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[ご注意] 事例は実際のものではありません。
Aさんは、入社して半年を過ぎた頃に、労務担当の上司より、入社時に個別に取り決めた給料の大幅な減額と、当初の労働条件になかった遠方の支店への配置転換を通告され、それを拒否するなら退職しても構わないと申し渡されました。Aさんは、その上司に説明を再三求めたものの、十分な話はありませんでした。
Aさんは、給料の引き下げ及び配置転換の撤回、Aさんが退職することになった場合は違約金の支払を求めて労働委員会に調整を申請しました。
会社は、Aさんの営業成績や能力を問題にし、会社の経営状況悪化もふまえ、給料引き下げなどを撤回するつもりは一切ないと主張しました。
その後、Aさんは退職し、労働委員会の調整員があっせんの場で双方と折衝を重ねる中で、会社より金銭解決に応じる意向が示され、会社が提示した金額を受け入れることで解決しました。
Bさんは、勤めていた会社の役員から人格を否定するような言動や、脅迫的な言葉を日常的に浴びせられ、精神的に追い込まれて働くことが困難になり、退職届を提出しました。会社は退職届を受け取ろうとせず、退職時の諸手続を処理してくれませんでした。Bさんは、これらについて会社に抗議したものの、受け入れてもらえませんでした。
Bさんは、在職中及び退職時の精神的な苦痛に対する慰謝料と、再就職をするまでの収入補填を求めて、労働委員会に調整を申請しました。
会社は、Bさんの退職届を受理して退職時の諸手続を処理する意向は示したものの、法律上の責任が生ずる程のパワーハラスメントはしておらず、日常の仕事の中での指導やコミュニケーションの範囲に入るものであるので、損害賠償等はしないと主張しました。
労働委員会の調整員は、あっせんの場で会社を説得しながら調整を進めた結果、会社より、労働委員会の段階で解決ができるなら一括して解決金として金銭の支払いに応じてもよいとの意向が示されました。Bさんも、再就職を見越して労働委員会での早期の解決を希望し、会社が提示した金額に合意し、解決しました。
Cさんは、学校を卒業後すぐに、ある会社に入社しました。就職活動時や入社時に、この会社の役員から収益が大きく伸びており、今後もさらに伸びが見込まれるといった説明がありました。
Cさんは、この会社の主要製品に欠陥が見つかったことによって経営が非常に悪化していることを入社後に知りました。そして、会社は、Cさんが入社後間もないうちに事業の継続を断念し、Cさんを含む従業員全員を解雇することにしました。
Cさんは、解雇に伴う経済的・精神的な損害の賠償、再就職活動に伴う諸費用の補償を会社に請求しましたが、十分な額が提示されず、交渉が行き詰まったことから、労働委員会に調整を申請しました。
あっせんの場において、会社は、Cさんの入社に際し、実際の経営状況を正しく説明せず、新卒入社後間もなくに解雇をした行為は不誠実であったとの表明がなされ、Cさんへの金銭の上乗せをする意向が示されました。
結果、Cさんはその金額を受け入れ、解決しました。
Dさんは、会社に勤めつつ、個人的に別の仕事を請け負っていました。会社の現在の社長は、Dさんに対し、「今後、兼業は認めない。兼業を続けるなら給料を減額する。」と通告しました。しかし、Dさんは、先代の社長と兼業を認めるとの約束をし、長年、会社での仕事上、迷惑はかけていないという思いがあって、それには応じられないと答えました。
Dさんが従来どおり兼業を続けていたところ、会社はDさんに対して、経験のない仕事に配置転換し、給料を減額して支給するようになったので、Dさんは会社に抗議しましたが、受け入れられませんでした。Dさんは、給料の額を元に戻すことと、給料の減額分及び慰謝料の支払を求めて労働委員会に調整を申請しました。
会社は、会社の基本姿勢としての法令遵守が重要であり、兼業は就業規則で禁じているから、その是正をしているものである、Dさんが別の仕事を理由に休暇の取得を繰り返すため、仕事を十分に任せられない、このままであると、他の従業員の士気にも関わると主張しました。
