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縄文時代
能登町(能登町立真脇遺跡縄文館保管 鳳珠郡能登町字真脇48-100)
重要文化財 平成3年6月21日指定
国指定史跡真脇遺跡からの出土品で、その各時期における代表的な土器・石器類である。縄文時代前期初頭から晩期末までの約4,000年間の長期にわたって整然と堆積した各期の生活層から出土した土器類は、北陸地方の土器研究の基準資料となっており、文様技法や造形的にも我が国の縄文土器を代表するものである。前期層出土の彫刻柱、後期の土製仮面、晩期の巨大木柱根は、他の土製品、石製品とともに縄文人の精神活動の実態を知る上で欠かせないものである。種類と内容の豊富さにおいて、他に比類のないものであり、縄文文化を総合的に研究する上で欠くことのできない重要資料として、その学術的価値が極めて高い。
古墳時代
小松市(小松市埋蔵文化財センター保管 小松市原町ト77番地8)
重要文化財 平成9年6月30日指定
石川県矢田野エジリ古墳から出土した、人物・馬・円筒・朝顔の埴輪一括である。石川県小松市南部の月津台地は、加賀三湖と呼ばれる3つの湖沼に囲まれた低く平坦な海成台地で、この台地上には古墳時代後期の古墳群が複数存在している。矢田野エジリ古墳は、この台地上の市街地化の進んだ地域にあり、昭和63年に宅地造成に伴う試掘調査によって発見されたもので、それ以前は、遺跡台帳にも登録されていない未知の古墳であった。墳丘は過去に宅地化されていたため、削平されており、主体部は存在せず周溝のみが検出された。この周溝内から1万点を越える埴輪片が発見され、接合作業の結果、人物埴輪11箇・馬形埴輪2箇・円筒埴輪15箇・朝顔形埴輪2箇が復元された。
女子像・男子像・馬は、全て赤灰色から紫灰色の特徴的な発色をした、須恵質の埴輪である。
これらのうち、注目されるのは馬に跨る姿態の2箇の男子像である。馬とは別箇に製作されているが、各々が馬の鞍にしっかり納まる。また、これに付随して馬子と考えられる男子像が2箇あり、これらが2セットあったことを示している。
円筒埴輪が全高50cm、口径30cm、低径20cmが標準的な法量で、3突帯4段構成である。全体として、円筒製作途中で上下を逆転させて円筒を作り上げる倒立技法が主体を占める。円筒で倒立技法を採用しているものの大半は人物・馬と同様に発色した須恵質で、内面の倒立成形境界部には同心円文当て具を用いた調整痕が明瞭に残されている。
矢田野エジリ古墳出土埴輪は、質・量とも北陸では最大のものであり、当地でも関東地方にみられるような人物埴輪を持つ埴輪祭祀が存在したことを示すものとして貴重である。全国的にも類例のない馬・馬上の人物・馬子の完全なセット状態は学術的にも極めて価値が高い。服装や髯の表現方法などに稚拙な点が否めないが、目を盛り上げて立体的に表現する工夫が凝らされているなど、美術的にも評価されると思われる。
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