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更新日:2025年2月19日

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記者会見の要旨 - 令和7年2月18日 -

令和7年2月18日(火曜日) 14時00分~

会見資料(PDF:5,837KB)

知事

  令和7年度当初予算案に関しまして記者会見をさせていただきます。まず、スライド1をご覧ください。令和7年度当初予算は、令和7年を「復興元年」と位置づけて、能登の復旧・復興と、幸福度日本一の石川県の実現に向けて、石川県成長戦略の具現化に取り組みます。したがって、能登の復興と石川県の成長の二本柱の予算といたしました。また、昨年12月に成立した国の補正予算に盛り込まれた、賃上げ・物価高対策や国土強靭化に呼応した令和6年度第1次3月補正予算と令和7年度当初予算を実質当初予算として一体的に編成をいたしました。

  以下、主な施策について説明をいたします。はじめに、暮らしとコミュニティの再建について申し上げます。スライド2、ご覧ください。地震・豪雨に係る建設型応急住宅には、来月末までに全ての希望者が入居できる見込みとなりました。ここでおさらいしておきたいと思います。地震の被災者の応急住宅入居は6,882戸で昨年末までに完成しました。奥能登豪雨に係るものは286戸で来月末までに完成の予定であります。そこで今後ですが、生活再建の中心となる恒久的な住まいの確保を支援してまいります。昨年末から市町と連携し、仮設住宅の入居者を対象に実施しております、住まいの再建意向調査では、現時点で、自宅再建が約5割、災害公営住宅が約3割、残り2割がまだ決めかねているという状況です。したがって、ニーズに合わせた支援が必要と考えています。来年度、令和7年度は、自宅再建、災害公営住宅、民間賃貸住宅などの情報や、各種の支援制度、相談窓口を盛り込んだ、わかりやすいハンドブックを作成して、全ての仮設住宅入居世帯に配布いたします。自宅再建を希望する方向けの住宅モデルプラン集については、3月末までに取りまとめる予定です。また、能登地域では民間賃貸住宅の空室を見つけにくい。こういう声もございます。そこで、石川県宅建協会と連携して、能登地域の賃貸物件を掘り起こして、希望する方とのマッチングを行うことといたしました。一方で、見守り訪問活動から、自力では、住まいの確保のみならず、生活再建が困難な世帯が一定数おられるということを把握してございます。そこで、こうした世帯に対して、新たに生活再建支援アドバイザーを、まずは8人配置し、住まいの確保や生活再建について、いわゆる自立に向けて、と表現した方が良いと思いますが、伴走支援をいたします。加えて、電話相談窓口を設置して、きめ細かなサポート体制を構築します。

