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更新日:2024年5月22日

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記者会見の要旨 - 令和6年5月21日 -

令和6年5月21日(水曜日) 14時00分~

会見資料(PDF:4,379KB)

知事

   令和6年度6月補正予算案がまとまりましたので、その概要を説明いたします。

   今年度の当初予算は、令和6年能登半島地震への対応を最優先、新規事業は必要最小限にとどめた、骨格的な予算として編成いたしました。

   スライド1ページをご覧ください。

   今回の6月補正予算は、当初予算以降の状況を踏まえて、能登半島地震からの復旧・復興に向けた必要な対応に係る予算を計上します。そして、当初予算の肉付け予算として、石川県成長戦略の実現に向けた新規事業を可能な限り取り込みました。また、大規模プロジェクトについては、復旧・復興に係る財政負担が増す中、社会福祉会館など、施設の老朽化などの観点から緊急度の高い事業を進めることとしました。

   以下、主な施策について説明いたします。

   大きな1点目は、「能登半島地震からの復旧・復興」についてです。能登半島地震からの創造的復興に向けた道筋を示す「創造的復興プラン」の最終的な案を取りまとめ、本日、議会にお示しをしました。今後、6月議会において、ご議論をいただいた上で成案とすることとしておりますが、プランに盛り込む施策のうち、早く取り組む必要があるものについては、今回の補正予算においても取り組みます。また、被災地の現状を踏まえた必要な対応を、「生活の再建」、「なりわいの再建」、「災害復旧等」、この三つの柱で計上したところでありまして、以下、順次説明いたします。また、これまで国へ要望しておりました「復興基金」については、政府において6月を目処に創設をする旨の表明がなされました。詳細が判明次第、基金設置に係る条例や所要の予算を今議会において追加提案したいと思います。

   一つ目の柱、「生活の再建」についてでございます。まず、被災した住宅や宅地の復旧の支援についてです。

   スライド2ページをご覧ください。液状化被害を受けた宅地の復旧と、住宅の傾斜修復などへの支援について申し上げます。今回の地震では、県内各地で広範囲に液状化現象が発生しました。地盤の沈下・隆起による宅地損傷や、住宅の傾斜など、甚大な被害が発生しています。これまで、液状化などによって、被害を受けた宅地の復旧や住宅の傾斜修復について、国に対して支援制度の創設を要望し、同時に県としても支援のあり方を検討してまいりました。1日も早く被災された方々に支援メニューをお示しするために、基金の創設を待つことなく、支援制度を創設することとしました。宅地の復旧や住宅の傾斜修復については、熊本地震における支援制度を参考にしました。熊本地震当時からの物価上昇分を考慮して、宅地の地盤改良や、住宅の傾斜修復にかかる1,200万円までの工事費に対して、応急修理などの工事費相当額の50万円を控除した額の2月3日、最大で766万円の支援を行うこととしました。また、住宅の耐震化に対して、最大150万円を補助する支援制度について、国の制度拡充に呼応し、住宅の耐震化とあわせて傾斜修復を行う場合に、その費用についても新たに補助対象とします。また、地震により耐震性が低下した住宅の耐震性を確保する観点から、新耐震基準で建てられた住宅も補助対象として拡大いたします。住宅の傾斜修復にあたりましては、今申し上げた2つのいずれかの制度が選択可能であります。

   スライド3ページをご覧ください。ここちょっとポイントなので、ちょっとゆっくり説明します。モデルケースとして、3つの例をお示ししたいと思います。一番左側。まず事例1、住宅の耐震改修とともに傾斜修復や、宅地の地盤改良などを行う場合は、被災宅地等復旧支援事業と住宅耐震化促進事業の対象となりますので、支援額が最大で916万円となります。次に真ん中の事例2、住宅が全壊し、耐震改修はせずに住宅再建とあわせて宅地の地盤改良などを行う場合は、被災宅地等復旧支援事業の対象となりますので、支援額は最大で766万円であります。次に一番右、事例3、小規模な住宅の耐震改修や、傾斜修復を行う場合は、定額助成である住宅耐震化促進事業が有利です。支援額は最大150万円となります。なお、住宅耐震化促進事業については、今回の地震を受けて、住宅の耐震化を促進するため、当初予算の助成枠を拡充し、耐震診断は300件に、耐震改修は200件と倍増いたします。

