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本事業では、金沢城の石垣構築技術の復元を目的として、城内石垣の現地調査とその成果に基づいた、石材加工用具の製作を行う。
令和4年度は、矢穴の調査を行い、石材加工具の復元に取り組んだ。
一連の作業については、動画撮影等で記録を取りながら進め、情報発信にも活用予定。
【対象】
申酉櫓下(慶長前期)、尾坂門(慶長後期)、本丸北(寛永期)、
いもり堀園地展示のキゴ山西丁場跡石材(寛永期)、土橋門西(寛文期)
【内容】
城内の創建年代が明らかで、各期の代表的な石垣を対象として、矢穴の寸法・形状の計測を行い、年代ごとの傾向や特徴を整理した。また、矢穴の断面形状や内部に残る工具痕の観察や、シリコンによる型どりも実施し、技術復元に資するデータの取得を行った。
【期間】
令和4年12月~令和5年3月(金沢石材工業協同組合に業務委託)
道具復元のための検討会:令和5年1月18日、2月3日、14日、15日鍛冶作業期間:3月1日~24日(内9日間、設置撤去含む)
【内容】
復元にあたって、実際に鍛冶作業を行う金沢石材工業協同組合の技能者と、城内の矢穴調査のデータや、これまで行ってきた石工道具調査の資料について情報共有を行った。
いもり堀園地に展示しているキゴ山西丁場跡の石材に残る矢穴を実見し、その矢穴形状から、当時の道具(矢・ノミ)の形状について推定した。また、他城郭で出土した道具や民具資料等も参考にしつつ木型を製作した。
製作した木型を、未分割の矢穴にあてながら、道具形状や寸法について調整、検討を行い、復元案を整理した。
城内(藤右衛門丸)において、鍛冶作業場を設営し、道具製作を実施した。道具製作は長尺の角鋼材を、仕上がり寸法を想定しながら必要な長さに切断した後、紡錘形のノミに整形した。先端部の焼き入れ後は、実際に戸室石での試し打ちを行い、想定した矢穴を掘ることが可能か、焼き入れの具合は適切か、といった確認作業も行った。
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