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更新日:2025年1月7日

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年頭記者会見の要旨 - 令和7年1月6日 -

令和7年1月6日(月曜日) 10時00分~

会見資料(PDF:3,700KB)

知事

  皆さん明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。先の元日には、ご遺族並びに石破総理、岸田前総理をはじめ多くの関係者のご列席を賜り、犠牲者追悼式を挙行いたしました。厳かな雰囲気のもと、特にご遺族代表のお言葉は万感胸に迫るものがありました。改めて、一日も早い復旧・復興への誓いを新たにしたところであります。

  これから令和7年度当初予算の編成が本格化いたします。本年は、被災者の皆さんの生活と生業の再建を加速させるとともに、創造的復興に向けた具体の取り組みを始動させる「復興元年」の年にしたいと考えております。同時に、「幸福度日本一の石川県」の実現に向け、県政の羅針盤である石川県成長戦略を具現化していかなければなりません。なお、先月、国の補正予算が成立し、この中に、物価高騰対策や防災、国土強靭化の推進などが盛り込まれました。石川県といたしましても、これに呼応した予算として、通常の3月補正とは切り離し、第1次3月補正予算を令和7年度当初予算と一体的に編成したいと思います。持続可能な財政運営に十分留意し、議会や県民の皆さんに評価いただける予算となるよう、両副知事や部局長をはじめ、職員の皆さんとともに、編成作業にあたってまいります。

  まず、「能登駅伝の復活」について申し上げます。スライド1ページ目をご覧ください。能登駅伝は、昭和43年、1968年の「能登半島国定公園」の指定を記念して始まりました。同年に第1回が開催され、昭和52年まで、計10回開催されています。当時は、富山県高岡市をスタートし、内浦から外浦へと主に海岸沿いを走り、金沢へと至るコースは、全26区間、約350kmを3日間かけて走るレースであり、日本一過酷な駅伝とも呼ばれておりました。まだ出雲駅伝が始まっていない当時は、箱根駅伝、伊勢駅伝と合わせて学生三大駅伝の一つに数えられましたが、経済情勢の悪化などを理由に、10回で幕を閉じた大会であります。半世紀以上前に開催されていたこの能登駅伝を、今、復活させることには、大きな意義があると思っています。まず、全国から訪れる参加者に能登の現状を知ってもらえること、参加者に災害からの復興のプロセスを実感してもらうこと、参加者と能登の皆さんが交流することで地域に活力が生まれること、そして何よりも、能登の素晴らしさを全国に発信できることであります。このように、能登駅伝の復活は、前を向いて進もうとしている能登の皆さんの背中をスポーツの力で押すものであり、能登の創造的復興に大きく寄与するものであると考えています。

  県では昨年、出雲駅伝や伊勢駅伝など、複数の大学駅伝大会を主催する日本学生陸上競技連合や、日本陸上競技連盟、大学スポーツ協会UNIVASそれぞれの会長をはじめとした役員の皆さんと私自身が面会をし、ご意見を伺いました。各団体からは能登駅伝の復活に賛同をいただいたところであります。一方、道路などのインフラの復旧や宿泊施設の復旧と確保、開催資金の確保が不可欠であるとのご指摘もいただきました。新たな能登駅伝は、かつての大会と同様に大学生の参加を基本としたいと考えています。現在、インフラの復旧状況等も見極めながら、開催時期やコースなどの大枠の検討を庁内で行っています。能登の素晴らしさを国内外に発信し、県内外の学生に復興の過程を知ってもらい、また、被災地の皆さんとも触れ合っていただく機会を設けるなど、学生が能登に関心を持ち続けるよう工夫を凝らしながら、記録より記憶に残る大会にしていきたいと考えている。具体的には、新年度、能登駅伝の運営体制やコースなど、開催に係る基本計画の策定に着手いたします。また、県庁内の準備体制を整備するとともに、外部有識者を交えた準備委員会を設置します。数年後の開催を目指して、計画案の検討を進めたいと考えております。