  次に、能登の特色ある生業(なりわい)の再建について申し上げます。スライド3、ご覧ください。被災事業者のなりわい再建について、発災以降これまでは、喫緊の対応として、当面の営業再開に向けた支援に重点を置いて対策を講じてまいりました。これがいわゆる、なりわい再建支援補助金、持続化補助金、営業再開支援補助金などの活用であります。徐々に営業再開が進み、現在、能登6市町で約8割が営業再開をした一方、本格的に営業を再開した事業者は5割に留まっております。特に奥能登では4割という厳しい状況が続いております。残念ながら廃業を選択された事業者もおられます。こうした状況を受けて、来年度は、新たなチャレンジなど事業継続を決断された方へのサポートや、事業承継、外部からの起業の促進など、被災地が抱える現下の課題に、きめ細かく対応してまいります。そこで、能登事業者支援センターでは、これまで、金融機関等と連携して、プッシュ型で約1千社を伴走支援してまいりました。これによってですね、能登でのなりわい再建支援補助金の申請は増加してきております。来年度はピークとなる見込みです。そこで、常駐職員を1名増員して、体制強化を図ります。さらに、事業者にとりまして、身近な地元の商工会・商工会議所について、災害関係業務を担う職員を7名増員し、その経費を支援することで、事業者の伴走支援に万全を期してまいりたいと思います。被災地では、域内人口や観光客が減少する一方、支援者やボランティア向けの新たなサービスのニーズが生まれるなど、経営環境も大きく変化しております。こうした環境変化に対応し、新たな業種や事業、市場へ挑戦しようとする事業者、例えば、来店客が減少した飲食店が、需要の高い宿泊業に挑戦するということなど、こういう事業者を後押しするために、新たにチャレンジ支援補助金を創設することとしました。また、能登の被災事業者が抱える複雑で高度な経営課題には、社員だけでの解決が困難で、そこで、現地に滞在して、伴走してくれる専門知識を持った外部人材が必要との声が寄せられております。このため、全県で実施する副業人材の活用に向けた報酬の一部支援について、能登につきましては、現地滞在に必要な交通・宿泊費も支援し、出張滞在型の能登応援副業社員としてご活用いただくことで、専門性や労働力を補完いたします。また、被災地に活気を取り戻していくには、新たな起業を呼び込んでいくことが重要であります。このため、能登はもとより、県内全域での起業を促進するため、起業に関心のある若者などが集う、香林坊東急スクエアにあるIIBに、新たに専門家による起業のワンストップ窓口を設置します。東京にあるTIBや県下全域の起業相談窓口とネットワークを構築し、具体の相談から起業まで伴走支援する体制を整えます。さらに、能登での起業に興味を持つ声も多く聞いております。能登において、現地の視察や交流を目的とする起業準備講座を行うほか、建物の修繕費等を支援するため、新たに起業促進補助金を創設し、域外からの事業者の参入を促してまいります。事業承継は後継者不在の自主廃業を防ぐために有効な手立ての一つと考えています。このため、事業承継を促進することとし、民間サイトを活用し、県内外から広く後継者を募集でき、売り手の魅力が買い手に伝わりやすい、というメリットのある、オープンネーム方式によるマッチングを新たに支援します。さらに、能登の金融機関と連携し、IIBに集う起業関心層と、能登の売り手との出会いの場を設けることで、事業承継型の起業を促進いたします。雇用対策について申し上げます。被災事業者の人手不足解消に向けて、引き続き、能登の企業と地元の求職者や広域避難者との合同就職面接会を開催します。今年度12回の開催を予定していますが、来年度は15回開催いたします。加えて、新たな職場で必要となるスキル習得を支援する無料の職業訓練を実施いたします。また、国は、先の補正予算で、雇用調整助成金の延長と在籍型出向に係る助成制度を創設いたしました。県としても、これに呼応し、在籍型出向の促進に向けて、出向に係る準備経費を助成する県独自の制度を拡充し、これまでの出向元に加えて、出向先も助成対象といたします。

  スライド4、ご覧ください。昨年9月の奥能登豪雨では、約950ヘクタールの農地が冠水、この内約400ヘクタールには土砂、流木が堆積し、農業生産基盤に大きな被害が生じています。この春の営農に間に合う5月までに、約170ヘクタールの農地復旧を見込んでおりますが、その他の農地の復旧には、数年を要すると見込まれます。このため、復旧までの間の経営支援として、引き続き、農家に復旧工事を委託する直営施工を進めるほか、農業法人などが経営規模を維持できるように、代替農地を活用して営農再開する際の地代などのかかり増し経費を支援いたします。

  次、観光です。能登の観光振興については、宿泊施設の本格的な受入再開にはまだ時間を要します。被災地の復旧状況を見極めながら、順次誘客を進めてまいります。スライド5、ご覧ください。今行ける能登への誘客については、のと里山空港を活用し、再開した観光施設を巡る復興応援ツアーのほか、のと鉄道での語り部列車やポケモン列車を活用した誘客促進、ポケモンを活用したPR動画の制作やSNS投稿キャンペーンによる情報発信の強化、アジア圏からの誘客再開に向けた旅行商品の造成支援など、能登の観光の復興を強力に後押ししてまいります。

  スライド6、ご覧ください。また、今後の復興に伴って、多くの観光客の受け皿となる観光資源の再生・磨き上げが必要です。市町が主体となって取り組む観光拠点の整備や国内外からの誘客につながる取り組みを総合的に支援いたします。能登はもとより県内全市町で観光振興に取り組み、観光面から能登の復興を後押しするために、復興基金の基本メニューに、総額20億円の枠を設けて、被災状況や観光入込客数を基準に算定した市町ごとの配分額を上限として、来年度以降、事業の実施にあわせて交付いたします。次は、誰もが安全・安心に暮らし、学ぶことができる環境・地域づくりについて申し上げます。能登半島地震での初動対応については、現在、検証委員会で検証作業を行い、議会などでの議論も踏まえて、とりまとめることとしていますが、検証を踏まえた対応について、可能なものは令和7年度から着手いたします。