   次、スライド4ページご覧ください。宅内配管の復旧促進であります。水道については、これまで国や日本水道協会などからの応援協力をいただきながら復旧を進めてきました。一方、上下水道の宅内配管については、地元工事事業者の不足がネックとなり、復旧に遅れが生じております。このため、地元の市町以外の工事業者の旅費、宿泊費などの全額を県が負担し、被災された方々には、かかり増し経費の負担なしで安心してご利用いただける制度を設けることとしました。今月13日から石川県管工事業協同組合連合会の中に受付窓口を設けて、専用ダイヤルで工事業者の手配を行っていただいております。既にマッチング済が36件ございます。

   次に、避難者や仮設住宅入居者などへの支援についてであります。スライド5ページをご覧ください。発災直後から、全国から派遣いただいた保健師チームや、DPAT、JRATなどの災害派遣チームによりまして、こころのケアやリハビリ支援などを行って、避難所の避難者を中心に、被災者の健康維持に取り組んでまいりました。今後、仮設住宅への入居が本格化し、周囲の目が届きにくくなることで、被災者の孤立や、運動不足、食生活の乱れ、ストレスの増大等による心身の不調が懸念されます。加えて、災害派遣チームの活動は、5月中に概ね終了する見込みとなっております。そこで切れ目ない支援を行うことが必要です。このため、被災者の孤立防止に向けて、各市町において、社会福祉協議会や専門ボランティア団体などにより、仮設住宅入居者を中心に訪問し、被災者の見守りや相談支援に取り組みます。また、県としても、市町などが把握した要支援者に対し、被災者データベースも活用し、様々な支援につなげてまいります。例えば、3つほど言いますね。精神面での不調を抱えている被災者に対しては、これまでの電話相談に加えて、精神科医や保健師などによる訪問相談をします。次、仮設住宅に閉じこもりがちで運動量が低下し、要介護化が懸念される方には、リハビリの専門家による体操教室や相談支援を行います。また、長期に渡る避難生活で、栄養バランスの乱れによる健康状態の悪化が懸念される方に対しては、管理栄養士による栄養教室や栄養指導、こういったきめ細かな対応をいたします。また、被災市町に入っていただいている団体や支援組織と連携し、仮設住宅や集会所などにおいて、地域のつながりを深める様々な活動やイベントの実施を支援いたします。さらに、石川ユナイテッドと連携して、避難所や仮設住宅などでのスポーツ体験会を開催します。こうして、地域の住民同士が外に出てコミュニケーションを取り合う機会を作り出して、被災者のひきこもりを防止し、地域コミュニティの再建を後押ししてまいります。このほか、仮設住宅などにおいて、支援が必要な被災者が安心して日常生活を送ることができるように、食事・入浴などを提供するデイサービスや、総合相談支援を包括的に提供する拠点の整備を行う事業者に対して、市町と連携して支援をいたします。こうした拠点は、要支援者のみならず、仮設住宅などで暮らす皆さんにご利用いただくことで、新たなコミュニティの形成にも役立つと考えておりますし、孤立、孤独死防止にも重要な役割を果たすと考えています。仮設住宅などでの被災者の健康維持、災害関連死防止、孤独死防止、こういう観点で万全を期してまいりたいと思います。

   次、スライド6ページです。被災者データベースの機能強化について申し上げます。被災者ひとり1人の状況にあわせて、必要な支援を確実に届けるためにも、市町の被災者台帳作成を支援する被災者データベースの活用を進めています。現在、各市町では、二次避難所や、みなし仮設住宅などにいる広域避難者の情報や、在宅高齢者などへの個別訪問で得た健康状態などのデータを共有しています。今般、被災者の状況をより的確に把握できるように、市町のニーズを踏まえて、例えば、義援金の支給状況など行政の様々な支援の情報も確認できるように機能を拡充いたします。また、国や県内の市町に加えて、県外の自治体や有識者などからなるワーキンググループを立ち上げて、検証・検討を行います。こうした「能登モデル」として全国に展開をしていきたいと考えています。

