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平成11年度犀川総合開発事業(辰巳ダム建設)精算設計書のうち事業費総括表及び内訳表
辰巳ダム建設事務所
(1)平成12年12月28日 公開請求
(2)平成13年1月11日 一部公開決定
(3)平成13年1月23日 異議申立て
(4)平成13年3月8日 一部追加公開決定
(5)平成13年4月27日 諮問
(6)平成14年6月13日 答申
4 諮問に係る審査会の判断結果
用地補償費内訳表中の非公開部分については、判断結果のとおり公開すべきである。
非公開部分 |
該当条項 |
審査会の判断 |
|
---|---|---|---|
判断結果 |
判断要旨 |
||
用地補償費内訳表中の「住家」、「非住家」及び「工作物」の「総事業費」、「平成10年度迄」、「平成11年度以降」及び「平成11年度」の金額欄 |
7条2号 |
「平成11年度」の |
「住家」、「非住家」及び「工作物」の金額は、辰巳ダム建設に関連して付替えする市道建設用地の買収に係る建物等の移転補償費で、その支出相手方は所有者個人である。 |
用地補償費内訳表中の「漁業権」、「電柱移転費」及び「電話柱移転」の「総事業費」、「平成10年度迄」、「平成11年度以降」及び「平成11年度」の金額欄 |
7条6号 |
「総事業費」及び |
「漁業権」の金額は、辰巳ダム建設に伴い、漁業に与える損害に対する補償額であるが、当該補償契約は未だ締結されていない。 |
審査回数 8回
石川県知事(以下「実施機関」という。)は、本件異議申立ての対象となった公文書(既に公開した部分を除く。)について、次の部分を除き、公開すべきである。
(1)用地及び補償費内訳表の種別欄の「住家」、「非住家」及び「工作物」の「平成11年度」の金額欄
(2)用地及び補償費内訳表の種別欄の「漁業権」、「電柱移転費」及び「電話柱移転」の「総事業費」及び 「平成11年度以降」の金額欄
異議申立人は、石川県情報公開条例(平成6年石川県条例第28号)第6条の規定により、実施機関に対し、平成12年12月28日に「辰巳ダム関連事業開始から、平成12年12月末日までの収支内容」について、公文書の公開請求(以下「本件公開請求」という。)を行った。
なお、同条例は平成12年12月に改正公布され、改正後の石川県情報公開条例(平成12年石川県条例第46号。以下「条例」という。)は平成13年4月1日から施行されており、条例附則第5項の規定により、本件公開請求及び異議申立てはこの条例の施行前になされたものであるが、改正前の石川県情報公開条例の規定により行った処分、手続その他の行為は、条例の相当規定によって行ったものとみなすこととされている。
実施機関は、本件公開請求に対応する公文書として、「平成11年度犀川総合開発事業(辰巳ダム建設)精算設計書のうち事業費総括表及び内訳表」(以下「本件公文書」という。)を特定した上で、本件公文書について、一部を除いて公開する一部公開決定(以下「原処分」という。)を行い、公開しない部分及びその理由を次のとおり付して、平成13年1月11日に異議申立人に通知した。
条例第7条第6号に該当
公開することにより、当該事務事業の公正又は円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれのある情報に該当するため。
その後、実施機関は、原処分を撤回し、公開しない部分及びその理由を次のとおり変更する一部公開決定(以下「変更処分」という。)を行い、平成13年3月8日に異議申立人に通知した。
用地及び補償費内訳表中の「住家」、「非住家」、「工作物」、「漁業権」、「電柱移転費」及び「電話柱移転」の「総事業費」、「平成10年度迄」、「平成11年度以降」及び「平成11年度」の金額欄
異議申立人は、平成13年1月23日に原処分を不服として、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対して異議申立てを行った。
実施機関は、平成13年4月27日に条例第19条第1項の規定により、石川県情報公開審査会(以下「当審査会」という。)に対して、原処分の取消しに係る異議申立てにつき、諮問を行った。
異議申立ての趣旨は、原処分の取消しを求めるものである。
異議申立人が、異議申立書及び意見書で主張している理由は、次のとおりである。