  スライド7、ご覧ください。まず、災害対応に係る組織体制の強化について申し上げます。危機管理監室を危機管理部に改組し、災害対応力の強化を図ります。危機管理部に配置する自衛官OBを1名増員するとともに、金沢市消防局OBを新たに1名配置し、災害時の関係機関との連携体制、平時からの市町に対する支援体制を強化いたします。

  スライド8、ご覧ください。能登半島地震での対応では、県や国などが収集した災害情報について、それぞれのシステムを閲覧する必要があり、関係機関相互の情報共有が必ずしも十分ではありませんでした。このため、県総合防災情報システムの機能を強化し、国のシステムや、県のデータ連携基盤との接続を行い、県管理道路、河川や孤立集落などの様々な災害情報を地図上に重ね合わせて表示するなど、災害情報の見える化を図るほか、避難所情報をスマホで現地登録できるようにいたします。これによって、被害状況などを早期に把握・集計し、速やかな初動対応に繋げるほか、県防災ポータルサイトでも発信し、災害時の県民への情報提供を強化いたします。

  避難所環境の改善につきましては、今般の国補正予算に盛り込まれた交付金を活用し、今後の災害に備えて、トイレカーや炊き出し用機材、テント型パーティションなどを整備いたします。このほか、モバイルファーマシーや、歯科診療車の導入を支援し、大規模災害時における医療提供体制を強化いたします。能登半島地震では、県立学校の体育館も避難所として活用されましたが、避難所の環境改善には、空調設備の設置が急務であると実感いたしました。また、近年の夏の猛暑を踏まえると、体育の授業や部活動における熱中症対策も急務であります。全ての県立学校の体育館に空調設備を整備することとしました。令和10年度末までの完了を目指し、4年かけて計画的に整備を進め、まずは、特別支援学校を優先して、整備してまいります。

  奥能登における医療提供体制の確保については、昨年8月に「公立4病院機能強化検討会」を立ち上げ、議論を進めております。明日19日に2回目の検討会を開催する予定です。4市町や関係機関とともに、公立4病院と新しい病院の役割分担や、それぞれの医療機能などの具体的な検討を進め、来年度中には奥能登の医療機能強化の方向性を取りまとめたいと思います。能登半島地震では、医療機関や避難所において、看護師が、感染症対策や被災者の健康管理など、多くの役割を果たしました。災害時における看護職の重要性が改めて認識されました。このため、4月から、県立看護大学において、全国で初となる「災害実践看護学」の寄附講座を開設し、奥能登地域での実習やボランティア活動に加えて、防災士資格の取得支援などを通じて、防災に関する幅広い知識を有し、災害時に適時適切に行動できる看護師を育成してまいります。来年度は、学部生を対象とした講座を開設し、今後、段階的に、大学院生や現役看護師も対象に加えていきたいと考えています。

  スライド9、ご覧ください。ふるさと教育について申し上げます。今般の地震を契機に、ふるさと教育を更に推進し、ふるさとの価値の再認識と復興を担う人材の育成につなげたいと思います。全ての県立高校において、創造的復興をテーマとした探究活動を行います。特に大きな被害となった奥能登の5校においては、高校と地域をつなぐ復興探究コーディネーターを2名配置いたします。輪島高校と飯田高校に配置します。ふるさとの復興に向けた探求活動に取り組んでいただきます。その他の地域の全日制の33校におきましても、ふるさと石川で発生した大災害から学ぶ意義は大きいことから、震災遺構の見学や震災の語り部からの話を聞くなど、能登でのフィールドワークを行っていただきます。教訓を踏まえた災害に強い地域づくりについて申し上げます。

  今般の地震・豪雨の被害状況は、12月末時点で、公共土木施設では、県と17市町合わせて、被災件数が約6,300件、被害額が約1兆900億円となっています。また、農林水産業施設では、被災件数が約20,500件、被害額が約3,500億円となっています。災害査定は今年度内には全て完了する見込みです。1日も早い復旧に向けて、国や市町とも連携し、復旧工事を進めてまいります。

