにより、これまでの国による護送船団的な地方財政措置のあり方の先行きが不透明になってきており、県としても、今後発生する行政課題に適時的確に対応できる健全財政を堅持するための対策が急務となっている。
   このため、県民参加と県民ニーズの把握、政策実行のための体制・運営システムの見直し、県庁組織活性化のための人材の育成・確保等に関する課題に関する仕組みづくりを果敢に押し進めることが必要である。

1  県民参加と県民ニーズの把握

   分権型社会を構築していくためには、何よりも県民一人ひとりの積極的な参画が基本となることから、常に県民にわかりやすい、開かれた県政を築いていくことを目指して、県民の信頼と協力に基づき、県民とともに、透明で公正な県政を進めていくことが求められている。
   そのためには、先ず、県政情報を県民へ積極的に周知する仕組みづくりが必要である。その上で、パブリックコメント制度などの新しい県政参加の仕組みづくり、県民が見てわかりやすく、使いやすい県ホームページの一層の充実などを進めていくとともに、県民ニーズを的確に把握する仕組みの充実強化、成果を重視した目標管理型の行政経営システムの導入、NPO(注1)や県民との協働の推進を行っていくことが大切である。

2  政策実行のための体制・運営システムの見直し

   今後、地域の独自の政策課題に果敢に対応していく必要がますます増大する一方、「人、モノ、金」という経営資源は限定されざるを得ない。従って、これまで以上に効率的な行財政運営が求められているのであり、業務のスピード化、組織の統合とスリム化、財政運営の見直しなどに取り組むことによって、行財政運営を「経営」という視点から見直し、コスト意識を徹底した簡素で効率的な行財政体制・運営システムを構築すべきである。

3  組織活性化のための人材の育成・確保

   県民ニーズを捉えた石川県独自な県政を実現していくためには、これまで以上に独創的な政策を打ち出していくことができる職員を養成する必要がある。
   このためには、常に県民と問題意識を共有できる意識改革への取り組み、政策形成能力を向上させるための効果的な研修体系の見直し、能力・実績に応じた評価・給与制度の導入、さらには、民間経験者等の多様なキャリア、スキルを持つ人材の確保、などに取り組む必要がある。
------------------------------------------------------------------------
    (注1)  NPO(Non-Profit Organization 、非営利組織)
   株式会社などの営利を追求する企業とは異なり、文字どおり営利を目的としない組織のこと。
   NPO活動を「社会的な使命の達成を目的に、市民が連携し、自発的かつ非営利で行う社的、公益的活動」として捉え、そうした活動を継続的に行っている民間の組織、団体を「NPO」と定義しており、政治・宗教活動を主目的とするものや特定の個人・団体の利益を目的とするものは除くこととされている。したがって「ボランティア団体」、「市民活動団体」、「NGO」などが該当することになる。

 

ページの先頭へ戻る

4   具体的な取組に関する基本的な視点

   前記の「基本的な考え方」を踏まえ、以下に具体的な項目を掲げ、それぞれの取り組みを進めていくための基本的な視点を提示することとしたい。

1  県民参加と県民ニーズの把握

 (1)県民の視点に立った行政運営の推進
   県政の主役を県民と捉え、県民が満足する、県民の視点に立った県政を推進して いくためには、県民ニーズを的確に把握して政策・施策に反映させる仕組みづくりが必要である。また、一旦実施した政策・施策についても、県民の満足度を調査するなどして、いわゆるPDCAサイクル(注2)の中で当該政策・施策の評価を行い、よりよい政策・施策へと変えていくことが必要である。
   また、県民やNPOとの協働体制の整備の推進や、パブリックインボルブメント(注3)やパブリックコメント(注4)という県政への県民参加の新しい仕組みを取り入れ、これまで以上に幅広い県民意見の集約に努めるべきである。
  現代は、まさにインターネット社会であり、インターネットが持つコミュニケーションツールとしてのポテンシャルの高さについては改めて言うまでもない。県民と県との接点としての県のホームページの位置付けはますます高まっており、県民の視点から見て、知りたい情報が載っていて、しかも、容易に知りたいサイトに辿り着ける、また常に最新の情報に更新され「生きのいい」状態が維持されている、こうした点に注意を払ったホームページの充実を求めたい。

