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このページでは、裁決手続について説明しています。
2.裁決関係手続について
3.代理人について
標準的な裁決手続の流れは、次のとおりです
起業者は、収用委員会に対して、土地の所有権などを取得するための「裁決申請」と建物などを移転して土地の明渡しを求めるための「明渡裁決の申立て」を行います。
起業者は、裁決申請と同時に又は裁決申請の後に明渡裁決の申立てを行います。
土地所有者又は関係人は、事業認定の告示後に、起業者に対して裁決申請を行うことを請求できます。
ただし、先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者は、この請求をすることができません。
起業者は、この請求を受けた日から2週間以内に裁決申請をしなければなりません。
土地所有者又は関係人は、起業者が裁決申請を行い、明渡裁決の申立てを行っていない場合は、収用委員会に対して明渡裁決の申立てをすることができます。
土地所有者又は関係人は、事業認定の告示があった後は、裁決の前でも、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の支払いを起業者に請求することができます。
ただし、先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者は、この請求をすることができません。
また、残地収用に伴う補償金の支払いは請求することができません。
なお、裁決申請前に支払請求をするときは、裁決申請の請求もあわせて起業者にしなければなりません。
請求があったときは、起業者は請求を受けてから2か月以内に、見積もった補償金を支払わなければなりません。ただし、裁決手続開始の登記がなされていないときは、その登記がなされた日から1週間以内に支払えばよいことになっています。
収用委員会は、裁決申請又は明渡裁決の申立てがあったときは、その申請書又は申立書が土地収用法に定める記載方式に適合しているか審査した上で受理します。
収用委員会は、裁決申請書又は明渡裁決申立書を受理したときは、土地所有者及び関係人に申請又は申立てがあった旨を通知します。
収用委員会は、裁決申請書又は明渡裁決申立書を受理したときは、その申請書又は申立書の写しを収用又は使用しようとする土地が所在する市町長に送付します。
裁決申請書又は明渡裁決申立書の写しを受け取った市町長は、申請又は申立てがあった旨と収用又は使用しようとする土地の所在を公報などで公告し、その申請書又は申立書の写しを市役所、町役場内で公告の日から2週間縦覧します。
土地所有者及び関係人は、縦覧期間中に、収用委員会に対して意見書を提出することができます。
意見書には、収用する土地の区域、損失の補償、明渡しの期限など収用委員会の審理に関係があることについて記載することができます。事業認定に対する不服など審理と関係がないことについては記載することができません。たとえ記載されていても、記載がないものとみなされます。
収用又は使用の対象となっている土地及びその土地に関する権利について仮処分をした者その他損失の補償の決定によって権利を害されるおそれのある者は、収用委員会の審理が終わるまでの間に、自分の権利が影響を受ける限度において、損失の補償に関して収用委員会に意見書を提出することができます。
収用委員会は、縦覧期間が経過すると、裁決手続の開始を決定してその旨を公告し、申請対象の土地を管轄する法務局に裁決手続開始の登記を嘱託します。
登記後は、相続人などを除いては、権利の移転があっても、起業者に補償金を請求する権利を主張することができなくなります。
収用委員会は、登記がなされた時点での権利者を当事者として、以後の手続を行います。
収用委員会は、裁決手続開始の決定後、起業者、土地所有者及び関係人から裁決に必要となる事項について意見を聴くために審理を開催します。
審理は、原則として公開で行います。
収用委員会は、起業者、土地所有者及び関係人並びに意見書を提出した者に、審理の日時及び場所をあらかじめ通知します。
収用委員会は、審理では、おおむね次の表に掲げる事項について意見を聴きます。
起業者に対して | 土地所有者及び関係人に対して |
---|---|