  スライド10、ご覧ください。まず、幹線道路の本格復旧にあたっては、強靭化はもちろん金沢・能登間の移動高速化や観光誘客に繋がるなど能登の創造的復興に資するような整備が必要です。このため、のと里山海道の徳田大津IC・のと里山空港IC間の4車線化を国に要望していくほか、新たに、珠洲道路と門前道路、奥能登横断道路、これは県道宇出津町野線です。これらの高規格化等を図るために、具体の概略ルートや道路構造の検討などの概略設計に着手いたします。

  スライド11、ご覧ください。国道249号や県道輪島浦上線、県道大谷狼煙飯田線などの眺望に優れた半島沿岸部の道路を能登半島絶景海道として整備してまいります。幅広な路肩の整備など強靭化を図るとともに、隆起した海岸を望む道路休憩施設を整備するなど、沿岸部に点在する観光地間の回遊性を向上させてまいります。

  スライド12、ご覧ください。道の駅については、地震の際、一時的な避難場所や給水所などの防災拠点としても多様な役割を果たしました。市町とも連携しながら、停電や断水の時にも使用可能な自立型トイレ整備など、防災機能の強化を図ります。来年度は、まずは、利用者の多い、高松、なかじまロマン峠、桜峠の3か所の調査設計に着手いたします。

  創造的復興リーディングプロジェクトの推進について申し上げます。来年度は、復興元年として、産学官石川復興プロジェクト会議、これは、北國新聞社、北國フィナンシャルホールディングス、北陸電力、金沢大学、金沢学院大学、石川県がメンバーですが、この復興プロジェクト会議で提案された事業も含めて、能登の創造的復興につながる取り組みをスタートさせます。

  スライド13をご覧ください。二地域居住を含む関係人口の創出・拡大に向けて、これまで、有識者や関係人口の受け皿となる市町からご意見をお聞きしながら、関係人口の創出・拡大に向けたモデル構築の検討を進めてまいりました。関係人口を見える化するとともに、一過性に終わらない関係性の持続化、地域と関わるごちゃ混ぜ化を官民連携で推進することを基本方針として取り組んでまいります。来年度は、県、市町、民間団体などによる官民連携の協議体を設置し、具体の取り組みについて検討を深めるとともに、まずは、二地域居住者を含む関係人口を把握するための登録システムを構築いたします。

  能登官民連携復興センターは、復興支援に取り組む地域団体などに伴走して、全国からの人材・資金・ノウハウといった様々な支援を効果的に結び付けるコーディネーター的な役割を担っております。センターでは、現在、休眠預金を活用した復興に取り組む地域団体などへの資金支援や、スポットワークの活用による被災事業者の人手不足の解消支援、また、職業上の技術や経験を活かしてボランティアを行うプロボノ支援のマッチングなど、被災地の復興活動の支援に取り組んでいます。

  スライド14をご覧ください。また、先般、COMPLEXから能登復興支援のため頂いたご寄附をきっかけに、企業などから寄せられる寄附金の受け皿として創設した能登復興応援基金を活用した復興活動の支援につきまして、明後日20日から、復興に取り組む団体等からの具体の事業計画の公募を開始いたします。災害を乗り越えて、能登の未来を創る先導的な取組を後押ししてまいります。

  スライド15、ご覧ください。いしかわサテライトキャンパスの推進について申し上げます。県内外の学生が地域との協働・交流を通じて課題解決などに取り組み、関係人口の創出・拡大を図る「いしかわサテライトキャンパス」については、今年度、能登におきまして、県内大学による復興活動への支援枠を拡大するとともに、災害ボランティア活動を中心に受け入れを行いまして、県全体で約350名に活動いただきました。ありがとうございます。来年度は県全域で、県内外の大学ゼミなどによる単位認定も見据えたフィールドワークを実施することとしておりまして、実施可能な研究プログラムを大学に提案しPRするなど、取り組みを拡充して、受入学生数を倍増の700名を目指したいと思います。

  スライド16、ご覧ください。能登駅伝の復活は、スポーツの力で前を向いて進もうとする能登の方々の背中を押すものでありまして、能登の創造的復興に大きく寄与するものと考えています。来年度は、具体のコースや大会規模のほか、開催機運の醸成を図る取組みなどの基本計画の策定に着手し、外部有識者を交えた準備委員会を設置し、専門的な見地からご議論をいただきます。具体の開催時期につきましては、インフラや宿泊施設の復旧状況などを十分見極めながら決定したいと思います。