  次に、いしかわサテライトキャンパスの拡充について申し上げます。スライド4ページをご覧ください。県では、令和6年度から新たに、県内外の学生を対象にサテライトキャンパス事業を開始し、被災地における災害ボランティアと併せて、地域の事業者や住民との交流を促進しております。活動の一例を挙げますと、輪島市のゲストハウスでは、県外大学の学生3名が6日間にわたり瓦礫撤去などを通じた地域体験に参加されたところであります。学生からは、地域との交流機会を持ったことにより、今後も復興を応援していきたいといった声があるほか、受入先からは、学生が地域活動に関わることで活気が生まれ、より長期間滞在して欲しいとの声をいただきました。参加された学生の中には、参加後も引き続き能登に滞在し、復興活動に携わる方もおられるとお聞きしています。これまで38の大学から約120名の応募があり、既に約60名が現地での活動に参加されています。多くの学生が能登を訪れ、関係人口の創出という成果につながっています。一方、震災直後につき、受入先、受入地域が限定的であったことや、大学としての活動ではなく、学生個人の活動にとどまるといった課題もありました。スライド5ページをご覧ください。そこで、新年度は、受入先の拡充や地域活動の充実を図るとともに、単位認定も見据えた大学のゼミ単位でのフィールドワークも受入れるなど、事業を拡充したいと考えています。具体的には、例えば、地域資源を活用したスローツーリズム等の取組の学習、津波と液状化被災の歴史の調査、小規模集落の持続可能性調査 など、また、被災地の小中高生との交流など、能登で可能な研究プログラムの提案により、大学ゼミ単位での活動を推進することし、大学ゼミの受入に向けて、県と連携関係を締結している県外大学などに積極的に働きかけて、新年度は受入学生数の倍増を目指していきたいと思います。

  次は、「輪島塗の創造的復興に向けた官・民・産地共同プロジェクト」について申し上げます。スライド6ページをご覧ください。輪島塗は、我が国を代表する伝統的工芸品です。能登の重要な地場産業でありますが、近年、生活様式の変化等によりまして、伝統的工芸品のマーケットが縮小する中で、輪島塗の売上は減少し、大変厳しい状況にあります。ちなみに2018年で約38億円の売上がありましたが、2023年には約20億円と大変厳しいと状況となっています。そうした中、昨年、元日に発生した能登半島地震と9月の奥能登豪雨の二重災害は、輪島塗の産地に甚大な被害をもたらしました。輪島漆器商工業協同組合によれば、震災前の400の輪島塗事業者のうち、震災と豪雨により、現時点で8割の事業者が、避難先から、輪島に戻ってきているものの、特に、若い作り手たちが、将来に不安を感じ、輪島から離れることを考えている者が多く、このままでは、輪島塗の産地が消滅することすら危惧されています。一方、輪島塗には、古くから、若手が1人前の作り手になるための技術を習得するため、塗師屋と呼ばれる輪島塗の事業者が3年間修業を行わせる「年季」という風習がありますが、震災以前から、近年「年季」を行う塗師屋はごくわずかとなっておりました。こうしたいくつもの輪島塗を取り巻く大変厳しい状況の中、官と民と産地がスクラムを組んで、輪島塗を支える若手人材を育成することで、若者を輪島に呼び込み、さらには、国内はもとより、海外に輪島塗を発信し、販路拡大の足がかりとし、輪島塗の新たな世界を切り拓いていきたいと考えています。これまで、石川県、輪島市、経済産業省、輪島漆器商工業協同組合など輪島塗の事業者、北國新聞社、読売新聞社、日本政策投資銀行からなるワーキンググループで、検討を重ねてまいりました。こうしたプロジェクトで読売新聞社が地方の北國新聞、地方新聞と手を組むことは前代未聞ときいておりまして、読売新聞社の山口社長に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございます。現時点における、このプロジェクトの大枠の方向性を申し上げたいと思います。スライド7ページをご覧ください。プロジェクトは大きく2つの柱を考えております。1つ目の柱は、輪島塗の若手人材の養成施設の創設を考えており、例えば、以下の点を想定している。養成者は年間5人程度、対象は概ね40才以下の若者にし、養成期間は2年程度。若手人材の育成にあたっては、技術面の指導のみならず、現代の生活様式に合った商品開発や海外市場の開拓などマーケティングの指導。養成施設には、生徒の自主作品を展示できるスペースも設けて、観光客等の一般の方に、生徒の作業風景を見学したり、工芸品の制作体験ができるように、産業観光の機能を付与する。施設の立地予定場所は、輪島漆芸美術館、輪島漆芸技術研修所、輪島塗の精漆工場が立地するゾーン内。そして、養成施設で学ぶ若者のための住まいを確保する。立地場所のイメージはスライド8ページをご覧ください。皆さんご承知のとおりあのエリア一帯というふうに考えております。一旦スライド7ページに戻ってください。2つ目の柱は、養成施設の卒業生を雇用する輪島塗事業者、塗師屋への奨励金の交付を考えております。これまでの産地の関係者へのヒアリングでは、養成施設の卒業生を塗師屋が責任をもって雇用し、卒業生が輪島に残って、輪島塗の仕事を続けられるようにすることが何よりも重要であるとの声が数多く聞かれました。そうした点を踏まえ、卒業後、3年間程度、輪島塗事業者に卒業生を雇用してもらうインセンティブとするため、一定額の奨励金を交付することを考えております。スライド9ページをご覧ください。以上が、現時点におけるワーキンググループで検討したプロジェクトの柱ですが、これまで輪島塗の関係者のヒアリングでは、異口同音に「若手の人材育成が、今こそ必要であり、このプロジェクトに大賛成」と、こうした多数の声を聞いております。まずは、新年度、これまでのワーキンググループでの検討をもとに、今後、このプロジェクトを具体化していくために、基本構想の策定に着手し、そのための所要の予算を当初予算に計上したいと思います。基本構想策定委員会を立ち上げ、養成施設の整備主体、施設の規模、養成施設の名称、運営主体や方法、カリキュラムや講師陣などを検討してまいります。その後、養成施設の設計、建設を経て、早ければ、令和9年度中の養成施設の開校を目指したいと思います。官・民・産地が連携して、英知を結集し、輪島塗の再興を目指して、能登の創造的復興につなげていきたいと思っております。ご指導いただいた経済産業省の皆さまに心から感謝申し上げたいと思っています。

