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サクラの呼び名(名前)には、様々な見方によるものが混在しています。
日本の野外で見られるサクラは、以下の11種に分類されています。
科・属 | 群 | 種(系) | 亜種・変種・型 |
---|---|---|---|
バラ科 サクラ属 サクラ亜属 |
ヤマザクラ群 | ヤマザクラ | (変種)ツクシザクラ (型)ウスゲヤマザクラ |
オオヤマザクラ | |||
カスミザクラ | |||
オオシマザクラ | |||
クマノザクラ | 2018年に命名 | ||
マメザクラ群 | マメザクラ | (亜種)キンキマメザクラ (変種)ブコウマメザクラ(変種)クモイザクラ | |
タカネザクラ | (変種)チシマザクラ | ||
チョウジザクラ群 | チョウジザクラ | (亜種)オクチョウジザクラ(変種)ミヤマチョウジザクラ | |
エドヒガン群 | エドヒガン | ||
カンヒザクラ群 | カンヒザクラ | ||
ミヤマザクラ群 | ミヤマザクラ |
※コシノヒガンザクラをエドヒガンの変種とする見方もありますが、自生地の状況や形質から、コシノヒガンザクラはキンキマメザクラとエドヒガンの自然雑種と考えるのがよいようです。
園芸品種は、上記のサクラ(および一部外国産のサクラ)の交雑によって、自然にまたは人為的に作り出されたものです。
サクラの場合は通常、優れた形質を持つ一本の木に一つの名前が付けられ、それを接ぎ木等で増殖することにより、遺伝的に親木とまったく同一の個体(クローン)が広められています。
上述の植物学的分類の下位区分のひとつとして、“栽培品種”があります。これは、クローンであるか否かに関わらず、特定の形質を持つ集団の総称として用いられるもので、国際命名規約に従い、学術雑誌に記載されることによって有効な名称となります。この“栽培品種”の定義に従えば、いくつかの“園芸品種”が、ひとつの“栽培品種”にまとめられることもあります。
複数の“園芸品種”が、同一の“栽培品種”に含まれると考えられる例
栽培品種名 | 同一とされる園芸品種 | ||||
---|---|---|---|---|---|
センダイシダレ | シダレヤマザクラ、ヤマザクラシダレ、フゲンシダレ、ヨシノシダレ | ||||
シラユキ | カリギヌ、オキナ | ||||
スルガダイニオイ | ゴザノマニオイ、タキニオイ | ||||
エド | ヤエベニトラノオ、アズマニシキ |
(「日本の桜」勝木俊雄,2001より抜粋)
商品としての品質や生産者の権利を守るために、「種苗法」により品種登録制度が定められています。サクラも種苗法適用の対象となり、登録品種数も、近年増えてきました。
サクラの登録品種の例
ある特徴をもつ桜の一般的総称として用いられている呼び名と同じ園芸品種名があるので、注意が必要です。
一般的総称と同じ園芸品種名がある例
一般的総称 | 意味 |
---|---|
枝垂れ桜 | 枝垂れ性のサクラ |
菊桜 | 菊咲きのサクラ |
寒桜 | 早い時期に咲くサクラ |
“山”に自生している野生種のサクラ~“山桜”に対して、“里”で人が育てているサクラを“里桜”として区別することがあります。また、植物分類学上も、オオシマザクラを中心にヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラなどの交配で作出された園芸品種の総称(種名)として、“サトザクラ”という名称を用います。
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