(2)縦割りから脱却するための政策立案・調整機能の強化
   本格的な分権型社会の到来により、県行政の目指すべき方向としては、国の政策に適合することを優先する従来の手法から、県民や地域の視点に立った広域的自治体としての総合的な政策立案を重視する方向へと転換して行くことが必要である。
   そのためには、組織・機構の見直しにあたっては、縦割りの弊害を排除し、できる限り、施策課題ごとに組織を再編するのは無論のこと、複数部局をわたる政策課題に適切に対応するための、政策立案・調整機能の強化が必要である。
------------------------------------------------------------------------
  (注2)  PDCAサイクル
      県の行政活動全般にわたり、次のような、Plan→Do→Check→Actionの活動を繰り返しながら、継続的な改善を行っていくこと。
    1  Plan(計画)・・・・「だれが、いつ、何をするか」という計画を立て、達成すべき目
                              標を設定する。
    2  Do(実行)・・・・・・計画に沿った施策を実行し、達成した成果を記録する。
    3  Check(評価)・・・目標と達成した成果を照らし合わせ、達成されていない部分に
                              ついて把握する。
    4  Action(改善)・・全体の計画をあらためて点検し、その結果をもとに達成目標や
                              手段を見直す。
  (注3)  パブリックインボルブメント(Public Involvement)
      主に道路等の社会資本の整備にあたり、路線計画等の策定などの政策形成段階から広く住民の意見等を聴き、計画等に反映させる機会を設け、住民との合意形成を図る、一連の手続。
  (注4)  パブリックコメント(Public Comment)
      県の基本的な構想や計画等を策定する過程で、構想等の案や資料を住民に公表し、これに対する住民の意見・情報を考慮して意思決定を行うとともに、主な意見に対する県の考え方を公表する一連の手続。 

2  政策実行のための体制・運営システムの見直し

(1)組織や仕組みの見直し
   行政サービスのスピード化に向けた対応として、ITの活用による事務処理手続きの電子化による効率化を実現する必要があるが、この際、単にITを導入するだけでなく、旧来の業務形態を県民の視点から捉え直し、例えば、インターネット上で各種の手続ができるようにするなど、ITの強みを生かした事務処理の見直しを図るべきである。
   本庁、出先機関の組織のあり方については、県民の視点に立って、「子ども施策」、「食の安全」といった施策のまとまりに対応した施策課題対応型の組織再編を行うとともに、出先機関については交通通信網の発達等を踏まえた再編による効率化を検討すべきである。この検討にあたっては、県民サービスの著しい低下をきたすことのないよう配慮が必要であり、IT活用と相俟って、県民に対する窓口サービス向上という視点から再編すべきである。
   さらに、公社等外郭団体については、既に実施した総点検の結果を踏まえ、社会経済情勢や県民ニーズの変化から設立目的を達成し、存在意義のないものは再編統合するなど、効率性の視点から思い切った見直しを図るべきである。
   また、審議会のあり方については、県に求められる政策課題がますます多様化・複雑化していることに鑑み、一部の委員について公募制の導入や、女性委員のさらなる参加の促進を通じて、審議内容の一段の活性化、充実に努めることが望まれる。
(2)財政運営の見直し
   今後、国・地方を通じた経済不況から税収の落ち込みが避けられない中、今後発生する政策課題に的確に対応できる財政の健全性を堅持する必要性は先に述べたとおりであり、歳出削減のための抜本的対策が求められる。
   先ず投資的経費については、これまで国の経済対策により漸増しており、公債費の増大要因となっているが、今後は、地域経済の浮揚策との難しい調整の問題はあるものの、この水準を経済対策実施前の水準程度まで順次抑制する方向で取り組む必要がある。なお、公共工事のコスト縮減対策についても引き続き検討を深めると同時に、新たな契約方式の導入により、コスト削減に努めるべきである。
   また、扶助費についても、高齢化の進展に伴い、医療費、福祉関係経費の増嵩が著しい中、既に所得制限の見直しなど工夫がされているが、県民の理解を得ながら、さらに歳出抑制に向けた工夫が求められる。
   このように、県民に等しく痛みを分かち合って頂くためには、何よりも県自らが事務の合理化や組織のスリム化を一段と進める必要があり、職員定数の削減も避けることのできない課題である。もっとも、職員数の見直しにあたっては、単に今後財源不足が見込まれるからということではなく、県民サービスをどう効率的に提供するかという視点から、業務の見直しを行った上で適正な削減目標を設定すべきであり、当委員会としては、単純な削減でよしとするのではなく、県民サービスを重点的に提供すべき部分については、メリハリのある人員配置が必要であることも併記しておきたい。
   また、県有施設については、既存の施設の長寿命化方策を研究し、他用途への転用など、その有効活用を図る必要がある。
   さらには、県債発行方式の変更や繰上償還の積極的実施による公債費の抑制などの対策に積極的に取り組むべきであり、こうした財政運営に関しては、県民にわかりやすい数値目標を示すことが必要である。
(3)仕事の進め方の見直し
   限られた経営資源の中で、多様化・複雑化していく県民ニーズに的確に応えていくためには、既存の県行政の守備範囲についても、ゼロから厳しく見直し、民間企業、市町村、県民、ボランティア・NPO等との役割分担を再度、整理し直すとともに、適切な連携、協働を進めるべきである。
   また、県が担うべきサービスについても、民間の経営資源を活用することにより、より効果的・効率的なサービスが提供できるものについては、積極的に民間活力の活用を推進し、県の仕事のスリム化、簡素化を図るべきである。特に、業務の民間委託を積極的に進めるべきである。