  スライド17、ご覧ください。今度は文化です。地震や豪雨で被災された方々を文化の力で応援するために、東京国立博物館をはじめ、在京の国立・民間の美術館・博物館が所蔵する国宝や重要文化財など、多彩な名品を一堂に展示する復興支援特別展「ひと、能登、アート。」を開催します。県立美術館は11月15日~12月21日まで、国立工芸館は12月9日~令和8年3月1日まで、金沢21世紀美術館は12月13日~令和8年3月1日までです。これはわが県では初めての3館合同開催として、能登の方々は無料で招待し、収益は能登の復興支援に活用いたします。

  スライド18、ご覧ください。被災した輪島塗の産地では、特に若い世代の作り手が、将来に不安を感じ、輪島から離れることを考えている方が多くおられまして、次世代を担う職人の養成が課題です。こうした状況を踏まえて、官である、県と輪島市と経産省、民である、北國新聞社と読売新聞社と日本政策投資銀行、そして、産地である輪島塗事業者からなるワーキンググループで検討がなされて、プロジェクトの方向性として、輪島塗の若手人材の養成施設の創設と卒業生の雇用の促進が示されました。このため来年度は、このプロジェクトの基本構想を策定し、そのための基本構想策定委員会を立ち上げ、養成施設の整備主体、規模、運営主体、方法、カリキュラムなど、具体の内容を検討してまいります。

  スライド19をご覧ください。ジオパークなど震災遺構の地域資源化に向けて、まず来年度は、専門家の協力を得て、能登地域での地域資源の調査を行うとともに、市町など関係者との認識共有を進めるための勉強会を実施してまいります。ジオパークについては、先輩である白山市にもご協力をお願いしております。

  スライド20をご覧ください。今回の震災は、海岸線や田園風景など能登の魅力を再認識させてくれました。これを活かして、能登の豊かな自然や風土に触れながら歩くことができる遊歩道をのとSDGsトレイル(仮称)として整備することとしました。まず来年度は、東日本大震災の後整備された、みちのく潮風トレイルなどの先行事例の事例調査などに着手します。環境省も、中部北陸自然歩道をベースに、専門家による現地詳細調査を実施することとしておりまして、国と連携して取り組みを進めてまいります。この、みちのく潮風トレイルにつきましては、私もぜひ参考に歩いてみたいと思っております。

  スライド21、ご覧ください。トキの放鳥につきましては、先週14日に国において、令和8年度上半期中を目処とし、能登地域におけるトキの放鳥が決定されました。今後は、放鳥に向けた準備として、放鳥で使うケージの設置に向けた検討、放鳥後のトキ定着に向けたモニタリング体制の検討・構築、そして、観察マナーの普及啓発を図ってまいります。また、放鳥決定を記念したイベントなどによって、トキとの共生に向けた気運醸成に取り組むほか、能登の活性化にも繋げるため、ロゴマークやキャラクターなどの制作、米のブランド化なども進めてまいります。

  スライド22、ご覧ください。復興基金については、総額540億円のうち100億円を、各市町が復旧・復興に向けて、各地域特有の課題に対応できるよう、市町の裁量で活用いただく市町枠配分に充てることとして、9月補正予算で1次配分として50億円をまず配分いたしました。今般、市町ごとの配分額の算定に使用している災害復旧費が概ね確定しましたので、残り50億円の配分を行います。加えて、市町からは、それぞれの復旧・復興の過程において、様々な特有の課題も出てきているとお聞きしておりまして、こうした課題に機動的に対応できるよう、今後の基本メニューの執行見込みも勘案し、市町枠配分に30億円を上乗せして、50億円+30億円ということで計80億円を配分することとしました。

  以上が、地震・豪雨災害への対応であります。次に、二本柱のもう一つである、石川県成長戦略の実現に向けた取り組みについて申し上げます。はじめに飛躍・成長する産業づくりについて申し上げます。