なお、意見書については、変更処分後なお非公開とされている部分に対するものである。また、意見の陳述の機会は求めない旨、異議申立人から口頭で意思表示があった。
非公開部分が公開されなければ、辰巳ダム事業の公正な執行が行われているか、判断不能である。
異議申立人に公開しなくて、行政担当者のみが非公開部分の情報を知り得ることは、著しい県民の差別である。
公開されない場合は、特定の県民のみに利益をもたらす可能性があり、公開されない方が、むしろ当該事業の公正に著しい支障を及ぼす。
特定個人の補償金額が類推され得ても、完全には特定できない以上、当該補償金額は公開されるべきである。
実施機関が主張している要旨は、理由説明書等から総合すると、おおむね次のとおりである。
本件公文書は、辰巳ダム建設事業(以下「本件事業」という。)に係わる平成11年度末までの事業費を精算するために作成した文書で、「総事業費」、「平成10年度迄」、「平成11年度以降」及び「平成11年度」の区分により、詳細な事業内訳ごとの数量及び金額が記載されている。
当初の非公開とした部分は、平成12年度以降に実施する入札設計価格及び用地補償費が類推されるおそれがあり、当該事業の適正な遂行に支障が生じると判断したものである。
変更処分においてもなお非公開とした部分は、個人に関する情報及び当該事業の適正な遂行に支障が生じるおそれのある情報であると判断したものである。
用地及び補償費内訳表中の「住家」、「非住家」及び「工作物」は、数量が少なく、かつ、対象地域が限定されていることから、これらの金額を公開すれば、特定の個人の補償金額が類推されるおそれがある。
特に、「住家」については、平成11年度の補償件数が2件であり、工業統計調査又は商業統計調査の調査表を集計及び公表のために使用する場合の要領(昭和46年5月19日46統部第463号)においても、「集計結果の公表に当たっては、1ないし2の事業所に係る数字を秘匿する」旨を規定していることから、これに準じて、非公開とした。
また、「非住家」及び「工作物」の金額については、これらの金額を公開すると「住家」の金額を容易に算出することができるため、非公開としたものである。
漁業権補償については、未交渉であり、用地及び補償費内訳表中の「漁業権」の金額を公開した場合、被補償者がその金額を自己の補償額と認識して固執することは十分に有り得ることである。それを事業者側が容易に説得できるとは限らないため、今後の補償交渉の円滑な執行に支障を生ずる。
なお、「漁業権」の金額は、昭和57年に他の同種事業における補償額を参考にした概算額であり、所要の調査を行って算定したものではない。「電柱移転費」及び「電話柱移転」の金額については、当該企業との協定に基づき補償を行っており、公開しても今後の補償交渉に支障はないが、これらの金額を公開すると「漁業権」の金額を容易に算出することができるため、非公開としたものである。
また、用地補償に係わる金額を公開すれば、同種の公共事業において自己の資産や私的経済活動に係る情報を公開されることをおそれて用地買収及び各種補償に応じない者が現れることも予想され、同種の公共事業の円滑な執行に支障が生ずることにもなる。
条例は、地方自治の本旨にのっとり、県政に関する県民の知る権利を尊重し、公文書の公開を請求する権利につき定めること等により、もって県の諸活動を県民に説明する責任が全うされるようにするとともに、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加による公正で開かれた県政をより一層推進することを目的として制定されたものであり、公開の原則に基づき適正に解釈・運用されなければならない。当審査会は、この公開の原則を基本として条例を解釈し、以下判断するものである。
なお、本件異議申立は、原処分に対してなされたものであるが、当審査会においては、変更処分においてなお非公開とされている部分について審議を行った。
(1) ダム建設事業における精算設計書は、当該年度における事業の内容を明らかにするとともに、事業の進捗状況を把握するため、実施機関が毎年度作成し保管している。
(2) 本件公文書は、実施機関が平成11年度における本件事業費を精算するために作成した文書で、事業費総括表及びその費目の内訳表からなっており、内訳表に は工事等の細別ごとに総事業費、平成10年度までの施行済、平成11年度以降の施行予定及び平成11年度に施行した数量及び金額が記載されている。