事業計画 裁決の申請に至る経緯 収用又は使用しようとする土地の区域 土地所有者及び関係人 損失の補償 権利取得の時期 明渡しの期限 |
提出した意見書の内容 起業者の申請内容に対する意見(事業認定に関することは除く。) 要求する補償内容 明渡しの期限 |
起業者、土地所有者及び関係人は、次のことについて、審理で意見書を提出し、又は口頭で意見を述べることができます。
収用委員会は、意見書や審理で主張されたことなどについて、必要な調査・検討を行い、裁決をします。
裁決は、裁決申請又は明渡裁決の申立てに対する収用委員会の最終的な判断です。
裁決は、裁決書という文書により行われ、裁決書の正本は起業者、土地所有者及び関係人に送付されます。
裁決には、裁決申請に対する権利取得裁決、明渡裁決の申立てに対する明渡裁決及び却下の裁決があります。
権利取得裁決及び明渡裁決の主な裁決事項、裁決の効果は次の表のとおりです。
権利取得裁決 | 明渡裁決 | |
---|---|---|
裁決事項 |
|
|
裁決の効果 |
起業者は、権利取得の時期までに土地所有者及び関係人に補償金を支払わなければなりません。 補償金の支払いがなされると、起業者は権利取得の時期に土地の所有権又は使用権を取得します。 起業者が所有権を取得したときは、所有権以外の権利は消滅することになります。 起業者が使用権を取得したときは、土地に関するその他の権利は使用期間中制限されることになります。 |
起業者は、明渡しの期限までに土地所有者及び関係人に補償金を支払わなければなりません。 補償金の支払いがなされると、土地所有者及び関係人は、土地にある建物などの物件を移転し、起業者に土地を明け渡さなければなりません。 |
起業者が、権利取得の時期、明渡しの期限までに補償金を支払わなかった場合には、その裁決は失効します。
なお、土地所有者又は関係人が補償金の受領を拒否した場合や起業者が受取人を確知できない場合などは、起業者が、収用しようとする土地などの所在地を管轄する供託所(法務局)に補償金を供託することにより、補償金が支払われたのと同様の効果が生じます。
また、期限までに明渡しがなされないときは、起業者は、都道府県知事に代執行による建物などの撤去を請求することができます。
起業者に収用又は使用することを認めない裁決です。
収用委員会は、次の場合には却下の裁決を行います。
裁決申請後であっても、起業者、土地所有者及び関係人の間での話し合いにより円満に解決することが望ましいことから、和解の制度が設けられています。
裁決すべきすべての事項について、起業者、土地所有者及び関係人の全員が合意した場合には、収用委員会に対して和解調書の作成を申請することができます。
また、収用委員会は、和解の可能性があると判断するときは、審理の途中において、和解を勧告することがあります。
収用委員会は、和解調書の作成の申請があったときは、和解の内容を審査し、和解調書を作成します。
和解調書には、権利取得裁決、明渡裁決で裁決されるすべてのことを記載し、収用委員会会長及び調書の作成に加わった委員並びに起業者、土地所有者及び関係人が署名押印します。
和解調書が作成されると、裁決があったのと同様の効果が生じ、起業者、土地所有者及び関係人は和解の成立及び内容について争うことができなくなります。
起業者、土地所有者及び関係人は、裁決申請、意見書の提出など、土地収用法で定められている手続や行為を行うに当たって、弁護士などを代理人とすることができます。
なお、代理人は、収用委員会に委任状を提出するなど、代理権があることを書面で証明しなければなりません。
土地所有者又は関係人が多数の場合には、共同の利益を有する土地所有者又は関係人は、その中から、代表当事者を3人以内で選定することができます。
代表当事者の選定は書面で行い、収用委員会に提出することになります。
選定された代表当事者は、各自、選定者のために収用委員会の審理についての一切の行為をすることができます。選定者は、代表当事者を通じて審理で意見を述べる等の行為をすることになります。
また、土地所有者又は関係人が著しく多数であり、審理の円滑な進行に必要があると認めるときは、収用委員会から代表当事者を選定することを勧告することがあります。
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