  次は、県内高校生を対象とした能登で学ぶ防災学習についてであります。スライド10ページをご覧ください。多くの方々が、復旧・復興に向けた活動にご尽力をいただいている中で、被災した高校生が、自ら被災しながらも、能登の復興を願い、様々な活動に前向きに取り組む姿があちこちで見られました。例えば、田鶴浜高校による仮設住宅の集会所での被災者との交流や、門前高校による地元の憩いの場となるカフェでの手作りピザの提供、輪島高校による被災した千枚田での稲刈りボランティアなど、高校生が主体となって能登の復興に貢献していただいております。こうした能登の高校生の懸命な活動は、被災者との交流を通じた心の復興につながるのみならず、被災地に活力をもたらしております。ふるさと教育そのものと言って差し支えないと思います。一方で、能登地域以外の県内高校生にとっては、能登の被災地を訪れ、被災地の姿を直に見て、県内で発生した千年に一度とも言われる大災害から様々なことを学び得ることは意義深いことと考えています。新年度、県内高校生を対象とした、能登でのフィールドワークを実施し、防災学習を推進してまいります。防災学習の例としては、大規模地震の被害や教訓などを後世に伝える震災遺構を見学したり、震災を経験した語り部からの説明を受けて、発災当時の状況や復興の営み、思いを知り、自然災害との向き合い方を深く学ぶことを考えております。また、現地で得られた経験や知識については、総合的な探究の時間などを利用し、生徒間で意見交換を行うことで、防災・減災の意識を高め、将来を担う高校生自らが考えて、行動できる人材を育成してまいります。

  次は、「のとSDGsトレイル(仮称)」についてであります。スライド11ページをご覧ください。創造的復興プランのリーディングプロジェクトに、能登一円の自然、風土に触れながら歩くことができる遊歩道、能登SDGsトレイルの創設を掲げました。東北地域においては、東日本大震災からの復興に向け、青森県八戸市から福島県相馬市までの全長1,000kmを超える道を一つなぎの道とした「みちのく潮風トレイル」が整備されております。ルートを歩くことで、自然の脅威や復興の力強さを感じることができて、また、ハイカーと地域住民との交流も生まれるなど地域活性化につながっていると聞いております。スライド12ページをご覧ください。新年度、先行事例の事例調査や課題整理などに着手します。その後は計画策定など段階的に事業を進めてまいります。能登らしいトレイルルートを創出し、多くの人を呼び込み、能登の創造的復興につなげてまいりたいと思います。