   次です。安心して出産できる環境整備です。今回の地震によって、市立輪島病院は分娩休止となりました。奥能登地域にお住まいの妊婦さんは、七尾市以南の医療機関で出産せざるを得ない状況になっています。今般、国において、遠方の医療機関で出産する必要がある妊婦の交通費や、出産に備えたホテルなどでの宿泊費を助成する制度が創設されました。奥能登の妊婦さんが安心して出産できるように支援をしてまいります。加えて、現在、七尾市内では地震の影響もありまして、ホテルなどの確保が困難です。そこで、国制度の対象とならない、医療機関での事前宿泊に対しても、県独自に支援をいたします。

   次に、地域コミュニティの再建に向けた支援について申し上げます。スライド7ページをご覧ください。能登の祭りについては、キリコや曳山の破損、祭りの用具を保管する倉庫の損壊のほかにも、担い手の確保、道路状況の悪化など、震災の影響が広がることが懸念されております。祭りは能登の皆さんにとっては特別な行事であり、地域の人々が集う大事なコミュニケーションの場でもあります。従って、祭りの再開は地域コミュニティの再建、そして能登の復興のカギを握ると、こういうふうに考えています。そこで、祭りの再開に向けて、後ほど詳しく申し上げますが、今般拡充する「いしかわ県民文化振興基金」を活用して、祭り用具の補修や新たな調達のほか、外から応援に来てくださる担い手への謝礼など、こうした開催経費、PR経費など、準備段階から開催に至るまで、その経費を幅広く支援することといたします。具体的には、今般の震災に係る市町からの声を踏まえて、助成内容の拡充を図ることとしました。徐々に再開されることを想定して、3年間で最大150万円を助成します。

   次、スライド8ページお願いします。いしかわサテライトキャンパス構想について申し上げます。長期的な人口減少に対応しながら、能登が復興を成し遂げるためにも、地域に多様な形で関わる関係人口を作り出していくことが必要です。石川県には多数の高等教育機関が集積しております。これまでも、県内大学と連携して、世界農業遺産「能登の里山里海」に代表される豊かな自然や文化などを活かしたフィールドワークや学生さんの祭りへの参加を促してまいりました。これまで、県内大学のゼミなどが地域団体と連携して、地域課題の解決に取り組む活動を支援してまいりましたが、今回の地震を踏まえまして、支援枠を拡大し、能登の復興や災害対応に特化した取り組みを後押しいたします。加えて、こうした取り組みを就職支援協定や包括連携協定を結ぶ県外の大学にも拡大をし、学生さんに地域の学びの機会を提供する「いしかわサテライトキャンパス構想」を推進することとしました。特に能登の被災地においては、発災後、県内外の多くの学生が現地で支援活動に従事しておられます。復旧・復興に寄与する形で学生ボランティアと地域住民等との交流を促進し、関係人口の創出につなげて、地域コミュニティの再生にもつなげていきたいと思います。

   スライド9ページをお願いします。連携支援組織の設立準備です。能登半島地震の発災直後から、行政のマンパワー不足を補完する形で、NPOやボランティア、企業、大学といった数多くの支援団体が能登に入ってくださり、多種多様な支援をいただいております。ありがとうございます。今後、被災者が地元に戻っていく中で、支援ニーズがさらに多様化していくことが予想されます。そこで、被災者の支援ニーズを把握して、支援シーズを持つ団体とのマッチングを行うほか、被災地の情報発信、外部の人材や資金の確保などの機能を持つ官民連携の組織「能登官民連携復興センター」の設立に向けて準備を進めてまいります。官民それぞれのネットワークを結びつけて、被災者ニーズにあった、よりきめ細かな支援につなげるとともに、民間の力も借りながら、地域における新たな創造的復興に向けた取り組みの後押しにつなげたいと思いますし、将来的には関係人口の創出、そして移住定住を担う組織としていきたいと思います。