労働委員会の調整員があっせんの場で双方に折衝し、妥結点を探った結果、(1) Dさんは就業規則を遵守し、兼業を止め、会社の業務に専念すること、(2) 会社はDさんの給料の額を元に戻し、Dさんに対して給料の減額分とそれに若干上乗せした金額を解決金として支払うことで合意し、解決しました。
Eさんは、平成20年4月から6ヶ月間の有期雇用契約社員として会社に勤務し、6ヶ月間の契約を3度更新しました。3度目の更新時に、上司より、次回の更新はしないので、平成22年3月をもって雇い止めになると通告されました。
3度目の更新以降、労働時間を一方的に短縮されたため、その分、給料が減額になり、また、会社の上司や同僚から、ミスを必要以上にとがめられたり、社内行事の案内を渡されない等、差別的な扱いを受けました。
そして、平成22年3月に入ってから上司より退職届の提出を強要されたので、雇用の継続を会社に求めたものの、応じてくれなかったことから、労働委員会に調整を申請しました。
会社は、あっせんの場で、Eさんとの雇用契約は期間満了により終了した、Eさんは仕事上のミスが多く再三指導したものの改善がされなかった、Eさんは職場になじもうとせず自ら人間関係を悪化させていた、と主張し、雇い止めの撤回はしないと述べました。
労働委員会の調整員がEさんに意向を再度確認したところ、雇用の継続が無理であれば、その代わりとして金銭解決でも構わないとのことでしたので、それをふまえて双方と調整し、(1) Eさんと会社との雇用契約は平成22年3月末日をもって終了したことを確認する、(2) 会社はEさんに解決金を支払うとする内容で双方が合意し、解決しました。
Fさんは、会社の正社員として勤務し、1年が経過した頃から、仕事の仕方や休暇の取り方等について上司の部長と激しく口論するようになりました。Fさんは、自分に道理があると思い、社長にこの状況の改善を求めたところ、社長の指示により、部長はFさんに謝罪しました。
その後、Fさんは部長から暴言や嫌がらせを日常的に受けるようになり、不眠等の症状が出始めたため、再度、社長に改善を求めたが、今度は善処してもらえませんでした。Fさんは、病院に受診したところ、うつ病との診断を受け、仕事を続けることが難しくなり、退職を申し出て、社長はそれを了承しました。なお、退職時に、給料3ヶ月分に当たる現金を会社より支給されました。
Fさんは、うつ病になり、退職せざるを得なくなった原因は会社にあるとし、慰謝料と治療費として給料3ヶ月分の支払と、部長からの対面での謝罪を求めて労働委員会に調整を申請しました。
会社は、あっせんの場で、Fさんは部長や同僚に対して暴言を吐く等、Fさんからトラブルを起こすこともあり、会社側に一方的な非がないこと、Fさんの退職に際しては、諸般の事情をふまえ、特例として給料3ヶ月分を支給していることから、さらに3ヶ月分を支払うことには応じられないと主張しましたが、部長の対面による謝罪については、部長から謝罪文が提出されたので、それを渡したいと回答しました。
労働委員会の調整員が、あっせんの場で双方に折衝、説得を重ねた結果、給料1ヶ月分の金銭支払とFさんへの謝罪文交付で双方が合意し、解決しました。
小売業の店舗でパートタイム労働者として勤務しているGさんは、有給休暇の取得を希望する日の1ヶ月以上前に、店長に休暇取得を申し出て、了承されました。しかし、休暇直前になって、店長より、本部に相談したところ繁忙期なので休暇は与えられないと伝えられました。Gさんは、遠方への旅行を計画しており、切符や宿泊の手配が済んでいたこともあって、出勤せず、旅行に出かけました。
その後、出勤すると、店長より翌月末での解雇を言い渡されました。Fさんは納得できず、店長に抗議しましたが、受け入れてもらえなかったため、労働委員会に調整を申請しました。
会社は、Gさんについて、今回のことだけではなく、日頃の勤務態度に問題があることや、職場内での仕事の協調性が低いことに対して再三指導をしてきたが、改善がみられなかった経緯も考慮して解雇したと主張しました。
労働委員会の調整員が、あっせんの場で会社の意向について再確認したところ、解雇の撤回はやぶさかではないが、Gさんの勤務態度等の改善を条件にして欲しいとの申出がありました。
Gさんは、職場復帰に強い意欲を示しており、会社の意向を理解して合意し、解決しました。