次は、「見附島のバーチャル復元」について申し上げます。スライド13ページをご覧ください。珠洲市の見附島は、県の天然記念物であり、多くの観光客がインスタグラムなどのSNSで写真を投稿し、能登で最も人気のある観光スポットの一つであります。地元の方々にとっては、ふるさとのシンボルでもあります。この見附島が、能登半島地震の強い揺れによりまして、原形をとどめないほど大規模に崩壊してしまっております。地震前の見附島の姿を懐かしむ人たちからは、何らかの形で復元できないかと、こういう声も上がっております。こうした中、この度、北國新聞社が令和5年8月にドローンを使って精密撮影したデータを元に、NTTグループでXR事業を展開するNTTコノキュー社が、VR技術を活かして、能登半島地震前の見附島の姿をVRコンテンツでバーチャルに復元していただけることになりました。両社のご厚意に対して、深く感謝を申し上げます。このコンテンツは、石川県が構築する能登半島地震デジタルアーカイブ上で、今春を目途に公開する予定です。今後、復興支援イベントなど、様々な場面で、能登の復興のシンボルとして活用していきたいと思います。スライド14ページをご覧いただいて、今から1分程度のイメージ動画をご覧いただきます。アーカイブやイベントでの活用のほか、例えば、スマホをかざすと復元した姿が見えるなど、AR技術を活用した観光コンテンツの開発などについても検討していきたいと思っております。

<動画再生>

  次は、輪島港、飯田港の機能強化について申し上げます。スライド15ページをご覧ください。災害復旧工事に伴い発生する土砂や公費解体で発生したコンクリート殻などを活用して、新年度から、輪島港、飯田港に新たな埋立地を造成することにしました。残土を活用して港の機能強化につなげる創造的復興の好事例としたいと思います。まず、輪島港では、現在、漁船溜まりの浚渫工事を進めておりますが、この浚渫土砂を活用して、マリンタウン横に輪島港の新たな埋立地を造成いたします。新たな埋立地については、2箇所に分散している漁業共同利用施設の移転・集約の地といたします。また、第4防波堤の背後にも浚渫土砂を投入し、防波堤の強靱化を図るとともに、新たにできる浅場に藻場を形成する、稚魚等の生息環境づくりについても、国や漁協と連携して、進めてまいります。スライド16ページをご覧ください。次は、飯田港についてです。珠洲市では、公費解体で発生した大量のコンクリート殻がジャンボリー跡地に仮置きされております。このコンクリート殻や災害復旧工事により発生する土砂の受入先の確保が課題となっております。現在、国と連携して、飯田港の本復旧に向けた調査設計を進めておりますが、新年度は、単なる原形復旧ではなく、コンクリート殻や土砂を活用して埋立地を造成したいと思います。新たな埋立地の活用方策については、現在、珠洲市で策定が進められている復興計画なども踏まえながら検討されていくこととなります。建設残土などを活用した輪島港と飯田港での埋め立ては、復旧を加速化させるとともに、平地の少ない被災地において新たな土地を生み出す取り組みであります。県としては、国をはじめ、輪島市や珠洲市、漁協としっかりと連携して取り組んでまいりたいと思います。