   次、スライド10ページ目です。支援者の受け入れ環境整備について申し上げます。支援者の仮設宿泊所の一大拠点となっている、のと里山空港エリアでは、周りに食事をとれる場所が少なく、利用者からは温かい食事をとれる場所を望む声が届いています。そこで、のと里山空港の第一駐車場の一角に、中小機構の支援制度を活用して、早ければ10月の運用開始に向けて、仮設飲食店舗を整備することとしました。この運営を被災した飲食事業者に担ってもらうということで、生業再建の支援にもつなげてまいります。

   次、スライド11ページをお願いします。また、これから本格化する復旧工事や解体工事事業者などの宿泊ニーズに対応するために、避難住民が戻ってくる意思がない場合などですね、今後活用されない可能性のある古民家などを宿泊施設として活用することといたしました。具体的には、8人から10人程度が宿泊できる、被災した古民家を復旧・改修して支援者の宿泊施設として活用を図る、そういう宿泊事業者に対して、現状復旧費の一部を助成いたします。将来的には関係人口の増加にもつながる、民泊や、あるいは移住者の住まいなどへの活用も見込んでおりまして、これは、まちづくりを見据えながら、市町と連携して進めます。

   次、生業の再建について申し上げます。スライド12ページをご覧ください。被災した中小企業などの事業再開に向けては、「なりわい再建支援補助金」などの支援メニューがあります。被災地のインフラの復旧状況なども相まって、事業者が施設・設備の本格的な復旧に着手するまでには相当の期間を要するものと見込まれます。それで、本復旧までの間にも何とか営業を再開できるように、個社の仮店舗や仮作業場の整備などにかかる応急的な経費を県独自に最大300万円支援します。そうして早期の営業再開を後押しすることとしました。また、小規模事業者の事業継続に向けた施設・設備の修繕等を手厚く支援するために、国の「持続化補助金」に対し、県独自で最大100万円を上乗せすることとしました。

   次は能登の酒蔵の再興支援です。甚大な被害を受けた能登の酒蔵については、多くが能登を離れ、加賀・金沢での避難生活を余儀なくされています。被災した酒蔵は、地元での再建を望んでおられますが、再建には相当な時間がかかりますので、加賀・金沢の酒蔵が施設・設備の一部を提供して、能登の酒蔵と一緒にお酒を作る共同醸造に取り組んでいます。この能登の酒造りを守っていくためにも、県内の酒蔵が連携・協力して取り組む共同醸造を後押しすることとしました。受け入れていただく酒蔵の人件費などの追加コストや、製造された商品の共同保管庫の借上費用の一部を支援いたします。

   次に13ページをご覧ください。資金繰りの支援です。生業の再建に長期間を要する被災事業者のニーズを踏まえて、国の保証制度を活用し、返済開始当初は少額の返済で、返済後半の比重を大きくする返済も可能とします。低利かつ信用保証料免除の融資制度を創設することとしました。いわゆるテールヘビーという方式であります。融資の期間は石川県の制度融資では最も長い15年以内とするほかにも、既往債務の借換にも対応し、生業再建に取り組む被災事業者の資金繰りを支援してまいります。

   次、被災企業の雇用維持・人材確保、被災者の就労支援であります。被災地における雇用・人材確保対策として、奥能登行政センターの中に、ILAC能登を設置します。そして石川労働局・ハローワークなどの関係機関とも連携しながら、被災事業者や労働者が抱える課題を迅速に把握し、プッシュ型で支援を行うこととしました。雇用の維持については、休業の長期化で、休業手当の事業者負担が重くなる中、在籍型出向制度の更なる活用を促進するために、出向元事業者が負担する転居費などの準備費用を助成することとしました。人材の確保については、従業員の住まいの確保が喫緊の課題となっておりまして、事業者からも支援を求める声が多くございます。このため、住まいの確保が困難となっている奥能登2市2町において、従業員宿舎の確保を行う被災企業や、受け皿となる賃貸物件の修繕を行う不動産事業者が負担する賃借料、修繕費、この一部を支援することとします。

