ホーム > 連絡先一覧 > 平成17年 シンポジウム > 「県内におけるクマの現状と対応のありかた」「クマのエサ資源の状況」について
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石川県環境安全部自然保護課課長補佐 野﨑英吉
石川県におけるクマの生息数は、昭和45年に最初の調査が行われ、白山麓3村で300~400頭、平成7年~9年調査で500~600頭、平成14、15年調査では約700頭と推定されている。捕獲数は全体的に減少、林業被害面積は増加傾向。そのため、特定鳥獣保護管理計画を平成14年に策定し管理している。管理の方策としては、捕獲数管理とゾーニング(3つ地域区分)による保護管理の強化、モニタリング調査とフィードバックによる科学的な管理を行うこととしている。例年ならば9~11月は捕獲がないのであるが、平成16年のクマの捕獲状況では9,10月に捕獲が増え、11月に収束した。その要因としては、奥山における極端なエサ不足(ブナとミズナラの大凶作)、里山への誘引(カキ、アベマキ)、里山の奥山化によるクマ生息適地の拡大が考えられる。 石川県は、白山の広いブナ林があり、クマの安定した生息地となっている。また、豪雪地帯であることから、安心して冬ごもりができ、クマにとって良好な生息環境が存在する。したがって、ここ10年間、分布域・個体数ともに拡大・増加傾向にある。これは、里山の放置・狩猟圧の減少などが要因と考えられる。そのため、今後、1)出没への備え、2)人とクマの住み分け方策の確立、3)県民と共に考え行動することの3つの課題に適切に対処していく必要がある。また、国・県・市町・関係団体・県民等の役割分担と連携も重要である。 また、本年の生息状況調査から、絶滅の恐れがあるほどの減少は生じていないとみている。人とクマが安心して暮らせる石川づくりには、自然が守られ、クマが健全に生息できる奥山と人とクマのトラブルを最小限に抑え、人が安心して暮らせる人里づくりが必要である。
石川県林業試験場 小谷二郎
異常出没の危険を事前に予測するためには、エサ資源の状況を把握する必要がある。そのため、平成17からブナ科3種、ブナ・ミズナラ・コナラのドングリの作柄調査を始めた。(金沢市・白山市・能美市・小松市・加賀市・山中町) 加賀地方の奥山はブナとミズナラ林が広がり、クマの生息にとって最も重要な地域で、この地域のエサ不足は、里山や民家周辺へのクマの出没のきっかけとなる。 加賀地域の里山はミズナラ林とコナラ林のほかアベマキ・クヌギ・クリ林が広がっている。調査の結果、ブナは、10年ぶりの大豊作で若い木も多量に実をつけている。コナラ・ミズナラのどんぐりも昨年よりも多い。今年は、ブナやナラ類だけに限らず、他の木の果実類も豊作であることを確認している。ブナはどの地域でも非常に作柄がよく、ミズナラは豊作のところも一部あるが、並作と予想している。コナラは金沢市の北部から白山市にかけ豊作である。そのほかは若干わるいところもあるが並作と考えている。今後、正確に予想できる方法、誰でもわかる方法などを調査していきたい。
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