  次は、東京国立博物館等と連携した復興支援事業について申し上げます。スライド17ページをご覧ください。昨年夏、県立美術館において、仏教美術の殿堂と称される奈良国立博物館が所蔵する数多の国宝や重要文化財を展示する「まるごと奈良博」展を開催し、一昨年秋の「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展」と同様、5万人を超える方々にご来場いただきました。そして、次の取り組みとして、令和6年能登半島地震及び令和6年奥能登豪雨により被災した方々を文化の力で応援するため、日本を代表する博物館である東京国立博物館に、協力を依頼いたしました。この東京国立博物館の藤原誠館長は、実は私が文科大臣をしていたときの官房長をされておりまして、直接藤原館長にお願いし、まるごと奈良博の後は、まるごと東博と、このコンセプトでお願いできないかと直談判したところ、東博どころではない、東京にある数多の美術館、博物館と連携して、総がかりで石川県を応援したいと申し出をいただいたものであります。藤原誠館長には大変感謝しております。東京国立博物館からは、日本の博物館の中心を担っているという立場から、国立西洋美術館やサントリー美術館など在京の国立・民間の美術館・博物館が所蔵する多種多彩な名品を一堂に介する特別展「ひと、能登、ア-ト。」の開催を、ご提案いただき、これまで具体の協議を進めてまいりました。その結果、今年、令和7年11月中旬から令和8年の3月上旬まで、県立美術館と金沢21世紀美術館、更には国立工芸館の3館で特別展を初めて合同で開催することとし、今回被害の大きかった能登にお住いの皆さんを無料でご招待したいと思います。スライド18ページをご覧ください。展示作品については、現在協議を進めておりますが、今回は東京国立博物館が所蔵する作品の中で、展示が予定されているものを紹介します。県立美術館では、平安時代に写された「万葉集」の中でも、特に優れた「五大万葉集」の一つである、国宝「元暦校本万葉集」をはじめ、江戸時代を代表する画家の一人である尾形光琳が、俵屋宗達の名作を忠実に写し描いた、重要文化財「風神雷神図屏風」など、有名な日本画や古美術を中心に展示いたします。また、金沢21世紀美術館では、グラフィックデザイナーであり、若者を中心に高い人気を集める現代美術家、横尾忠則の寒山拾得シリーズなど、若者や海外で人気の高い作品を展示することとしております。また、国立工芸館では、江戸時代のはじめに活躍し、京焼の祖と称され、本県にもゆかりのある、野々村仁清が制作した、重要文化財「色絵月梅図茶壺」や、中国南宋時代に制作された東洋陶磁の名品である、重要文化財「青磁輪花鉢)」など、本県ゆかりの作品から世界の名品まで、幅広いジャンルの工芸品を展示いたします。詳細は、この春には決定されるとのことであるが、本特別展が、能登の皆さんのみならず、多くの県内外の皆さんにご来場いただける素晴らしいものになることを期待しております。さらに、今回、特別展の開催に加えて、東京国立博物館と連携して、関連イベントも実施いたします。スライド19ページをご覧ください。今年は七尾市の石川県七尾美術館において、開館30周年を記念した特別展を開催することとしておりまして、その目玉として、七尾市のご尽力により、20年ぶりに、東京国立博物館が所蔵する、能登ゆかりの絵師、長谷川等伯の代表作、国宝「松林図屏風」の里帰りが内定している。この松林図屏風の8K映像を、県内のイベント会場等で上映するほか、松林図屏風の高精細レプリカや重要文化財「遮光器土偶」の原寸大レプリカ等を活用した鑑賞・体験イベントを、県内各地の小中学校等で開催します。東京国立博物館をはじめ、金沢市や独立行政法人国立美術館、さらに七尾市とも連携し、文化の力で能登を元気づけられるように、準備を進めてまいります。改めて藤原誠館長にこれほどの準備をしていただいたことに感謝申し上げたいと思います。

  次、JR「花嫁のれん号」の運行再開について申し上げます。スライド20ページをご覧ください。JR西日本より、七尾線の観光列車「花嫁のれん」について、3月7日、金曜日から運行を再開するとの報告を受けました。「花嫁のれん」については、昨年元日に発生した能登半島地震以降、沿線の復興状況や沿線にお住まいの皆様のお気持ちなども考慮し、運行を見合わせておりましたが、発災から1年が経過し、和倉温泉において一部の宿泊施設が営業を再開する中、地域の皆様から運行再開を期待する声が寄せられておりまして、今回の決定に至ったものとお聞きしております。なお、当面は、募集ツアーなどの団体貸切運行を予定しているということであります。石川県としても、今回の運行再開を歓迎するとともに、復興応援の弾みとなり、「今行ける能登」への一層の送客につながることを期待しております。

  次は、のとじま水族館の全面再開についてであります。スライド21ページをご覧ください。のとじま水族館については発災以降、鋭意復旧を進めており、7月に水族館の営業を再開、10月にはジンベエザメの展示を再開しました。その後は、同じく水族館の目玉であるイルカショーやアシカショーの再開に向け準備をしてまいりました。イルカについては、11月から12月にかけて全頭が避難先から帰館いたしました。アシカについては、アシカ舎が被災したため、日本水族館協会によるクラウドファンディングや日本動物園水族館協会からの見舞金などのご支援により再建を進めてきたところ、2月中には完成する運びとなりました。再建するアシカ舎については、従来のアシカ舎より広く、屋外で日光浴ができるなど、よりアシカに適した環境となっているほか、これまでショーでしか観られなかったアシカの普段の姿を観察できるようになるなど大幅にグレードアップいたしております。この場をお借りし、日本水族館協会及び日本動物園水族館協会、そしてご協力いただいた全国の皆様方に、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。スライド22ページをご覧ください。アシカ舎の再建に合わせて、アシカも避難先から帰館させる予定であります。これで他の動物園や水族館に避難した生き物が全て戻ることになります。トレーニングを進め、春休みにはイルカ・アシカショーを再開したいと思います。また、8月に避難先から戻ったペンギンの「お散歩タイム」も連休の初日である1月11日、土曜日から再開いたします。春のイルカ・アシカショー再開で、のとじま水族館は完全再開することとなります。カップルや、子ども連れなど多くの方に来館いただきたいと思います。