   次に、農林漁業者への支援について申し上げます。まず、生業再建に向けた支援です。農林漁業者の生業再開に向けて、引き続き、機械・施設などの修繕・再取得などを支援します。また、今回新たに、今年の水稲作付が困難な農家に対しまして、肥料効果を有する地力増進作物の作付を支援し、来春の水稲作付までの農地保全を図ってまいります。

   次、配合飼料の価格高騰対策です。畜産業については、ウクライナ情勢などによって、配合飼料の価格が高騰しています。これまでも、国と合わせて購入価格の引き下げを支援してまいりました。依然、飼料価格が高止まりしております。そんな中での今回の地震です。畜産農家の経営環境は極めて深刻な状況です。こうした状況を踏まえて、引き続き、畜産農家への支援として、昨年の配合飼料の平均購入価格からの上昇分のうち、1月2日を県独自に支援いたします。

   次、漁業者への応急支援について申し上げます。漁業者については、発災以来、漁港の製氷施設や給油施設の被害により、氷や燃油を遠方から調達することに伴う運送費などのかかり増し経費を支援しています。今般、輪島港において、浚渫による航路の確保などが進められまして、夏以降に漁業が再開される見込みとなりました。同様に、製氷施設や給油施設の復旧までの間の応急支援を行って、漁業の再開を後押ししてまいります。

   スライド14ページをご覧ください。復興応援イベントの開催について申し上げます。能登の復旧・復興に向けて、全国の皆様からの支援を継続していただけるように、三大都市圏での復興フェアをはじめ、伝統工芸フェアや百万石の極みフェアなど既存のイベントも活用して、被災地の復興の状況を発信すると同時に、応援消費お願いプロジェクトを展開してまいります。

   スライド15ページをお願いします。伝統的工芸品全国大会に合わせた伝統産業・食文化の発信です。今年11月に開催予定の伝統的工芸品月間国民会議全国大会に合わせて、金沢市において、被災事業者による展示即売会のほか、ホテルでの被災産地の器や食材を活用したメニューの提供を行います。さらに、七尾市において能登の食材・食品、伝統的工芸品など、能登の食文化の魅力を一体的に発信するイベントを開催して、伝統工芸産業の復興を支援してまいります。

   次、スライド16ページです。のとじま水族館の再開準備です。のとじま水族館については、能登を代表する観光施設の一つです。能登の復旧・復興に向けて、1日も早い再開を目指しています。施設・設備といったハード面の復旧のほかに、一時的に他の施設で飼育していただいている生きものの移送や、喪失した生きものの補充を図って、被災地の子どもたちのためにも、まずは準備の整った施設から、夏休み前に営業再開できるように準備を加速します。

   次、スライド17ページお願いします。三つ目の柱である災害復旧についてです。県水送水管につきましては、今般の地震において、中能登町から七尾市にかけて被害が集中し、復旧に2ヶ月弱と大変時間を要しました。一方、耐震化工事が完了している七尾市の藤橋から和倉温泉間では被害がありませんでした。改めて、送水管の耐震化は極めて重要であることを認識しました。県水の依存割合が高い市町、今回被災した市町、これを優先してですね、今後の整備計画を2年前倒しをして工事を加速させ、令和12年度までの完成を目指すことといたしました。

   次です。市町の復旧事業の受託について申し上げます。今回、大規模な被害となった「ツインブリッジのと」や白米千枚田、農業用ため池などの市町管理の農業用施設を中心にして、市町のマンパワーも限られておりまして、そのことも踏まえて、県において復旧工事を受託し、早期の復旧を進めることといたしました。

   次に、学校施設の復旧です。被災した県立学校については、昨年度末までにですね、応急復旧を終えまして、通常授業を再開しています。引き続き、本復旧を含めて教育環境の確保を図っていきます。また、被災した私立学校についても、施設復旧に対する国の補助に、県独自に上乗せをして、早期の復旧を後押しいたします。

   次、輪島漆芸技術研修所の復旧についてです。被災により休講しております輪島漆芸技術研修所については、秋頃の授業再開に向けて、施設修繕を進めておりますし、住まいの確保が困難となっている研修生のために、敷地内に仮設寄宿舎を整備することとしました。