変更処分において、なお一部が非公開とされている「用地及び補償費内訳表」は、本件事業に係わる用地の買収費等に関する文書で、買収地の地目別の面積及び金額、買収地に存する立木・建物等に対する補償の種類別の数量及び金額並びに本件事業によって生ずる各種損失に対する補償の内容別の数量及び金額が記録されている。
条例第7条第2号本文は、「個人に関する情報」を最大限保護するため、氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人が識別できるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報が記録されている公文書は、公開しないことを定めている。
これは、個人のプライバシーは、法的に未成熟であり、その範囲も個人によって異なり、類型化することが困難であることから、個人に関する情報であると明らかに判別できる場合はもとより、推認できる場合も含めて、個人に関する一切の情報は、原則として公開しないこととしたものである。
ただし、同号ただし書イ、ロ又はハに該当する情報が記録されている公文書については、個人の権利利益保護の観点から非公開とする必要のないものや公益上公にする必要性の認められるものは、同号本文の例外として公開することとしている。
用地及び補償費内訳表中の「住家」、「非住家」及び「工作物」の金額は、辰巳ダムの建設に関連して付替えする市道の建設用地の買収に係る建物等の移転補償費で、その支出相手方は建物等の所有者個人である。
異議申立人は、「特定個人の補償金額が類推され得ても、完全には特定できない以上、当該補償金額は公開されるべきである」と主張していることから、特定個人の補償金額が特定され個人の権利利益を害するおそれがあるか検討する。
条例第7条第6号は、県の機関又は国若しくは他の地方公共団体の行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれのある情報が記録されている公文書は、公開しない旨規定している。
また、同号は、当該事務又は事業の内容及び性質に着目して類型化し、各類型ごとに、公にすることにより支障を及ぼすおそれのある事務事業を例示列挙しており、同号ロでは「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」を規定している。
なお、「当該事務又は事業」には、同種の事務又は事業が反復される場合の将来の事務又は事業も含まれる。
用地及び補償費内訳表中の「漁業権」の金額は、辰巳ダムが建設される河川における漁業に与える損失に対する補償額であり、「電柱移転費」及び「電話柱移転」の金額は、本件事業用地等に存在し移転を要する電柱・電話柱の移転に要する費用に対する補償額である。
異議申立人は、「非公開部分が公開されなければ、本件事業の公正な執行が行われているか、判断不能である」と主張しているが、実施機関がこれらを公開しない理由は、漁業権にかかる補償が未交渉であることに集約されることから、同号ロの該当性について検討する。
以上の理由により、第1に掲げる審査会の結論のとおり判断する。
当審査会の処理経過は、別表のとおりである。
審査会の処理経過
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成13年4月27日 |
諮問を受けた。(諮問案件第37号) |
平成13年6月8日 |
実施機関(辰巳ダム建設事務所)から理由説明書を受理した。 |
平成13年6月15日 |
異議申立人から意見書を受理した。 |
平成13年7月25日 (第78回審査会) |
事案の審議を行った。 |
平成13年9月11 日(第80回審査会) |
事案の審議を行った。 |
平成13年10月10日 (第81回審査会) |
実施機関から非公開理由を聴取した。 |
平成13年11月16日 (第82回審査会) |
事案の現地調査及び審議を行った。 |
平成14年3月5日(第85回審査会) |
事案の審議を行った。 |
平成14年3月26日(第86回審査会) |
事案の審議を行った。 |
平成14年6月7日 |
事案の審議を行った。 |
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