  次は、プレミアム・パスポート事業の拡充であります。スライド23ページをご覧ください。プレミアム・パスポート事業は、子育て世帯の経済的負担の軽減と社会全体で子育てを支援する気運の醸成を図るため、各企業の理解と協力のもと、子どもを3人以上持つ世帯を対象に、商品割引、ポイント付与をしてまいりました。これは全国に先駆け、平成18年1月に開始し、同様の事業が全国に広がりました。平成29年10月からは、対象を子どもが2人以上いる世帯にまで拡大したほか、令和4年12月からは、利便性の向上と情報発信の強化を図るため、紙で発行していたパスポートをデジタル化し、スマホで表示できるようにしました。協賛店舗については、事業開始当初は約1千店舗でありましたが、年々増加し、現在は約3,000店舗と、3倍に増加し、県内の約5万の、子どもが2人以上いる世帯に対して支援を行っております。24ページ。一方、結婚・子育てに関する県民意識調査の結果では、子育てに関する不安の中で、経済的な不安を挙げる世帯が7割を超え、最も多くなっています。こうしたことを踏まえ、今般、プレミアム・パスポートの対象世帯を第一子へ拡大し、社会全体での子育て支援を後押しすることといたしました。既に、協賛企業の皆様にご提案や意向調査させていただき、その結果、おおむね企業の皆様方にもご理解いただきました。改めて企業の皆様には御礼申し上げます。ありがとうございます。これによって、しあわせ婚応援パスポートと合わせ、結婚から子育てまでの、ライフステージごとに切れ目のない支援を行うことが可能となります。今後、今年中には支援対象を拡充しサービスを開始できるように、協賛企業との連携を図りながら、準備を進めてまいります。

  最後に、「石川の農林漁業文化賞」の表彰について申し上げます。スライド25ページをご覧ください。石川県の農林水産分野の知事表彰は主に個人を対象に実施してまいりましたが、近年、農林水産物のブランド化や里山里海の振興などには地域や産地を支える組織・団体が、大きく貢献してございます。また、農林水産業は各地の食文化をはじめ、地元の風習や祭礼などに深く関係してございます。人口減少の中、本県の農林水産業の振興と、農林水産業の営みにより育まれた多様な文化の維持・発展に向け、地域や産地の取り組みが、今後、より一層重要であるとの思いが、石川県と北國新聞社双方で一致し、本県と北國新聞社が共催し、新たに石川の農林漁業文化賞を創設したところであります。昨年の8月から、募集を開始し、市町・関係団体から推薦を受け付け、11月に県と北國新聞社による審査委員会で審査を行った結果、ルビーロマン研究会、奥能登原木しいたけ活性化協議会、石川県定置漁業協会の3団体を表彰することとなりました。スライド26ページをご覧ください。表彰理由としては、ルビーロマン研究会については、ルビーロマンの栽培技術向上や販売戦略の策定に取り組み、本県の特色ある農産物で初めてブランド化に成功するなど、今後も本県農産物ブランド化の牽引役として期待できること。次に、奥能登原木しいたけ活性化協議会については、のとてまり等の原木しいたけの生産拡大に取り組み、のとてまりが、冬の石川を代表する林産物として定着するなど、今後も能登の復興に向けた奥能登地域の生業創出モデルとして期待できること。それから、石川県定置漁業協会については、能登寒ブリのブランド化やクロマグロの資源管理に取り組み、本県定置網漁業者の水揚げ量が、日本海側で1位を誇るなど、今後も本県漁業の振興を担っていくことが期待できるなど、いずれの団体も、生産者自らが厳しい基準を設定し、遵守するなどブランド化を進めており、今後も本県の食文化の継承・発展が期待できることが評価されたとのことであります。こうした3団体の多大なる功績を称え、来月、2月12日13時30分より、北國新聞交流ホールにおいて表彰式を行います。私からは以上であります。

  昨年をふまえての今年のスタート、こういうふうに考えております。復興元年、そして成長戦略を引き続き加速させていくと、この想いで、県庁の幹部の皆さん、そして県民の皆さんと共に県政を推進させていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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