   次です。能登半島地震を踏まえた災害対応力の強化について申し上げます。スライド18ページです。地震被害想定の見直し方針については、先月19日開催の石川県防災会議震災対策部会においてご了承をいただいて、今回の地震を踏まえた断層モデルを対象断層に追加するほか、帰省客や観光客などが多い正月やゴールデンウィークを想定シーンに追加することとしました。また、今回の地震で被害の大きかった介護福祉施設や宅地の液状化などについても被害想定項目に追加をいたしました。今年度末までに調査結果を取りまとめることとします。震災対策の充実強化につなげてまいります。

   次、初動対応・応急対策の検証、デジタルアーカイブについて申し上げます。今回の地震における初動対応や応急対策の課題を洗い出すとともに、改善の方向性を示し、今後の災害対応力の向上につなげるために、地震対応の検証を行うこととしました。年度内には取りまとめを行います。そして、地域防災計画をはじめ

   各種計画などに反映します。そして、県としての必要な取り組みを今後の予算にも反映させてまいります。また、能登半島地震の記録・記憶を未来へ伝承し、今後の災害対応に活かすためにも、関連する写真・映像・資料などを収集し保存するデジタルアーカイブの構築にも着手します。以上が能登半島地震への対応の主な観点です。

   続いて、石川県成長戦略の実現に向けた取り組みについて申し上げたいと思います。ここからが6月補正予算の二つ目の大きな柱という位置づけになります。

   まず、スライド19ページをご覧ください。産業のDX・GXの推進について申し上げます。県内ものづくり企業は、発注企業からの短期間での製品開発への対応や、人手不足の恒常化といった課題を抱えています。このため、デジタルを活用した迅速・効率的なものづくりや、ロボット導入へのニーズが高まっています。さらに、国を挙げてGXの取組が加速化している中で、県内企業におきましても、自社の省エネだけではなくて、新たな成長マーケットであるグリーン分野への参入が求められています。このため、工業試験場に来月開設予定の「デジタル活用ものづくり支援センター」を拠点にしまして、デジタルシミュレーションやロボットの導入に向けた人材育成、GXの最新動向や先端的な研究情報の普及啓発のほかにも、共同研究によって、県内企業の最新のデジタル技術を搭載した製品開発を支援することといたしました。公的試験研究機関において、DX、GX、共同研究をセットで支援するという取り組みは、全国的にも例がありません。こうした取り組みを広く県内企業に周知し、県内企業のDX・GXを強力に後押ししてまいりたいと思います。

   次、産業技術専門校の整備です。昨年度、老朽化している金沢、七尾、能登の3校について、職業能力開発審議会において、今後のあり方を議論し、特に老朽化が著しい金沢校を優先して整備することが望ましいという答申をいただいております。この答申を踏まえてですね、金沢校について、現在地での建て替えに向けた基本構想の策定に着手します。あわせて、企業や地域のニーズも踏まえた、訓練カリキュラムの充実についても検討を行います。

   スライド20ページをご覧ください。いしかわ県民文化振興基金の拡充について申し上げます。いしかわ県民文化振興基金については、昨年、128万人が来場した国民文化祭の成果を一過性のものとせずに、レガシーとして継承し、文化活動への県民総参加を一層推進するために、基金の規模を現在の120億円から200億円に拡充します。「ポスト国民文化祭」の取り組みとして、本県文化の深化や裾野の拡大を図るとともに、新たな文化体験機会の創出を図り、本県文化のさらなる発展につなげていきたいと思います。加えて、先ほど申し述べましたが、文化の力で被災地の復興を後押しできますように、能登の祭りの再開に向けた支援も行うこととしています。具体的には、市町や企業の積極的な文化活動を支援するほか、秋の大型イベントとして、ミュージカルを中心に観劇の魅力を発信する「いしかわ舞台芸術祭」を新たに開催いたします。また、「ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭」を、今までは2年に1回でしたが、今後、毎年開催するということで文化団体の発表会や子どもの文化体験事業を充実させたいと思います。このほかにも、昨年の「全国障害者作品展」を引き継いで、県内の障害のある方の文化芸術活動の発表の場として、「いしかわ障害者アート展」を開催します。文化の裾野拡大、また、新たな文化体験の機会の創出を図ってまいります。