3  組織活性化のための人材の育成・確保

   前述した組織機構、仕事の進め方、守備範囲の見直しなどのシステム改革を実効あるものにしていくとともに、「コスト・スピード・サービスの質を重視した、県民の視点に立った行財政運営」に向けた継続的な取組みを進めていくためには、県職員一人ひとりが組織の役割・成果や業務にかかるコストなどを踏まえたうえで、既存の枠組みや既成概念にとらわれずに、柔軟な発想で行動していくことが必要である。
   このための意識改革運動の実施や成果重視型の人事管理・人材育成を推進するなど、職員の意識改革につながるシステムづくりに取り組むべきである。
   地方分権が進めば、「地域間競争」が激化することから、職員の政策形成能力の向上が肝要であり、具体的な政策を条例・規則化するトレーニングを積み重ねていくことも必要である。

(1)モチベーションの強化

   自己決定と自己責任を旨とした厳しい地域間競争時代に突入した今、職員一人ひとりに求められている役割はますます大きくなっているが、職員の能力をフルに引き出し、チャレンジ精神や改革精神を持った行動を促すため、加点主義的要素をより重視する人事評価手法の導入を検討する必要がある。具体的には、国の「公務員制度改革大綱」(平成13年12月)の内容を踏まえ、これに伴う地方公務員法等の改正に対応しながら、より能力・実績を重視した人事・給与制度の実現に努めるべきである。
   なお、試験研究機関については、国の研究機関等への派遣研修や発明等による報償金制度の見直しなどにより、研究員の資質向上を図る仕組みづくりが必要である。
(2)研修の充実などを通じた資質の向上
   職員一人ひとりが、常に「世界の中のいしかわ」というグローバルな視点を持ち、時代の潮流を正確につかみ取りながら、改革の必要性を認識し実践につなげていくという、まさに県の行政経営戦略と直結した新時代のあるべき職員像を明示し、意欲ある職員を育む機会の充実を図るべきであり、それらを包括した「人材育成ビジョン」の策定と研修体系の見直しを行うべきである。
(3)幅広い人材の確保
   多様化・複雑化する行政課題に的確に対応するため、県庁内の人材だけでは得られない専門的な知識・経験を持つ民間経験者など多様な人材の採用を進め、職員の意識改革と組織の活性化を図るべきである。また、女性職員の登用も進めるべきである。

 

ページの先頭へ戻る

5   行財政改革の推進にあたって

1  県民の理解と協力

   行財政改革を推進していくためには、職員の意識改革を徹底するとともに、県議会をはじめ県民一人ひとりの理解と協力を得ることが不可欠である。
   このため、行財政改革が県民にわかりやすいものとなるよう、行財政改革大綱にできるだけ年次目標を含む数値目標を記載するとともに、その進捗状況についても公表していくことが大切である。

2  市町村との協力

   本格的な分権型社会が到来した今、地域住民を主体とした地域づくりを行っていく上で、広域的自治体である県と基礎的自治体である市町村の相互の役割分担については、市町村合併の進展を踏まえた再構成も含めて見直しし、権限の移譲を図るとともに、連携・協力体制の構築も忘れるべきではない。

3  国への要望

   地方自治体の行財政改革を実現していくためには、地方分権や規制緩和等の国の行政改革が着実に実行されることが必要であり、県においては、地方税財源の移譲や国の関与の改廃等の実現に向けて、全国知事会等と連携を図りながら、真に地方分権の進展につながる行財政制度の改革が行われるよう、積極的に国に働きかけていくことが必要である。

4  新行財政改革大綱の進行管理の徹底

   行財政改革は、組織と職員が改革マインドを共有し、強い信念と目的達成の実行力を持ち、推進するものであるが、県民への説明責任と、県の組織上の進捗度を検証するための、大綱の進行管理の徹底が必要である。

  おわりに

   石川県の新行財政改革大綱の策定にあたり、当行財政改革推進委員会に課せられた役割は、県民の視点に立ち、広く県民の意見を集約することであった。
   これに基づき、4回にわたる審議の結果をここに集約し、提言するものである。
   提言は、県民の行政に対する高い関心と期待の現れであることを理解され、大綱策定に反映されんことを期待するものである。
   当委員会としては、この提言を踏まえ、県がどのような大綱の見直しを行い、また、それに基づいて、どのような諸改革を実行していくのかを見定め、必要な提案助言を行っていくことで、責任を果たしたいと考えている。


 

前のページへ

ページの先頭へ戻る

 

お問い合わせ

所属課:総務部行政経営課 

石川県金沢市鞍月1丁目1番地

電話番号:076-225-1246

ファクス番号:076-225-1319

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報はお役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?