  スライド23、ご覧ください。産業のDXの推進につきましては、人手不足や持続的な賃上げへの対応が求められる中、県内企業では、ロボット導入へのニーズが高まっています。このため、昨年6月に開設した工業試験場のデジタル活用ものづくり支援センター内にワンストップの支援拠点を創設し、ロボット導入の普及啓発から、現場指導、ロボット操作の人材育成など、一気通貫のサポート体制を構築します。さらに、全国で先進的にロボット導入支援に取り組む自治体が参加するロボット導入先進地域ネットワークに参加することで、国や先進地域と連携し、県内企業のロボット導入を後押ししてまいります。次に産業を支える人材の確保について申し上げます。企業の人出不足が大きな課題です。設立後9年が経過するILACの取り組みを総点検し、対策を強化いたします。

  スライド24、ご覧ください。まず、学生の県内就職については、就活の早期化や大手志向などによるUターン就職の減少、また、全国から本県に集まる学生の多くが県外就職していることが大きな課題です。こうした中で、昨年10月には、北陸三県と経済団体が連携した合同企業説明会を本県で開催し、北陸の地域企業の魅力などをPRすることで、学生の域内での就職・定着の促進を図りました。さらに来年度は、石川愛の強い県内学生が主体となって、県外に進学した学生や県外出身の学生らを巻き込んで、石川とのつながりと愛着を早い段階から深めて、UIターン意識を向上するための新たな取組として、Back to ISHIKAWA/Stay ISHIKAWAプロジェクトを実施します。学生さんならではの発想で、石川とつながる、石川にまじわる、石川を知るといった3つのコンセプトの下、学生目線でのイベント企画や、情報発信に取り組んでもらうことで、学生の県内就職を促進してまいります。当然これは、県庁の職員も県内大学の皆様方との連携・協力関係をより一層深めることが重要と考えております。

  スライド25、ご覧ください。県内就職した学生向けの経済的インセンティブとして、県では理系学生向けの奨学金返還助成制度を設けていますが、人手不足が深刻となる中、県内企業からは、学生の7割を占める文系学生の確保が課題という声が寄せられております。このため、文系も含めた全ての学生に助成対象を拡大いたします。

  次に、海外への県産品の販路拡大についてです。県産品の輸出拡大に向け、今年度初めて実施をした北陸三県連携によるフランス、シンガポールでの共同プロモーションは、単独開催と比べて、PR効果が高く、高い集客効果を発揮するなど、手ごたえを感じております。来年度は、更に連携を強化するため、北陸三県輸出促進協議会を設置して、食品に加えて、農林水産物や伝統的工芸品の共同プロモーションを実施するほか、対象国を増やすなど、更なる輸出拡大を図ります。

  スライド26、ご覧ください。加賀料理については、今年秋頃の国無形文化財への登録を目指して、文化庁をはじめ関係者と連携しながら、文化財的価値の明確化など、着実に取り組みを進めてまいります。現在、国無形文化財への登録に必要な保持団体の設立に向けて、県および関係者による検討を進めております。夏頃には、料理人などで構成する加賀料理技術保存会(仮称)を設立したいと考えています。保持団体の事務局は県が担い、運営を行い、記念フォーラムの開催など機運醸成にも取り組んでまいります。

  次に、農林水産業の振興について申し上げます。スマート農業の普及については、県内農家から、自身の経営規模や課題にあった技術を選択するのが難しいという声もあります。そこで、新たに、いしかわ耕稼塾に、スマート農業技術に特化したコースを新設し、ご自身の経営に合ったスマート農業技術の選定や効果的に使うために必要なデータの分析・活用方法などの研修を通じて、導入を促してまいります。スライド27、ご覧ください。環境保全型農業の普及には、農業者・消費者双方の理解が不可欠です。農業者に対しては、化学農薬や化学肥料の削減に加えて、近年、農業分野でも重要な課題である温室効果ガスの削減に向けて、勉強会のほか、バイオ炭の施用など新たな技術の実証を行うこととします。一方、消費者に対しては、これまでも、化学農薬などの使用量を削減した農産物について、県独自の表示ラベルを作成して、普及に努めてまいりましたが、具体の取組が表示されていない。だから、浸透していない。こういうご指摘もいただいております。このため、金沢美術工芸大学と連携し、化学農薬などの削減量が一目でわかる表示ラベルを新たに制作し、また、特別栽培米を食べられる機会を県庁の食堂などにも拡大することとしました。

