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有形文化財(工芸品)
1口
小松市那谷町ユ122番地
宗教法人 那谷寺
本品は、一般に萬暦赤絵と呼ばれる色絵磁器で、中国明代の萬暦年間(1573~1619)に景徳鎮窯で造られたものである。文様を赤や緑、黄などの色釉で上絵付した陶磁器で、近世初頭から日本人が好んで珍重した。
器形は、古代中国の銅器の一種「尊」に倣っている。丸まった胴からすらりと伸びる頸と下方に広がった裾は安定感がある。口縁下部には、芭蕉の葉をかたどった蕉葉文、頸部には唐草文、胴部には渦文と雷文を、裾部には雲文をそれぞれ帯状に描いて区切り、口縁部から胴部の間には龍文を、胴部から裾部には花鳥文(牡丹、孔雀)、花枝文、波濤文を、それぞれ青花と色絵で賦彩している。また口縁上部には「大明萬暦年製」の銘が記されている。
緻密な中に豪放な賦彩は、萬暦五彩の特色を充分発揮したもので、日本に伝来しているこの種の大花瓶としては数少ない一品である。
また、加賀藩主前田利常から、那谷寺に寄進されたものであることが、『藩国見聞録』(弘化二年(1845))から推定され、加賀文化の発展に数多くの業績を残した利常の偉業を感じさせる貴重な作品と言える。
このため、その文化財的価値は高く、有形文化財に指定し、その保存を図ることが必要である。
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