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徳田裕之(環境省野生生物課鳥獣保護業務室 鳥獣専門官)
従来、鳥獣被害には有害駆除や狩猟規制だけで対応していたが、対症療法的であるため、平成11年の鳥獣法改正で、科学的・計画的な管理により人と鳥獣との様々なあつれきを軽減・解消し、長期的に地域個体群の安定的維持を図る観点から、特定鳥獣保護管理計画が創設された。
特定鳥獣保護管理計画を達成する三本柱は、個体数管理、生息環境管理及び被害防除対策としている。計画は都道府県知事が地域個体群単位で作成できるもので、ツキノワグマについては平成20年8月現在、12府県で12計画が作成されている。
平成16、18年度に大量出没した事により、1. 大量出没は数年おきに発生しうる、2. クマだけの問題ではなく、里山全体の整備等が必要、3. 放獣・捕獲数のコントロールの難しさ等も明らかになっており、環境省では、平成18年度には「クマ類出没対応マニュアル」を作成した。このような現状も踏まえて、特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(2000年)の改訂を1. 広域保護管理指針の作成推進、2. 里山グマの排除、3. 生息数調査(ヘアートラップ法)、4. 学習放獣(移動放獣)等の点を踏まえ行ったところである。
保護管理の課題として広域保護管理の必要性、関係者間の合意形成、専門家の配置、簡便な調査手法の確立等が指摘されている。現在、広域的な保護管理は西中国地方の島根県、広島県、山口県の3県で「西中国山地ツキノワグマ保護管理対策協議会」を定期的に開催する等して実施されており、白山・奥美濃地域や南東北地域でも取組が始まっている。
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