  次に「個性と魅力にあふれる交流盛んな地域づくり」について申し上げます。スライド28をご覧ください。観光の話です。県観光連盟では、今年度、観光庁の実証事業の採択を受けて、能登の観光施設の再開状況など「今行ける能登」をデジタルマップ上に表示し、能登の観光の再開を後押ししております。来年度は、このデジタルマップを全県に拡張したうえで、地図上から施設の予約・決済まで利用できる機能を追加し、観光客の利便性の向上を図ります。また、こうしたデジタル技術を活用して、県と県観光連盟が一体となって、個人の属性や興味関心といった観光客のデータの収集・分析を行い、ターゲットを絞ったより効果的な情報発信に取り組みたいと思います。令和6年の兼六園外国人入園者数が過去最多の53万人余となっています。順調に外国人観光客の入り込みが増加しております。引き続き、海外誘客にしっかりと取り組みます。一方、外国人を含む観光客の増加で、金沢市内を中心に限られたエリア・時期などにおいて、住民の生活に影響が及ぶオーバーツーリズムが表面化しております。現状では深刻な状況には至っておりませんが、事態が深刻化する前に、金沢市とも連携して、誘客エリア・時期の分散化、マナー啓発など、オーバーツーリズムの予防的対策にも取り組むこととします。

  スライド29、ご覧ください。金沢港については、「将来ビジョン」の実現に向けて、来月までに港湾計画を改訂し、順次整備を進めてまいります。大浜地区を核とした物流機能の強化と港湾施設の強靭化に加えて、クルーズ船の受け入れ体制の強化と周辺地域との連携強化を図ります。来年度は、大浜沖合の新コンテナターミナル、大浜御供田線の4車線化、無量寺大野線の歩道拡幅の整備に向けた調査・設計に着手いたします。

  次、小松空港です。小松空港については、来月、中期ビジョンを取りまとめて、民間による空港運営のあり方や、ターミナルビルの改築について一定の方向性を示すこととしています。これを踏まえて、来年度、ターミナルビルの改築などに向けた基本構想を策定することとし、施設規模や付加すべき機能、工事手法などに関して、より具体的に内容を固めるとともに、民間のノウハウを活用した空港運営手法についてもさらに詳しく検討を進めてまいります。

  スライド30に移ります。石川県への移住者数は、昨年度、能登半島地震の影響等によって、ILAC開設後、初めて前年度を下回りました。奥能登地域からの人口流出も加速しております。本県の活力の維持・発展、さらに、能登の復興に向けて、移住施策の強化が急務です。移住者については、被災した県への不安感から、特に首都圏からのIターン移住者が大幅に減少しています。首都圏で全国の多くの自治体が移住相談窓口を設けている「ふるさと回帰支援センター」の石川県の窓口機能を強化することとしました。本県の相談ブースを拡大するとともに、就職相談にも対応できる相談員を1名増員し、ILAC東京との連携も強化いたします。

  スライド31、ご覧ください。金沢城二の丸御殿の復元整備につきましては、来月、工事現場を覆う仮設の建物であります素屋根の建設工事に着手いたします。来年度末には素屋根を完成させ、御殿本体の工事として、基礎、柱、梁などを組み上げる建築躯体工事に着手いたします。併せて、工事期間中の気運醸成、情報発信にも積極的に取り組みます。具体的に、1工事中の仮設の塀に、復元工事を映すモニターの設置、2参加型・体験型のイベント実施、3県民参加による城づくりの取り組みとして寄附の募集などを実施しながら、整備を進めてまいります。また、金沢城公園では、地震で被災した石垣の復旧を進めております。復旧の過程を間近で見て触れて学ぶことができるように、来年度、いもり堀園地に見学ルートや解説板を新たに整備し、夏休み前に公開します。こうした御殿の復元や石垣の復旧を見える金沢城として発信し、文化観光の推進につなげてまいります。

  スライド32をご覧ください。木場潟公園の東園地の整備については、今年度実施したアンケート調査では、植物観察・昆虫採集などの里山活動、ウォーキングコース、子ども用遊具、キャンプ場などのニーズが高いという結果が示されました。
これも踏まえて、里山の魅力向上を図るための先進地事例を調査した上で、整備する施設の機能、規模などを検討する基本設計に着手いたします。