   次、スライド21ページです。のと鉄道の経営の安定化です。のと鉄道は、地震により大きな被害を受けて、発生直後から全線運休を余儀なくされてまいりましたが、関係者のご尽力によって、復旧工事が順調に進み、先月6日から全線で運行が再開されております。のと鉄道には、地域住民の生活の足としてだけでなく、観光の二次交通として、能登の復興を支える役割を期待しております。引き続き沿線市町と連携して、経営の安定化に向けた支援を行ってまいります。地震の影響によりまして、更に厳しい経営状況が見込まれます。車両の修繕など安全運行に万全を期すための経費を支援する基金、これまでですね、平成25年から26年と令和元年から3年にかけまして計14億円積み立ててまいりましたが、残高が不足してきましたので、県と沿線の七尾市、穴水町とともに、今後3年かけて必要額7億円を積み増すこととしました。

   次、スライド22ページお願いします。金沢港港湾計画の改訂についてです。金沢港については、コンテナ船の大型化など、今後の金沢港を取り巻く環境変化への対応や、今回の地震を踏まえた施設の強靱化などを盛り込んだ「将来ビジョン」を今年3月に策定しております。この「将来ビジョン」を実現するために、年度内に具体的な施設の規模や配置などを示した港湾計画を改訂し、令和7年度からの新たな事業展開を目指します。

   次、スライド23ページをお願いします。金沢城二の丸御殿の復元整備です。金沢城二の丸御殿の復元整備については、昨年度までに、学識者などで構成される専門委員会の意見を伺いながら、建築設計や障壁画、欄間彫刻の再現に向けた検討を重ねてきました。この度、文化庁など関係機関との協議がおおむね整いまして、今年度より工事に着手することとし、まずは建設工事に必要となる建設現場を覆う仮設建物の工事に取りかかります。二の丸御殿は、これまでの復元整備で培われてきた石川の伝統技術、あるいは漆塗りをはじめ伝統工芸の技法などの粋を集めた建造物でありまして、文化立県のシンボルである金沢城の価値や魅力を更に高めていく必要があると考えていますし、また、次の世代に技術を継承するための研鑽の場として、人材育成にもつなげてまいります。今般の地震で崩落をした石垣の復旧状況とあわせて、二の丸御殿の復元整備の状況を随時発信してまいります。

   次、スライド24ページです。木場潟公園の東園地、木場潟さとしるべについては、昨年4月に完成供用をして、里山交流ハウスなどを含む中核的なエリアにおいて、里山の恵みや再生可能エネルギーなどを活用した体験学習プログラムを実施しておりまして、受け入れた課外学習、あるいは修学旅行生から高い評価をいただいております。北陸新幹線の県内全線開業を機に、こうした動きにさらに弾みがつくものと考えておりまして、未整備区域11.1ヘクタールに広がる里山林の資源を活かして、南加賀地域の観光交流拠点として、東園地全体の更なる魅力向上を図るために、未整備区域における利用者ニーズの把握などの調査・検討に着手します。

   次、スライド25ページです。西部緑地公園の再整備について申し上げます。3月に再整備構想を策定したところでありますが、極めて大きなプロジェクトであります。事業の進め方などについて、より検討を深めていく必要があります。このため、今回、事業費の精査や、必要となる事業手法の調査を行うこととしまして、基本計画の策定などの着手の時期については、財政負担を十分見極めて判断します。

   次、子どものこころの専門医の養成についてです。発達障害や不登校など、子どもの心の問題については、専門の医師ができるだけ早く発見して、症状に応じた支援や適切な治療を行うことが必要です。一方、全国的に児童精神分野の専門医が不足しております。石川県でも、一部の医療機関で予約が取りづらく、診察までの期間が長くなっていると聞いております。そこで、子どもの心の専門医を養成するための寄附講座を金沢大学に設置して、子どもの心の診療体制の強化を図ることとしました。