Hさんは、会社の製造部門で正社員として約20年勤務していましたが、先日、製造部門の従業員が集められ、会社の役員より、製造部門を廃止するので製造部門に所属している従業員は全て整理解雇とすると伝えられました。
その場で、Hさんは整理解雇には応じられないと伝え、労働委員会に対して調整を申請しました。
会社から事情を聴取すると、製造部門の廃止と従業員の整理解雇の方針は変えられないが、それぞれの従業員に対して説明は尽くすつもりであり、個別に話し合う場を持つ予定であった、いきなり労働委員会に調整を申請され、当惑しているとのことでした。
また、Hさんから事情を聴取すると、他の職種や遠方への配置転換も受け入れるつもりであり、とにかくこの会社に残りたいので、解雇だけは止めて欲しいとのことでした。
労働委員会の調整員は、双方の協議が不十分との認識を持ち、会社とHさんとで十分話し合うよう、双方に伝えたところ、了解されたので、双方の協議日を定め、状況を見守ることにしました。
会社はHさんに対して、経営状況の悪化により、収支の改善が見込めない製造部門の維持はできないこと、他の部門も人員が過剰であるので配置転換はできないこと、退職金の上乗せや再就職支援等の条件について、説明を行いました。
Hさんは、会社の意向を受け入れることにし、労働委員会への調整の申請を取り下げました。
Iさんは、会社に正社員として約15年間勤務し、ある専門的な業務を担当してきましたが、会社から、就業規則に基づき懲戒解雇とすると通告されました。
Iさんは、退職することについては応じるが、懲戒解雇の理由となった行為について納得できず、懲戒解雇の撤回と退職金の支払を会社に求めましたが、受け入れてもらえなかったため、労働委員会に調整を申請しました。
会社は、あっせんの場で、Iさんについて、業務上のミスをしても上司に報告せず、上司を中傷したり、上司の指示に従わず、社内の指揮命令系統をないがしろにする行為が以前から多々あり、それを注意すると立腹して帰宅したり、持ち場を離れたりということがあったと述べました。また、このような状況は、周囲の従業員の士気はもちろん、社内秩序を揺るがす問題である、そして、Iさんが会社を辞めたいとも口走っているとのことであったので、自主退職を勧めたが拒否され、逆にIさんが解雇を望んだため、先に述べた行為を理由に懲戒解雇にし、懲戒解雇である以上、退職金は支払わないと主張しました。
Iさんは、自分が担当している業務について他の従業員より経験が豊富であり、熱心に仕事をし、会社に貢献してきた、この会社で定年まで働き続けたいという思いがあったが、上司や同僚から暴言やいじめを受け、今の上司にはついて行けないので、復職は希望しないと述べました。
労働委員会の調整員は、懲戒解雇事由とする行為について会社とIさんとで認識に大きな隔たりがあることから、解決金の支払いによる和解に向けて当事者双方と折衝を重ねました。その結果、金額も含めて双方の合意を得られ、解決しました。
Jさんは、社会福祉法人が経営する福祉施設に専門職の正職員として勤務していましたが、2月の上旬に、家庭の都合により3月末で退職したいと理事長に伝えました。その際、理事長は、退職する6ヶ月前に退職願を提出し、法人の承認を得なければならないと規定した就業規則を持ち出して、3月末での退職は認めないとの返事でした。
その後、Jさんは、再度、理事長と話し合いをしたものの、聞き入れてもらえなかったため、労働委員会に調整を申請しました。
法人は、あっせんの場で、Jさんが3月で退職すると、福祉施設の職員配置基準を満たさなくなり、法人の経営に直接関わる問題になってしまうため、6ヶ月というルールは守って欲しい、6ヶ月後なら退職は認めるつもりであると述べました。
労働委員会の調整員は、民法627条第2項に基づき、月給制の場合、月の前半に労働契約の解約の予告をすれば、翌月以降に解約の効力が発生するということや、退職の予告期間を6ヶ月とすると同時に法人の許可を必要とした就業規則の規定について、民法627条より予告期間を長く定めた部分と許可制にした部分を違法無効とした裁判例を示しながら法人を説得しました。
その結果、法人はJさんの3月末での退職を認め、解決しました。
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