  次に、石川の未来を切り拓く人づくりについてです。スライド33、ご覧ください。奥能登地域の高校では、過疎化や地震などの影響による入学者の減少に伴って、各校が行う全ての科目に教員を配置することが難しい状況になりつつあり、生徒一人ひとりの多様な学習ニーズへの対応が課題です。このため、能登地域の高校数校において、教員が不足する科目での学校間の授業配信を試行的に実施し、遠隔授業の課題を洗い出してまいります。

  スライド34、ご覧ください。小松特別支援学校では、全国的な傾向と同様に、近年、知的障害のある児童生徒数が増加しています。教育環境の向上を図るため、現在、同校児童生徒の3分の1にあたる約70人が通学している能美市にございます寺井高校敷地内に、新たな特別支援学校を整備いたします。来年度は、基本計画の策定に着手し、令和11年度の開校を目指します。

  次に、温もりのある社会づくりについて申し上げます。スライド35、ご覧ください。本県が全国に先駆けて開始したプレミアム・パスポート事業について、協賛いただいている企業のご理解、ご協力のもと、1子世帯にまで拡大し、全ての子育て世帯を対象とすることとしました。これによって、対象世帯は、現行の約5万1千世帯から、約9万1千世帯と2倍近くに増加する見込みです。令和7年度の運用開始に向けて準備を進め、周知、広報なども通じて、より一層、社会全体で子育てを応援する気運醸成に努め、結婚から子育てまでの切れ目ない支援の充実を図ります。新たな社会福祉会館の整備については、整備予定地を金沢西高校第2グラウンドに決定し、建て替えに向けた基本構想の策定を鋭意進めておりまして、来年度は基本設計に着手いたします。老朽化が著しい能登北部保健福祉センターの、のと里山空港周辺エリアへの移転建替えについては、今年度中に策定する基本計画に基づき、基本設計に着手いたします。順調にいけば、令和7年度に基本設計、令和8年度に実施設計、令和9~10年度に建設工事を行いたいと考えております。

  最後に、3つ目の柱は、国の補正予算に呼応した経済対策について申し上げます。まず賃上げ支援です。中小事業者の持続的な賃上げには、価格転嫁できる環境を整える必要があります。生産性を向上し、収益を確保していくことが重要です。引き続き、国の「業務改善助成金」への県独自の上乗せ支援について十分な予算枠、5,500万円を確保し、中小事業者の支援に万全を期してまいります。また、国の重点支援交付金を活用した物価高対策として、昨年度、一昨年度にも実施した、1LPガス料金の負担軽減、2特別高圧契約や大量に電気を必要とする高圧契約の事業者の電気料金の負担軽減、3学校給食費の保護者負担の軽減、4医療・福祉施設や公衆浴場への施設類型に応じた支援、5公共交通事業者等への車両台数などに応じた支援に加えまして、今回新たに畜産農家への和牛子牛価格の補填などを実施し、家計負担や事業者負担の軽減を図ります。さらに、国補正予算では「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく、所要の経費が盛り込まれております。これを最大限活用し、県下全域における河川改修の促進や緊急輸送道路の整備など、災害に強い県土の基盤づくりをより一層加速させ、県民生活の安全・安心のさらなる確保に取り組みます。

  以上、これらの結果、令和7年度実質当初予算の総額は、9,341億1,800万円です。このうち、能登半島地震・奥能登豪雨に係る予算額は、3,251億2,800万円余であります。財源については、能登半島地震への対応では、手厚い財政措置が講じられておりますが、事業規模が大きいことから、多額の一般財源負担が必要です。また、人件費、社会保障関係経費、公債費など義務的経費も大幅に増加しております。したがって、一定の基金の取り崩しに頼らざるを得ません。財政調整基金を25億円取り崩します。これによって、財政調整基金残高は28億円まで減少いたします。一方、今年度は製造業など県内企業の業績が好調です。堅調な税収が見込まれます。今後の補正予算で一定程度、基金を積戻しできるのではないかと考えています。いずれにしましても、基金残高は、地震前の水準である144億円に比べれば極めて低い水準であります。引き続き、国へ必要な財政支援を求め、財源の確保を図り、歳入歳出両面での努力を重ねて、持続可能な財政運営に努めてまいります。

 

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