   次、スライド26ページです。社会福祉会館の移転整備について申し上げます。建設から半世紀以上が経過して、老朽化が著しく、旧耐震基準の建物である社会福祉会館については、昨年度、新たな会館の整備に向けた在り方検討委員会で報告書が取りまとめられまして、求められる機能のほか、交通アクセスや駐車スペースなど、より県民の利便性の確保に留意が必要という、こういう報告をいただきました。

   スライド27ページをご覧ください。この報告を踏まえまして、これまで県有地を念頭に移転先を検討してまいりましたが、県庁周辺で公共交通が確保されていて、十分な駐車スペースを確保できる。県立金沢西高校第2グラウンドを移転先とすることとしました。金沢西高校は、以前は、現在の県庁舎の敷地内に所在しておりましたが、県庁舎建設に伴いまして、平成10年に現在の場所に移転しております。この第2グラウンドは、当初は畝田用地に整備する計画でしたが、用地取得の難航によりまして、移転までに第2グラウンドを整備することが困難となったものですから、大徳川を挟んだ、当時既に県有地であった現在の場所に整備をすることになりまして、加えて校舎と第2グラウンドを結ぶ70mの空中回廊を整備したという経緯があります。この空中回廊、いくらかかったの徳田さん。

徳田副知事

   4億。

知事

   結構なものですね。4億。具体的な数字は教育委員会で確認してください。こうした経緯を踏まえてですね、これまで第2グラウンド用地は、いずれは学校用地ではなく、県有施設が立地する用地とするという方針でありました。校舎に直接隣接する畝田用地への第2グラウンドの移設は、生徒、また先生方の校舎からの移動時間が短縮されますし、教育環境の向上に資するものでありますので、今般、設計に着手いたします。

   スライド26ページに入ります。社会福祉会館の整備に向けては、学識経験者や福祉関係者などからなる検討委員会を立ち上げ、基本構想を取りまとめることとして、今回の地震を踏まえた福祉拠点としての防災機能の強化についても検討を行います。これを機会に、これまで様々な意見も出ておりますので、機能強化を図る、これを一つの方針にしたいと思います。

   スライド28ページをお願いします。能登北部保健福祉センターの建て替えです。建築から半世紀以上が経過し、施設の老朽化、狭隘化が著しいことに加えて、今回の地震による被害も大きいので、建て替えに向けて基本計画の策定に着手することとしました。奥能登各地域からアクセスしやすい、のと里山空港周辺エリアで整備することとします。今回の地震を踏まえた機能の充実についても検討を行います。

   次、スライド29ページをご覧ください。トキの放鳥につきましては、昨年、「能登地域トキ放鳥推進ロードマップ」を策定し、取り組みを進めてまいりました。復興プランにおいても、放鳥の実現を震災からの創造的復興のシンボルとして位置付けることとしています。早ければ令和8年度の放鳥に向けて、市町や関係機関と連携しながら着実に取り組みを進めてまいります。具体的にはですね、餌場環境の整備のほか、トキとの共生に向けた県民の理解の促進を図るため、子ども向けの絵本の作成や、親子でトキを学べる普及啓発イベントなどを開催します。また、トキをシンボルとした地域活性化に向けて、ブランド化に向けた方向性も検討していきます。

   以上が今回の補正予算の概要です。一般会計補正予算額は、742億300万円余、このうち能登半島地震への対応は393億4,300万円余となります。この財源として、地震対応に係る一般財源の負担に対応するため、財政調整基金71億円を取り崩す予定です。本日発表した令和5年度補正予算の専決処分におきまして、地震対応のため前倒し交付された特別交付税87億円を財政調整基金に積み立てましたが、今回の取り崩しによりまして、今年度末の基金残高は66億円となります。これは、地震前の144億円から半分以下に減少する見込みです。今後とも、復旧・復興に向けて、適時適切に必要な対応を講じていくためにも、財源の確保が不可欠であります。国に対しまして、必要な財政支援を要望してまいりますし、同時に、持続可能な財政運営、つまり不断の行革を通じて、コストカットにも努めたいと思っています。

   私からは以上でございます。ありがとうございました。

 

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